
はじめての点字と点字楽譜~世界点字デーに知っておきたい音楽との関係

1月4日は世界点字デー。ということで、日本点字図書館で録音雑誌などに携わっている絵本作家の本間ちひろさんが、全盲のヴァイオリニスト穴澤雄介さんに取材。点字や点字楽譜について紹介していただきましょう。

1978年、神奈川に生まれる。東京学芸大学大学院修了。2004年、『詩画集いいねこだった』(書肆楽々)で第37回日本児童文学者協会新人賞。作品には絵本『ねこくん こん...
200年前に考案された点字
2025年は、点字考案200年の記念の年でした。
1825年ごろのフランスで、ルイ・ブライユは、ひとマスに6つの点の6点点字を考案しました。1829年、ブライユは『点を使って、言葉、楽譜、簡単な歌を書く方法—盲人のために作られた盲人が使う本』を出版。オルガン奏者だったルイ・ブライユは、楽譜の点字も作り上げたのでした。
そして今も、点字のドレミは、世界共通で使われています。
1月4日は、世界点字デー。ルイ・ブライユの生まれた日です。
点字で作曲、編曲をしている、全盲のヴァイオリニスト穴澤雄介さんに、点字楽譜について、伺いました。

ヴァイオリン奏者、ヴィオラ奏者、作編曲家、ラジオパーソナリティ。千葉県市川市出身。生まれつき心臓と目に障害があり、高校時代にほぼ視力を失い現在は全盲。筑波大学附属盲学校高等部本科音楽科、同専攻科音楽科を卒業。NHK総合テレビでの東京・北京・パリオリンピック・パラリンピックのユニバーサル放送特番にコメンテータ兼演奏者として計17日出演。NHK「視覚障害ナビ・ラジオ」に毎月パーソナリティとして出演中。また、ドキュメンタリー映画「光をみつける・ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ」(監督:永田陽介)が2023年に公開。これまで21枚のCDをリリース。第7回ゴールドコンサートにてグランプリ、第25回浅草ジャズコンテスト・バンド部門にて金賞他、受賞多数。フランス、シンガポール、アゼルバイジャン等、海外でも活動中。NHKラジオの番組テーマ曲に二つの自作曲が採用され、その活動はテレビ東京のドキュメンタリー番組『生きるを伝える』でも紹介される。2014年に『見えなくなったら希望が見えた』(KADOKAWA)、2023年に『光をみつける』(ぱるす出版)、2つの著書を出版。毎日新聞社から発行されている『点字毎日』では「幅広おすすめCDレポ」を、10年以上にわたり毎月執筆中。
点字でアイウエオ〜五十音を点字で書いてみよう
点字楽譜の前に、まずは点字の話をしましょう。



点字は、ローマ字と非常に概念が似ていて、アイウエオに、6の点を足すと、カキクケコになります。
5の点、6の点を足すとサシスセソになる。
3の点、5の点を足すとタ行、3の点を足すとナ行になる。
五十音のほとんど(ヤ行とワ行とンは、イレギュラーですが)は、1・2・4の点で母音、3・5・6の点で子音、という組み合わせでできています。

点字楽譜のドレミファソラシ
では、点字楽譜は、というと……
点字って、1次元なんです。タテいったり、ヨコいったりというのは、目がみえないと非常にやりづらい。だから、ヨコに、ヨコに、しか動かない。
五線譜の楽譜って、2次元じゃないですか。タテで音程を表していて、ヨコで時間を表している。で、その2次元なのは、点字の楽譜では使えないんです。したがって、タテ情報も、ヨコ情報も、全部、ヨコに、並列にしないといけない。
五線譜においてタテ情報である音程は、点字では文字と同じように、カナで、ドレミファって書いているのと、ほぼ同じようなものです。
先ほどの日本語の五十音の点字と非常に構造が似ていて、1・2・4・5の上の4つの点だけを使って、ドレミファソラシを作っているんです。

そのまま、どの点もつけないと8分音符、6の点をつけると4分音符、3の点をつけると2分音符、3と6の点をつけると全音符、または16分音符になります。

え? それじゃ、これが全音符なのか16分音符なのか、わからない?
そう思うかもしれませんが、点字楽譜における小節線は、ひとマスあけること。だから、全音符の場合は、その両側に小節線がくるので全音符、小節のなかに複数音符があれば、16分音符だとわかる。
うまくできていて、実は、3の点をつける2分音符は32分音符でもあって、6の点をつける4分音符は、64分音符でもあるんです。でも小節の中の数で、どっちなのかがわかる。
それで、そこにクレッシェンドだの、リタルダンドだの、すべてヨコ情報で書いていって、ものによっては、1小節で3行になったりします。

