チェロ奏者の新倉瞳さんが考える、クラシックの演奏にふさわしいドレスとは?
「これからの時代を生きる、本当にいいものだけを求める大人の女性のために、輝き続けて欲しいという願いを込めて…」とアパレルメーカーの㈱フランドルが立ち上げたブランド、M Maglie le cassetto(エム マーリエ ル カセット)。
念願かなって、チェロ奏者の新倉瞳さんとの『音と服』のコラボが実現! 新倉さんが考える、あらゆる演奏者のためのドレスとは?
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
ステージはドレスまで含めた総合芸術
——チェリストとしてご活躍の新倉瞳さんは、これまでに何十着とステージ用のドレスを選び、着用してこられたと思います。奏者の目線で「こういうドレスがあったらいいな」と思うことは、よくあったのでしょうか。
新倉 演奏者がステージに登場した瞬間、ドレスで華やかな印象を与えるのは、大切なポイントですよね。でも、よい音楽を届けたいと願う私たち奏者にとって、いくら可愛らしいドレスでも、演奏しにくければ本末転倒となってしまいます。
なので、まずは動きやすさが大切。チェリストは足と足の間に楽器を挟みますし、ヴァイオリニストは左顎に楽器を挟みます。その上で演奏しやすいことが必要になります。室内楽の場合は、他の奏者と並ぶので、ドレスが広がりすぎて窮屈になってもいけませんよね。
それから、ドレスが音楽の邪魔をしないように、演奏する作品の時代背景や、その曲が書かれた経緯などにも配慮したいところ。誰かの追悼のために書かれた作品を弾くのに、あまり明るい色のドレスは合いません。ステージ上での演奏は、ドレスも含めた総合芸術として考えたいと思っています。
こうしたことは、演奏者同士でよく話題にもなりますし、私自身も常に考えを巡らせてきたことなのです。
ドレスに対する思いを企画書に
——そうした新倉さんの「音楽家目線」に立ったドレスが、一昨年の冬からドレスブランドM Maglie le cassetto(エム マーリエ ル カセット)とのコラボレーションによって誕生しました。どのような経緯で実現したのでしょうか。
新倉 ドレスを求めて百貨店に行くと、冠婚葬祭用に並んでいるなかに、少しだけステージ衣装用があるのが通常です。でも、私たち音楽家にとって、ドレスは何着も必要なものですし、もっと充実した売り場になってほしいと思ったのです。
それで、ドレスに対する思いを企画書にまとめ、新宿の伊勢丹さんにご相談したのが始まりです。4年前でした。
——企画書! 積極的ですね。
新倉 今思うと、よく書いたなと思うのですが(笑)、そのときはちょうど伊勢丹さんが、音楽会や舞台鑑賞をするお客様のために、上品で質のいいブランド展開を考えていたそうなんです。私の提案に「やりましょう!」と言ってくださり、まずはトライアル的に5社のブランドさんとご一緒させていただきました。
とても反響はあったのですが、私の本業はあくまでチェロ奏者。その後、継続していく難しさを感じていたところ、5社のうちの一つであったMaglieさんが本格的に展開しませんか、とお声をかけてくださったのです。
Maglieさんは、演奏家に対する理解とリスペクトがあり、私の本業に差し障りのないように進めたいという姿勢も示してくださいました。
プロ同士が同じ方向を目指して
——Maglieのみなさんが、新倉さんと一緒に「演奏家向けドレス」を展開したいと思ったポイントはどんなところにあったのでしょうか。
井端 ドレスとは、コンサートのように非日常的な場面で着るものですよね。ステージ上にいる奏者のみならず、客席で聴くお客様にとっても、お出かけ用の気品ある上質なドレスが求められています。新倉さんは私たちのブランドイメージにぴったりなのです。
新倉さんのコンサートは、私も足繁く通っていますが、音楽家としてまず素晴らしい。プロ意識が高く努力家。謙虚でありつつ、新しいことへのチャレンジ精神にも満ちています。ご自身が通常着られるワンピースなども、私たちのブランドのものをよく着てくださっていて、とてもよくお似合いです。
そんな新倉さんと、演奏家用ドレスを一緒に作り、広めていきたいと考えました。
中村 演奏家として、たくさんのアドバイスを出してくれます。演奏する際のアグレッシブな動きについて、どこをどう動かし、どこにゆとりが必要なのか、細かなところまで伝えてくれるのです。ピアニストは右から見られるし、管楽器や声楽の人にとってはウエスト周りが締め付けられないほうがいい、といったことなども。
洋服の構造を理屈で考えると難しい要求もあり、私やパタンナーさんにとっては「できないかも」と思うところを、新倉さんはいつもポジティブに打ち破ってきてくださるんです。だからみんな「新倉さんには心がある! 新倉さんのドレスを一緒に作りたい!」と言っています。
新倉 いつもコスト度外視で、無理をお伝えしているのに、そう捉えていただけて嬉しいです! でも結局、私は演奏のプロですが、みなさんは洋服づくりのプロでいらして、分野は違えど、目指している方向は一緒なのだと思います。
