最近人気のカセットテープを聴いてみよう!その歴史と聴くためのおすすめ器機も紹介
好きな音楽を好きな音で、お金をかけずに楽しみたい――そんな贅沢な願いにオーディオ暦40年の筆者が応えます。実はたった1つのアイテムからでもスタートできるオーディオ道を、ゆっくり気ままに歩いてみませんか?
カセットテープは小型のオープンリールをケースに収めたもの
最近カセットテープが人気だとか。そういえば中古市場でもカセットデッキ、ラジカセ、ウォークマンからカセットテープそのものもとても高値で取引されています。
でもカセットテープに興味はあるけど、使ったことがない、という方も多いのではないでしょうか。そこで今回はカセットテープを取り上げたいと思います。
1950年代、録音テープといえばオープンリールテープのことでした。昔の映画やドラマなどで見たことがあるかもしれませんが、大きくて、テープがむき出しのため取り扱いが面倒で、録音再生する機械も大きなものでした。
そこでいろいろなメーカーがもっと使いやすいように、テープを小さくしてケースに入れたものを開発します。なかでもオランダのフィリップスが開発した「コンパクト・カセット」というテープは非常によくできているうえに、特許を無償公開したため世界中で作られるようになりました。これがいわゆる「カセットテープ」です。
はじめの頃のカセットテープは音質が悪く、音楽に使うのは難しいと言われていました。もともとフィリップスは会議記録やインタビューなどに使うためにカセットテープを開発したのです。
カセットテープは4つの性能に分かれている
さて、さっそくカセットテープを見てみましょう。
かつて日本は世界最大のカセットテープ生産国でした(1989~90年くらいがピーク)。またソニー、TDK、マクセルという御三家に加えて富士フイルム(アクシア)、太陽誘電(That’s)、松下電器(ナショナル)など10を超えるメーカーがカセットテープを販売していました。
しかし、ちゃんとしたブランドで高品質なカセットテープを販売しているのはマクセル1社。しかも1モデルだけです。
これがマクセルで唯一生産されている「UR」というテープです(最新モデルは若干デザインが変わってます)。カセットテープは性能によってタイプ1(ノーマル)、タイプ2(ハイあるいはクロム)、タイプ3(フェリクロム)、タイプ4(メタル)と4種類ありますが、URはもっともスタンダードなノーマルです。
これは1991年に発売されたデノン(当時はデンオンと呼んでました)のHG-Xというカセットテープで、ハイ・ポジションになります。ハイ・ポジションはノイズが少なく、高音の伸びが良いのでクラシック音楽の録音などに向いていると言われています。
1978年に発売されたソニーのデュアドは数少ないフェリクロムです。フェリクロムは、低音の厚みがあるノーマルと高音に伸びがあるハイ・ポジションの良いとこ取り、を謳っていました。
国産初のメタルテープがこのTDKの MA-Rです。
メタルテープは低ノイズ、ワイドダイナミックレンジで、文句なく高性能ですが、テープそのものが高価だったことと、使える器機が限られていたので、ややマニア向けのテープになっています。
レコードなどと同じように、レコード・レーベルが楽曲を記録したテープも販売されています。最近では山下達郎が新譜をカセットテープでも発売し話題になりました。
URやMA-Rをご覧いただくとわかると思いますが、カセットテープの構造は、小型のオープンリールをケースに収めたものと言ってよいでしょう。
コンパクトで持ち運びが楽、そのうえ技術の進歩で音質も向上したので、どんな場所でも音楽が楽しめるツールとして、1970年代になって爆発的に普及しました。
次はどんな器機でカセットが使われたのか見てみましょう。
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