読みもの
2022.07.09
五月女ケイ子の「ゆるクラ」第4回 クラシック作曲家たちの恋愛事情編

作曲家モテ非モテ選手権

クラシック音楽に囲まれる家庭環境で育ったイラストレーターの五月女ケイ子さん。「ゆるクラ」は、五月女さんが知りたい音楽に関する素朴な疑問を、ONTOMOナビゲーターの飯尾さんとともに掘り下げていく連載です。五月女さんのイラストとともに、クラシックの知識を深めていきましょう! 今回から3回にわたり恋愛事情編をお届けします。

イラスト・執筆
五月女ケイ子
イラスト・執筆
五月女ケイ子 イラストレーター/脱力劇画家

山口県生まれ横浜育ち。幼い頃から家にクラシックが流れ、ロックは禁止、休日には家族で合唱するという、ちょっと特殊な家庭で育つ。特技はピアノ。大学では映画学を専攻し映画研...

お助けマン
飯尾洋一
お助けマン
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

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作曲家は基本モテるそうです。まあ、あんなにいい曲が書けたら、多少性格に難ありでも、そりゃあモテますよね。「才能」はいつの時代も女心を狂わす魔法なのです。

一番モテたのはピアノテクで魅了したあの人!

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ショパンやドビュッシーなど、胸キュンな曲を作る人はやっぱりモテるそうですが、ぶっちぎりのモテ男1位は「ピアノ界の魔術師」リスト。サラサラヘアーに甘いマスク、おしゃれ、高身長。そのうえ、曲が作れてピアノが弾けたら、ご婦人たちは放っておきません。長い指で情熱的にピアノを奏でる姿に、失神者が続出。超絶技巧を駆使した演奏で、弦が切れたり、ピアノが壊れることもざらで、会場には替えのピアノが用意されていたとか。先生、YOSHIKIさんはリストの生まれ変わりでしょうか。

「あ、この後半、畳みかける超絶技巧で失神だな」とか、「今、弦が切れた!」とか、当時の熱狂のライブを妄想しつつリストを聴いてみると、とても楽しいです。

リストのイケメン肖像画といえば、こちらでしょうか。28歳のリストです。

たくさんの女性と浮名を流したそうですが、本当に愛した人とは許されぬ恋だったり、結局別れてしまったりと、あまりうまくいかないところも逆に胸キュンだし、後に聖職者になり俗世を捨てるところも、光源氏みたいでかっこいい。とりあえずモテたくてギターを始めた中学生男子に、モテるとはそんな生半可なことじゃないと教えてあげたいです。 

一番モテなかったのは恋愛のクセが強すぎるあの人!

ぶっちぎりにモテないのはブルックナー。ブルックナーの音楽は、とにかく長く(交響曲は70分から90分)同じフレーズを繰り返すので、女性に人気がなく、コンサートのお客は男性ばかり、休憩時間は男性トイレが大行列という珍しい光景が見られるそうです。彼を形容する言葉は、気持ち悪い、死体愛好家、ロリコン……。歳をとっても10代の少女が好きで、会ってすぐにプロポーズし(しかもしつこく)、フラれていたといいますが、彼の音楽にも粘着質な一面が表れているそう。

「私もブルックナーは好きですが、ブルックナー好きには要注意ですよ」

という飯尾先生の言葉も気になります。

オタク気質で女性に奥手だったシューベルトも非モテ。晩年に作曲した歌曲「冬の旅」は、失恋した男が主役。女性にはとっつきづらい、ハードボイルドな世界を感じます。でも一方で、彼には友人がたくさんいて、大衆の拍手より、友人たちに新曲を聴かせ、語り合う時間が何よりの幸せだったとか。多くの友人が彼を助け、貧しい彼に五線紙を買い与えたそうです。いつか枯れる花のように必ず終わりが来る「恋愛」ですから、女に非モテでしたが男にはモテたシューベルトは、実は一番の人生の勝者だったかもしれません。

イラスト・執筆
五月女ケイ子
イラスト・執筆
五月女ケイ子 イラストレーター/脱力劇画家

山口県生まれ横浜育ち。幼い頃から家にクラシックが流れ、ロックは禁止、休日には家族で合唱するという、ちょっと特殊な家庭で育つ。特技はピアノ。大学では映画学を専攻し映画研...

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飯尾洋一
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飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

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