愛の死をテーマにした2作品《アルルの女》《人間の声》を松重豊ほか豪華出演者で! 東京芸術劇場コンサートオペラ
東京芸術劇場は2022年1月8日(土)、2人のフランス人作曲家の2作品、ジョルジュ・ビゼーの劇音楽《アルルの女》、フランシス・プーランクのオペラ《人間の声》を演奏会形式で上演する。
2013年から続く「コンサートオペラ」シリーズの第8作となる公演で、指揮は長くフランスで活躍してきた佐藤正浩、オーケストラは佐藤が立ち上げた「ザ・オペラ・バンド」が務める。
ビゼー《アルルの女》は、ビゼーの友人だったエルネスト・ギローが編纂した「組曲版」が広く知られているが、今回演奏されるのは、アルフォンス・ドーデの演劇作品の付随音楽として作曲されたオリジナル版。フランス暮らしが長かった佐藤も実際の物語付き上演には出会ったことがない、珍しい作品だという。
ストーリーは、南フランスの田舎町が舞台。純朴な青年フレデリは、奔放な美女「アルルの女」に恋をするが、その思いは叶わず、最後は自ら命を絶つ悲劇。
「私自身、馴染みのあった作品ではありません。有名な序曲や、ファランドールが、どのようなシーンで使われているのか。 ストーリーと音楽が融合したときの効果などを知り、取り上げることに決めました」と佐藤は話す。
オリジナルでは2時間ほどかかる戯曲を、佐藤自身が翻訳、再構成。『孤独のグルメ』でもお馴染みの俳優・松重豊をはじめ、4人の俳優が朗読する90分程度の朗読劇として上演される。
「南フランス・アルルの明るいお祭りの雰囲気や、恋に悩み、自害までしてしまう男性のメランコリックな音楽などを、朗読とどう重ねていくか、試行錯誤しているところです」
©️古川泰子
もうひとつ取り上げるのは、プーランクのモノオペラ《人間の声》。ジャン・コクトーの戯曲による作品で、たった1人の登場人物「女」が、恋人を相手に電話をする声(相手の声は観客には聞こえない)や、独り言のみで構成される45分ほどの作品。
佐藤が「ハーモニーの使い方、人間の内面を描く音の引き出し方が上手い、大好きな作曲家」と語るプーランク作品。難しい役どころである「女」は、世界で活躍するソプラノ歌手の森谷真理が演じる。
こちらも《アルルの女》と同様、「女」は、電話線(恋人の声)を首に巻き付けて、自ら命を絶つ物語だ。
「最初から“愛によって死ぬ”テーマの2作品を探していたわけではないが、いろいろな作品の候補があった中で、結果的にこのようなカップリングになった。この2つの作品が同時に上演されるのは世界で初めてかもしれない。いろいろな発見、挑戦がある。皆さんにも興味を持ってもらえれば」
朗読による劇音楽と登場人物がひとりのオペラ、という一見変わったプログラムではあるが、テーマは今も昔も変わらない、普遍的な「恋・愛」を扱っている2作品。チケット料金も手頃なので、ぜひ若い世代にも観てもらいたい舞台だ。
- 日時: 2022年1月8日(土) 14:00 開演
- 会場: 東京芸術劇場コンサートホール
- 出演:
- 指揮、構成台本:佐藤正浩
- 管弦楽:ザ・オペラ・バンド
- ビゼー: 劇音楽 《アルルの女》
- 語り、バルタザール、他:松重 豊
- フレデリ:木山廉彬(東京演劇道場)
- 白痴:的場祐太(東京演劇道場)
- ヴィヴェット、フレデリの母:藤井咲有里(東京演劇道場)
- コーラス:武蔵野音楽大学合唱団(合唱指導:横山修司)
- プーランク: オペラ《人間の声》
女:森谷真理(ソプラノ)
チケット: S席 6,000円、A席 5,000円、B席 4,000円、C席 3,000円、D席 1,500円、高校生以下 1,000円
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