第3回 5歳児が理解したコードの理論~音楽の印象を形作る要素~
作詞作曲に憧れる! でも音楽の心得がないから......と諦めるその前に、「宇宙一やさしい作詞作曲ガイド」をお手にどうぞ。
星や宇宙をテーマに音楽を作るミマスさん(アクアマリン)による『歌を作ろう! 宇宙でいちばんやさしい作詞作曲ガイドブック』より、ONTOMO出張版をお届けします! 言葉には上手くできない想いを、歌に託してみませんか。きっと新しい世界が開けますよ。
Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」( http://aqumari.com/ )のメンバー。1998年6月結...
コードにはそれぞれ名前(コードネーム)があります。規則性・法則性がありますから、それさえ覚えてしまえばとても便利です。知らないコードネームを初めて見たときも、「ああ、この音とあの音を弾けばいいんだな」ということがわかるようになります。自分が使っているコードを、忘れないように書き残すこともできます。
ここからはコードネームの読み方と意味について解説しましょう。じつはこれからお話する内容は、ピアノを習い始めたウチの息子が5歳のときに、彼に話して聞かせた内容と同じです。5歳児でもこの説明をちゃんと理解しました。「なるほど、じゃあこのコードはこの音を弾けばいいんだね」なんて言いながら正しい和音を弾いていましたから、きっとあなたにもわかってもらえると期待して、進めていこうと思います。
コードとは何か
そもそもコードとは何なのか。これをハッキリさせておく必要があります。音楽理論の本を読むと、よく「C」というコードはこのようなものであると書かれています。
しかし僕は息子にはこう教えました。「C」とはこういう意味だ、と。
そしてこう続けました。「この中の、どのドミソを弾いてもCだ。低いドミソもC、高いドミソもC。たとえば低いドと、真ん中あたりのソと、高いミを鳴らしたらそれもC。なにもドが一番下じゃなくてもいいんだぞ。ソドミもミソドもCだ」――。
この、「ドミソだけではなくソドミもミソドもCである」というのは大切です。実際に演奏するときにとても重要になってきます。
たとえば、「C→F→C→G」というコード進行を弾くとき、①のように弾くと指の動きが大きくて大変ですし、音の流れも急にジャンプしたようになってしまいます。そこで②のように弾いてみたらどうでしょう。弾きやすく、また音の流れもスムースになります。これを「コードを転回させる」といいます。コードは、その構成音の上下の順番を臨機応変に入れ替えて弾いてもよいのです。「ミソド」や「ソドミ」は「Cの転回形」ということになります。同じように、Fは「ファラド」だけではなく、「ラドファ」や「ドファラ」といった転回形で弾くことも可能です。Gも「ソシレ」だけではなく、「シレソ」や「レソシ」と弾いてもよいのです。
メジャーコードとマイナーコード
コードには大きく分けて、「メジャーコード」と「マイナーコード」があります。この二つの意味を知り、区別できるようになることはコードの基本中の基本なので、ていねいに解説しましょう。
コードはC、D、E……などのアルファベットがその名前になっていますね。その中に、よく見ると小文字の「m」がついているものがあります。この「m」はマイナーという意味です。「m」がついていたらそれはマイナーコード、何もついていなければメジャーコードです。
それでは、メジャーとマイナーの違いはなんでしょうか。「ドミソ」も「レファラ」も、ドレミファソラシドという音階を1つとばしに3音弾いていることでは一緒です。それなのにどうして「ドミソ」は「C」というメジャーコードで、「レファラ」は「Dm」というマイナーコードになるのでしょうか。
そこで次の図を見てください。2つの音があるとき、お互いの音程の差を数字で「~度」と表します。同じ音程を1度と数えますので、ドとレは2度離れていることになります。ドとミの音程の差は3度、ミとソの間は……そう、ここも3度の差ですね。
それでは、ドとミの間の3度と、ミとソの間の3度は同じでしょうか。これがですね、なんと、違うのです!
ここで次の図を見てください。じつは音階を考えるときは、このようにドレミファソラシドの白い鍵盤だけではなくて、その間に挟まっている黒鍵も含めて数える必要があるのですね。黒鍵も含めて考えると、ドとミの間には音の階段が4段あります。いっぽうで、ミとソの間は、音の階段が3段しかありません。同じ3度の音程でも、前者を「長3度」、後者を「短3度」とよび、これこそがメジャーとマイナーの違いを決めているものなのです。
C(ドミソ)の和音は、「長3度の上に短3度が乗っている」という構造です。こうした和音をメジャーコードと呼びます。逆にDm(レファラ)のように「短3度の上に長3度が乗っている」という構造をしている和音をマイナーコードと呼ぶのです。これはとても大切なことなので、しっかり覚えてください。
一般的に、メジャーコードは明るい感じがします。マイナーコードは暗い感じがします。こうした要素が、その音楽を聴いたときの印象に大きく影響してくるのです。
動画解説版もありますので、ぜひご覧ください!
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