ものづくり職人の血が騒いだ!? 子どもでも100均やダンボールで作れる&音質にもこだわったスピーカー4つを製作!
ONTOMOの夏といえば、ONTOMO Shopチームや「stereo」誌が力を入れるスピーカー工作一色! いまどきイヤフォンがあればいいよ……と言うことなかれ、手づくりしたら一層、空気を振動させて鳴らすスピーカーの楽しさにハマる人、続出。
そして、今年もまたひとり、D.I.Y.好きの域を超えて、職人の能力を発揮してくれたデザイナーが現れた。
建築を学んだ後、公共空間のサインや遊具の設計とデザイン・幼児教室の教材開発や販促物制作・デジタル工作機械を使ったワークショップの企画など、幅広いジャンルのものづくりを...
ONTOMO Shopでお世話になったデザイナーのもとへ
7月の特集を「自由研究」にした理由——実は、小社のオーディオ雑誌「stereo」8月号で毎年恒例となっているスピーカー工作特集がおもしろいから。
2011年頃から毎年7月19日になると「stereo」やMOOKの付録にスピーカーユニットやエンクロージャー・キットが登場し、そのあとは「自作スピーカーコンテスト」に向けて、読者のスピーカー作品が続々と小社に届きます。
その独創性に富んだデザインといったら! 社内の一角が美術展のような様相を呈するのです。
かつて、その工作特集に参加し、ワクワクしながら木工、試聴したら全然音が前に出てこなかった……という暗い記憶をもつONTOMO編集部員が、ONTOMO Shopのスピーカー・キットを見るたび、作りたい欲求にかられながらも、「また駄作になったら地球のゴミになってしまう」とブレーキをかけていましたが、あるとき、ふと思いつきました。
「あの方にチャレンジしてもらおう!」
それは、「音楽と鳥のオーナメント・キット」という秀逸な商品を企画製作してくれたデザイナーの江村史子さん。
ものづくり職人の血が騒いだ!?
「スピーカーを作ってみませんか?」とご相談すると、ふたつ返事でOKしてくれた江村さん。しばらくすると、こんなスケッチが届きました。
すごい……正直、こんなに考えてくれると思わなかった……。
早速、完成したスピーカーを拝見しに、ご自宅へ。4歳の娘さんと一緒に出迎えてくれました。
子どもが研究するのに最適! 「うさぎのスピーカー」
まず、娘さんとの共作「うさぎのスピーカー」。100円均一ショップのダンボールの収納ボックスにスピーカーユニットを2つ取りつけて、一体型のステレオ・スピーカーに。
市販のスピーカーは中身が見えないから、上から中が覗けるように、フタに四角い穴を開けてフォトフレームを取りつけ、音を鳴らしたときに振動する様子がわかるようにしています。きれいなパステルカラーのマーブル模様は、娘さんが絵の具で塗りました。
ダンボールなので、ハサミとボンドで工作しやすく、まさに夏休みの自由研究にぴったり!
大人向けにはアートっぽいデザインを
次は、こちらのスピーカーがアトリエで待っていました。
四角い箱が多いイメージもあるスピーカーですが、平行面が多いと「定在波」なるものが音に良くないと聞いたことがあります。よく見ると斜めの面があったり、卵型をしていたりと工夫されているものもあるのですね。
でも、木工の場合、どうしても箱型になりがち。「stereo」主催の自作スピーカーコンテストも、そこを打破するためなのか、変わった形も見られますが、職人的な技で木材を加工していたり、陶器だったりと、自宅で作るにはハードルが高い……。
そんななか、手軽な材料と手順で作れる「張り子」を用いた江村さんの功績は大きいかも? 形を作る芯は、小さい風船数個を膨らませてラップをぐるぐる巻いたもの。これに糊でペタペタと半紙を何層にも貼って固め、乾いてから芯を抜いたら、あとはスピーカーユニットの部分の穴を開けて取り付けるだけ。
「ちょっとアートのオブジェっぽく作ってみた」という江村さんのアトリエで、アート作品らしい表情を浮かべていました。
存在を消す!? グリーンに紛れるスピーカー
植木鉢をハックして作ったスピーカー。やはりスピーカーユニットを取り付ける丸穴を開けるのが、作業のネックとなりがちなので、そこはハサミで切れるダンボールと芝生シートを使います。
スピーカーが上を向いていることによる、音への影響はいかに。
これは2本でペアになるステレオ・スピーカーということで、せっかくなので、片方は新人編集部員が工作にチャレンジすることに。作り方は後述します。
ガチで音楽を聴くときに使いたいスピーカー
最初に見せてもらったスケッチには3つの案がありましたが、「実は……もうひとつ、本気のスピーカーを作りたいんです!」と思わぬ意欲を見せてくれた江村さん。
今回、江村さんにはデザイナーというだけで、この案件をお願いしたわけではありません。何を隠そう、豊富な音楽経験をお持ちです。幼少期からピアノとヴァイオリンを習い、中学からは吹奏楽部でクラリネットを吹いていたと言います。
だから、きっと耳も肥えているはず! かわいいだけのスピーカーでは満足しない可能性があるのです。
事前に、「ダブルバスレフ型スピーカー・キット」という、定価3,500円でコスパが高いONTOMO Shopの人気商品をお渡ししておいたのを活用して、ホーン(メガホンをイメージしてください)と、もう1つ低音を出すための空間を追加して、でき上がったのが、ホーン型トリプルバスレフ・スピーカー。
「ホーンのカーブはネットとかでいろいろ見て、これくらいがいいんだなって設計して、板を何枚か重ねて厚みを稼ぎました。イラストレーター(ドローイングソフト)でこの1枚1枚の板と外の箱のデータを作って、レーザー加工機で切っています。レーザーの熱の加減を自分で調整できるので、カットせずに焼き印みたいに描くこともできるんですよ。
『音楽と鳥のオーナメント・キット』も同じ加工方法で作っていて、デジタルものづくりのおもしろさを活かしているんですよ」
ちなみに、木材は一部、ギターのボディなどに使うアガチスという素材を使っているとのこと。
気になる音質は、試聴記事にて(近日公開!)。「stereo」の試聴室でstereo編集長にもコメントをもらっていますよ。
新人編集部員も挑戦! 植木鉢のスピーカーづくり
さて、前述した植木鉢スピーカーの片方を、江村さんに教えてもらいながら新人編集部員Mが作ります。
スピーカーユニットは、ONTOMO Shopで安定した人気を誇るスキャンスピーク製(高級スピーカーにもOEMで提供しているデンマークのメーカー)。今回はどのスピーカーもこのユニットを使いました。
そのほかのパーツは、すべて100円均一ショップでゲットしたそうです。「造花はプラスチックっぽいものではなく、布っぽいマットな感じのもの、色味を統一してグレーがかっている葉っぱなどを選ぶとおしゃれにまとまりやすいですよ」と江村さん。
植木鉢スピーカーの作り方
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