指揮者・山田和樹が第56回サントリー音楽賞を受賞──バルトーク、武満、ベートーヴェンを結んだ追悼の名演に高い評価
日本のクラシック音楽界を代表する賞のひとつ「サントリー音楽賞」。その第56回受賞者に、指揮者・山田和樹氏が決定した。国際的なキャリアを持ち、2024年2月にはバルトーク、武満徹、ベートーヴェンの作品を組み合わせた構成力ある演奏を披露。その音楽的対話の妙が高く評価され、今回の栄誉へとつながった。
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クラシック音楽の発展に顕著な業績を残した個人・団体を顕彰する「サントリー音楽賞」。その第56回(2024年度)の受賞者に、指揮者の山田和樹氏が選出された。授賞式および記念コンサートの開催は後日発表される予定だ。
国際的キャリアと、音楽的構想力を評価
山田氏は2009年、フランスのブザンソン国際指揮者コンクールで優勝して以来、国内外の主要オーケストラと共演を重ね、日本を代表する指揮者として確固たる地位を築いてきた。現在は東京混声合唱団音楽監督なども務め、合唱・オーケストラ両分野にわたり活動している。
受賞のきっかけとなったのは、2024年2月にサントリーホールで読売日本交響楽団を指揮した公演。バルトーク《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》、武満徹《ノヴェンバー・ステップス》、ベートーヴェン「交響曲第2番」という大胆なプログラムに挑み、3曲をひとつの音楽的構造の中で有機的に結びつけた。
小澤征爾への追悼、そして未来へ
同公演は、2月6日に逝去した小澤征爾氏への追悼の意も込められていた。武満作品を取り上げたことにより、日欧の現代音楽とクラシックの古典との対話が浮かび上がり、多くの聴衆に深い印象を与えた。
山田氏の指揮は、構想の緻密さと即興性、そして瞬発力を併せ持つ音楽的表現で知られている。今回のサントリー音楽賞受賞は、その幅広い芸術的資質と時代性を映す感性が、現代の音楽界においてきわめて重要な存在であることを物語っている。
サントリー音楽賞は公益財団法人サントリー芸術財団が主催し、受賞者には賞金700万円が贈られる。第56回となる今回は、山田和樹氏という新たな名が、日本のクラシック音楽史に刻まれることとなった。
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