バレエ団や落語とのコラボ、「東吹塾」など現場に即した活動を! 東京吹奏楽団
創立57年の長い歴史のなかで、吹奏楽の現場に即した講習会や、一般のファンに親しみやすいジャンルレスの演奏会を企画してきた東京吹奏楽団。楽団員代表でアシスタントコンサートマスターのクラリネット奏者、徳武敦さんにメールインタビュー!
東京吹奏楽団の自己紹介♪
徳武 東京吹奏楽団は、日本の吹奏楽の発展に情熱を傾けた故・山本正人氏(東京藝術大学教授)が中心となり、1963年にプロの吹奏楽団として創立されました。
各種演奏会をはじめ、録音・全国各地の学校における音楽鑑賞教室などの演奏活動を続け、「東吹」の愛称で広く親しまれるとともに、日本の吹奏楽の発展に貢献し続けています。
1993年には、長年にわたる演奏活動と吹奏楽界に対する功績に対し、日本吹奏楽学会より「第3回日本吹奏楽アカデミー賞」(演奏部門)を受賞。「レコード芸術」誌2016年3月号では、作曲家フィリップ・スパークの指揮による第62回定期演奏会のライブCD『リフレクションズ スパーク×東京吹奏楽団』が特選盤に選ばれています。
「親しみやすく、愛される吹奏楽団」をモットーに、今年で創立57年を迎えています。
Q. 東吹が考える吹奏楽の魅力と、それを伝えるための演奏会の企画や曲目の方向性は?
徳武 吹奏楽の魅力は、なんと言ってもサウンドの迫力、管楽器・打楽器のもつ豊かな響きではないでしょうか?
東吹の音は「温かい音がするね」とよく言われます。
それは、長い歴史のなかでつくりあげてきた音楽表現・サウンドの方向性をより追及し、洗練された響きを大切にしてきた積み重ねであり、今後も守るべき点だと思っております。
幅広い年齢層のお客様にお楽しみいただけるように、バレエ団さんや落語家さんとのコラボなど、多様な企画も取り入れています。吹奏楽のオリジナル曲はもちろん、吹奏楽の響きを生かしたアレンジ曲、ハーモニーを楽しめる選曲を心がけています。
「聴きにきてよかった!」と思っていただけるのが一番嬉しいです。
吹奏楽の響きと魅力を大切にしながら、多くに方々に興味を持っていただけるように、頑張っていきたいですね。
Q. 東吹ならではの活動の特色とは?
徳武 東吹の演奏活動のなかで一番多いのは、小学校や中学校などでの音楽鑑賞会です。
音楽を聴き、楽しむことを、小さな頃から知っていただきたいのです。目をキラキラさせて、真剣なまなざしで聴いている子どもたちを見るのは、奏者にとってかけがえのない喜びの瞬間でもあります。
東吹では、吹奏楽を多くの方に楽しんでいただけるように、各地の自治体とアウトリーチ&吹奏楽クリニック&コンサートといった一連の活動を行なっています。昨年から、長野県上田市在住・出身のプロ奏者の方々とともに、「上田ブラスフェスト」という地元に根付いた演奏活動のお手伝いもさせていただいております。
ほかに、「ジョイフルコンサート」も開催しています。メンバー自身が好きな編成で、ジャンルを問わずに選曲し、お客様にはお酒などを飲みながら、気軽にお聴きいただいております。
また2017年から「東吹塾」と称し、各地にて吹奏楽指導者向けに、効率のいい練習方法やアンサンブル、楽器別の講習(特に打楽器)から、全日本吹奏楽コンクール課題曲のアナリーゼまで、毎回テーマを決めた講習会を行なっております。最近では、指導者の方だけでなく、学生さんや一般吹奏楽団員の方々の参加も増え、大変うれしく思っております。
SNSは、Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、最近ではPodcastなども配信しております。ぜひこちらもよろしくお願いいたします。
Q. 今後の展望を教えてください。
徳武 今回のコロナウィルス感染拡大による負の影響は多大なものとなりました。多くの音楽鑑賞会や吹奏楽クリニックがキャンセルとなり、主催公演も延期にしました。コンサートを行なうか中止するか、どちらも大変な葛藤でした。
東吹では、活動することのできない吹奏楽部の生徒さんたちを元気づけようと、小平市文化振興財団さん、J:COMさんと共同で、吹奏楽コンクール課題曲を収録し、J:COMさんより無料配信しました。
収録の様子
昨今、コロナウィルス感染リスクをなくすため、YouTube等ネット配信を含め、新しい形での音楽の楽しみ方が増えています。それも安全で、楽しいかもしれません。でも生の音を聴くのは、やはり違うと思います。安心して演奏会を楽しめる日々がくることを願い、音楽の力を信じて、皆様に吹奏楽の魅力をお届けするために、演奏活動に加えて吹奏楽の知識を広げるための講習会や吹奏楽クリニックなどにも、日々取り組んでいきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします
徳武 コロナウイルス感染拡大による影響で、楽しみにしていた演奏会の中止や規模縮小によって、思うように活動できないこともあると思います。特に高校3年生や中学3年生は、学生生活最後の全日本吹奏楽コンクールに参加することができず、心残りでしょう。
でも、コンクールだけがすべてではありません。仲間たちとの練習、合奏の想い出がたくさんありますよね。私たちも、音楽の楽しみや仲間で合奏する事の素晴らしさを改めて感じました。
また安心して音楽を楽しめる状況になることを願っています。部活動で演奏できるようになった楽器を、ぜひ今後も演奏し続けてください。
そして一般の方々へ。周りに吹奏楽を過去にやっていた方がいらっしゃいませんか? ぜひ練習に誘ってあげてください。再開できる機会をあげてください。みんなで一緒に吹奏楽・音楽を楽しみましょう。そして私たちの演奏会へもぜひいらしてください(笑)。
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