リズム:語源は古代ギリシャ語で流れるの意。リズムの概念とは?
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
「生活のリズムが狂っている」や、「リズムにノってるね!」など、日常でも使い勝手のいい言葉として用いられる言葉、リズム。何気なく使っている言葉ですが、この言葉を遡ると紀元前までたどり着きます……!
リズム(英語でrhythm、フランス語でrythme、イタリア語でritmo)という言葉は、古代ギリシア語のレオー(rheo/ῥέω)という言葉が語源で、意味は流れる。この言葉から名詞に派生した、流れや動きを表すリュトモス(rhythmos/ῥυθμός)が、現在のリズムという言葉につながっていきます。ドイツ語では、現在でも古代ギリシア語とほぼ同じつづり(Rhythmus)が使われています。
音楽史の中では、紀元前5世紀ごろに使われ始めたと言われています。
ちなみに、古代ギリシアの哲学者プラトンは、リズムの定義として、「リズムとは動きの配列である」と述べています。…….プラトンさん、なかなか難しいことを言いますね! この「動きの配列」にはいろんな意味がありますが、わかりやすくするために、人間の1日に置き換えてみましょう。
大きいリズムと小さいリズム
例えば、朝起きる時間も、3食のご飯も、夜寝る時間も、いつも同じ時間に行なっている人を見ると、「お、生活リズムがいいね!」「リズムの整った生活習慣だね!」なんて言いたくなりませんか? ここでいうリズムは、一連の流れ(1日)の中にある、いくつかのイベント(食事)の反復のことをいいます。
さらに、この3食のご飯を食べる時間の間隔のことも、リズムといいます。例えば、いつもとは違う時間にご飯を食べたり、ちょっと夜更かしして、いつもより遅い時間に寝たりすると、「リズムの違う1日を送ってしまった」って言いたくなりませんか……?
一連の流れの反復もリズムといいますが、その中での小さなイベントの配列もリズムというわけです。リズムはリズムによって構成されているのです。
難しいかもしれませんが、簡単にいってしまえば、リズムとは概念のようなものです。1日の小さな反復もリズムですし、春夏秋冬が毎年繰り返される大きな反復もリズムなのです。
組み合わされたリズム
音楽において、リズムは音楽を構成する上で基本的な要素の一つです。ずっと均等な間隔で音が鳴っているのもいいですが、音の間隔が広かったり、または狭かったりと、バリエーションがあっても面白いですよね。
さらに、いろんなリズムを同時に組み合わせてみても、面白いです。同時に違うリズムがなっていることをポリリズムといいます。
例えば、ラヴェルのピアノ三重奏曲を見てみましょう。上2段のヴァイオリンとチェロは4/2拍子で書かれているのに、下のピアノは3/4拍子で書かれています。同時に弾いているのに、拍子もリズムもまったく違うのです!
これもポリリズムの一種で、ここで生み出される不思議なグルーヴ感は病みつきになってしまいます!
リズムは、音楽には外せない大きな要素。それぞれの音楽にあるリズムに耳を傾けて、身体を躍らせて、楽しんでみましょう!
リズムに注目してみよう
1. ベートーヴェン:交響曲第7番 作品92〜第1楽章
2. ドビュッシー:弦楽四重奏曲~第2楽章 (十分に生き生きと、しっかりリズム感を持って)
3. ラヴェル:海辺の小舟(とても柔らかいリズムで)
4. ラヴェル:ピアノ三重奏曲〜第2楽章「パントゥム」
5. バルトーク:ミクロコスモス第6集〜第153番「ブルガリアのリズムの踊り」
6. 炭坑節(福岡県田川市の民謡)
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