点字楽譜で曲を書くこと
以前は、自分でまず点字楽譜を書いて、作った点字楽譜を読みながらピアノで弾いて、写譜の方が五線譜にして……と、膨大な時間がかかっていました。
2015年から、五線譜と点字楽譜が同時に表示できる音楽ソフト「ビースコア」を使うようになって。パソコンで楽譜を書いて、ピンディスプレイで点字で読みながら、音でも確認しながら書いています。ビースコアは、点字楽譜、五線譜の楽譜、MIDIファイルを変換できるので、点字楽譜で書いた曲を、すぐに五線譜にして、共演者に渡すこともできます。
点字と、五線譜を両方書くことができるソフト。2000年8月に最初の版の発売開始。一般社団法人Be-MUSIC(ビー・ミュージック)の制作の音楽ソフト。
ビースコアのチラシに使われている画像の、パソコンの画面の五線譜と点字の楽譜は、穴澤さんの「昨日は変えられる」という曲。
点字や点字楽譜を、もっと知ろう! 書いてみよう!
点字楽譜利用連絡会
ヴァイオリニストの和波孝禧(わなみ・たかよし)さんが、代表をなさっている点字楽譜利用連絡会(点譜連)のサイトに「点字楽譜とは?」があります。
日本点字図書館(略して、にってん)
点字図書、録音図書の製作、貸出をはじめ、用具の販売、白杖を使っての歩行訓練などの部門があります。図書館といっても、本の貸出だけじゃない、幅広い情報発信、取り組みをしています。
見えない方の案内や、白杖歩行の体験ができるワークショップも好評。来館は予約制です。いくつか詳しく見てみましょう。
わくわく用具ショップ
便利グッズや点字器、本など、さまざまなものが売られています。わたくし(ほんま)が、今回、おすすめを4点選んでみました!




「にってんデイジーマガジン」
「にってんデイジーマガジン」は、日本点字図書館で発行していて、普段はサピエ図書館(視覚障害者等情報総合ネットワーク)の利用者や、日本点字図書館利用者がお聴きになれる録音雑誌ですが、2025年11月の200号特別企画の音源が、にってんのサイトで公開されています。
そのうち、企画3の「録音雑誌『ホームライフ』の製作の舞台裏」の部分に、穴澤さんと私も登場。ぜひお聴きいただけたら、うれしいです。
穴澤さんが解説する点字楽譜の書き方
音色は知っているし名前も知っているという、耳では身近な存在の楽器。さてどんな形をしているでしょう。今回は西洋楽器と民族楽器を紹介します。民族楽器は音を鳴らせるものも展示しますので形だけでなく音もお楽しみください。
会期:2026年3月14 日(土)まで ※祝日を除く水曜日・金曜日・土曜日のみ開館、事前予約制
開館時間:10時~16時
会場:ふれる博物館(東京都新宿区高田馬場2丁目3-14 アイ・ブライト2階)
【主な展示品】トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバ、フルート、クラリネット、バイオリン、チェロ、コントラバス、バリンビン(フィリピン)、アンクルン(インドネシア)
詳しくはこちら
ほんまちひろの詩に、寺嶋陸也が作曲をした合唱曲『同声(混声)合唱とピアノのための まちの音』 『みちの音 合唱とピアノのために』(2026年1月出版/音楽之友社)のコンサートです。寺嶋陸也のピアノ・ソロ演奏もあります。
楽譜集『みちの音』の挿し絵は、点字をモチーフにした作品です。ほんまが自分で点字で書いた『まちの音』『みちの音』の詩とともに、会場に展示します。
日時:2026年1月18日(日)17:00開演
会場:横浜みなとみらい 小ホール
プログラム:
まちの音 2022年委嘱作品
寺嶋陸也 ピアノソロステージ
みちの音 2025-26年委嘱作品 ※全曲初演
詳しくはこちら
関連する記事
-
レポート山澤 慧と熊倉 優が第24回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞!
-
レポート角野隼人、デュトワ、ゲルギエフらが名を連ねる北京の音楽風景
-
レポート小澤征爾を讃え、ボストン市に「セイジ・オザワ・スクエア」が誕生!
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest




















