2023.09.17
ドラマチックにする音楽 vol.19
最終回目前! 日曜劇場『VIVANT』に登場するクラシック音楽を振り返る
TBS系日曜劇場『VIVANT』がいよいよ最終回を迎えます。いかに音楽がドラマを盛り上げてきたのか、これまで登場してきたクラシック音楽をピックアップしながら紹介します。
桒田萌 音楽ライター
1997年大阪生まれの編集者/ライター。夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オウ...
壮大なスケールのドラマに隠された普遍的な愛情
いよいよ最終回が目前に迫ったTBS系日曜劇場『VIVANT』。偽装送金事件に巻き込まれたと思いきや、自衛隊の裏組織「別班」の一員であることが発覚した乃木憂助(堺雅人)。幼い頃に生き別れた父親でありテロ組織「テント」のトップになっていた卓(役所広司)を追い求め、組織内に潜入。無事、乃木は父親と再会して生き別れた経緯を聞き、和解したと思われたが……?
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国境をまたぐ多額な金銭トラブルに、国内外を標的にした大規模なテロ、海外警察と公安との戦いなど、世界を舞台にスケールの大きな物語が描かれてきたが、実のところ「家族愛」という我々にとって普遍的な感情が根幹にあることがみるみると明かされた本作。
父親はテロ組織のトップではあるが、再会すれば自分に愛情を注いでくれるかもしれない。乃木はそんな期待を込めて、多少(いや、かなり?)の無茶を繰り返しながら「テント」に近づいた。得られなかった家族愛を、いかに取り戻すのか。いや、そもそも本当の狙いはそこにあるのか。まったく想像がつかない状態で最終回を迎える。
壮大な世界観に圧倒させられながらも、父への愛という乃木に宿る人間的な心に動かされる。サスペンス的でもあり、人間ドラマでもあり……。『VIVANT』の魅力は、そんな対照性を両立しながら観るものの心を揺さぶる点にあるのではないかと思う。
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