基礎の力をしっかり持った人たちが、皆でベストを尽くし、信頼し合ってこそ、いい「遊び」ができる。そうやって生まれるものは、まさに素晴らしいアンサンブルですね。
2020 Spring/Summer 新作ドレスのオススメ
ドレスを何枚も必要とする音楽家にとって、価格帯も重要なポイントだが、新倉瞳さんとコラボするロングドレスは、高品質で考えられたデザインでありながら、5万9千円から12万円くらいまでに抑えられている。
何通りものアレンジで印象が変化! ~インフィニティドレス
上半身はワンショルダーにもホルターネックにもアレンジ自在。着方によって印象が変わる。年齢やTPOに合わせて、肌を出したり隠したり、さまざまに着回すこともできる。コンパクトになり持ち運びしやすいドレス。「クラシックの衣装も、モダンでカッコいいデザインであることが大事」と新倉さん。
着回ししやすい2ピース~レースアップ
「オーケストラの中で演奏するときのために、上だけほしいと言われて、初めてセパレートをつくりました」。Maglieお得意のレース素材でありながら、肌の露出を抑えたデザイン。ベルトやリボン(別売)で雰囲気を変えられる。黒と色違いのグリーンとピンクパープルの組み合わせは、より華やかに。
今シーズンのイチオシ! ~ラッフルワンショルダードレス
夜公演の衣装では足を隠すのがマナーだが、「最近ヨーロッパのコンサートでは、足首を少しだけ見せるのが今風なんです」。靴によって雰囲気を変えることもできる。「お姫さまっぽくならないように」ピンクは乳白色系に抑え、腰に黒を入れた。フリルも「かわいすぎないように、アシンメトリーにしています」。
こちらのドレスのデザインや色味などから連想される作曲家は?と新倉さんに尋ねたところ、「チェロ奏者としては、ラフマニノフですね。」とのこと。モーツァルトやショパンの音楽も似合いそうだ。
ラフマニノフ:ヴォカリーズ(新倉瞳さんのアルバム『鳥の歌』より/2006)
背中が開いていてもカップ付きで安心!〜リボンドレス
上半身も楽に動きやすい、背中が大きく開いたバックリボンのドレス。下着に悩みがちな形だが、なんとカップ付きなので気軽。シワになりにくいので持ち運びもしやすい。ミントグリーンは他の奏者と被りにくく、個性も出せる。日本女性の肌色に馴染みやすいカラーを選んでいる。
ヴァンドームともコラボ〜イヤリング
ヴァンドームブティックとのコラボ・アクセサリーも登場。演奏時にはいつも、過剰にならない程度のアクセサリー使いを心がけている新倉さん。写真は、取材時に身に着けていたイヤリング。
イヤリング 15,000円(税抜)
ポップアップショップに、新倉瞳さんが登場! 観劇やコンサートなど、華やかなシーンにぴったりな洗練されたフォルムのドレスが揃う場で、今回プロデュースしたドレスについてのトークショーと、チェロの特別演奏会を開催。
ノベルティとして、期間中会場で27,500円(税込)以上購入すると、オリジナル今治ハンドタオルをプレゼント。さらに、イベントに先立ち、先着15名様に席をご用意。
※状況により、予告なしにトークショーと、チェロの特別演奏会の開催日時の変更、または開催中止とさせていただく場合もございます。ご了承ください
ポップアップショップ期間: 3月11日(水)~17日(火)
営業時間: 10:00~20:00 ※日曜日は19:30まで
※変更される場合がございますので、施設のWebサイトでご確認ください
会場: 銀座三越 3階 GINZAステージ(東京都中央区銀座4-6-16)
問い合わせ: 銀座三越 3階 スーペリア クローゼット Tel.03-3563-7861
※三越銀座はポップアップショップのみの開催です
ポップアップショップ期間: 4月1日(水)~7日(火)
営業時間: 10:00~20:00 ※金・土は21:00まで
※変更される場合がございますので、施設のWebサイトでご確認ください
イベント日時: 4月4日(土)15:00開始 ※30分程度を予定
会場: 阪急うめだ本店 4階 プロモーションスペース(大阪府大阪市北区角田町8-7)
問い合わせ: 阪急うめだ本店 4階 スーペリアクローゼット Tel.06-6313-7240
ポップアップショップ期間: 5月20日(水)~26日(火)
営業時間: 10:00~20:00 ※日曜日は19:30まで
※変更される場合がございますので、施設のWebサイトでご確認ください
イベント日時: 5月23日(土)15:00開始 ※30分程度を予定
会場: JR名古屋 タカシマヤ 6階 ローズパティオ(名古屋市中村区名駅一丁目1番4号)
問い合わせ: JR名古屋 タカシマヤ 6階 スーペリアクローゼット Tel.052-566-8057
関連する記事
-
音楽を奏でる絵#3 マネが憧れ描いた スペインと音楽
-
音楽を奏でる絵#2 ドガの絵が伝える パリ・オペラ座の歴史的ドキュメント
-
音楽を奏でる絵#1 ルノワールから聞こえる パリの音楽社交界
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly