草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル~世界的演奏家からここだけの学びを
1980年に日本初の本格的な夏の音楽アカデミーとしてスタートした「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」。美しい自然の中で世界トップクラスの演奏家にレッスンを受け、その演奏から学び、仲間に出会えるという、ここでしか得られない貴重な経験に満ちています。今年44回目となる音楽アカデミーの講師陣の顔ぶれや、受講生からも定評があるその充実した指導内容についてご紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
多くの演奏家を輩出してきた歴史あるアカデミー
草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルは、1980年にヴァイオリニストの豊田耕児を音楽監督、音楽評論家の故遠山一行を実行委員長として始まった、日本で最初の夏の音楽アカデミー(講習会)とフェスティヴァル(演奏会)からなる音楽祭。
この音楽祭は、日本の若手音楽家が世界の優れた演奏家から直接指導を受ける機会を設けたい、という願いから始まった。そのために、まず音楽アカデミー(講習会)が構想されたが、国内外からせっかくトップレベルの音楽家が集まるのに、その演奏が聴けないのは残念だ。講師のステージを見ることも受講生にとって重要な学びになることから、フェスティヴァル(演奏会)も企画されるようになった。
これまでソロやオーケストラで活躍する演奏家を数多く育ててきたこのアカデミーも、今年で第44回を迎える。ここでは受講生が優れた講師と交流し、単なる技術習得を超えて、自身の中の音楽をする意味を問い直すことが目指されている。
音楽祭の期間中は、アカデミー講師を中心に、草津ならではの組み合わせによる演奏会が毎日開催される。夏の草津高原のさわやかな自然の中で、毎年各地から訪れる音楽愛好家を楽しませている。
世界トップクラスの音楽家のレッスンを受け、講師の演奏からも学べる
今年のアカデミーでは、声楽/ピアノ/ヴァイオリン/チェロ/フルート/オーボエ/オルガン・チェンバロ・通奏低音のクラスが開講される。
草津ではお馴染みの講師の他、チェロのエンリコ・ブロンツィが初登場。また、2017年以来のアントニー・シピリ(ピアノ)、2022年初登場で2回目参加のアンゲリカ・キルヒシュラーガー(声楽)、昨年に続きシュロモ・ミンツも招聘。ヨーロッパに行かずとも、日本で魅力溢れる講師陣からマンツーマンのレッスンが受けられる。
では、今年のマスタークラスの主な講師について、ご紹介していこう。
【声楽】
アンゲリカ・キルヒシュラーガーは、リサイタルとオペラ両方のキャリアを持つメゾソプラノ。前回の受講生からは、ステージ上でのパフォーマンスと熱のこもった指導の両面から、多くのものを吸収できたとの声が多く寄せられた。
【ピアノ】
ブルーノ・カニーノは、イタリア音楽界の巨匠ともいえる存在。氏の奏でるピアノの音を間近で聴き、その音楽を吸収できる貴重な機会を求めて、毎回幅広い年齢層の受講生が集まる。
アントニー・シピリはケルン音楽大学ピアノ室内楽科教授で、ソロだけでなく歌曲伴奏や室内楽も得意とする。かつてはチェンバロ、フォルテピアノ、オルガンも演奏した豊富な音楽経験を持ち、それに基づくレッスンは毎回受講生から好評を得ている。
クリストファー・ヒンターフーバーは、ウィーン国立音楽大学ピアノ科主任を務める傍ら、ソロやアンサンブルの演奏活動を積極的に行なっている。ウィーンのピアノ音楽の基礎とともに、ウィーンの生きた音楽が学べるということで、海外留学を目指す方をはじめ多くの受講生が集まる。
【ヴァイオリン】
カリーン・アダムは、ウィーン・フィル・コンサートマスター出身の名教師フランツ・サモイル教授の愛弟子。毎年受講生一人ひとりに寄り添い、的確で熱意あふれるレッスンを行なっている。氏の奏でる音楽とそのレッスンからは、パワフルであたたかい人柄と深い愛情が感じられ、受講生やファンが増え続けている。
シュロモ・ミンツは、ヴァイオリン界のレジェンドとして知られる。昨年のレッスンは、弓の動きをまとめたグラフを用いる等、他ではなかなか受講できない内容だった。受講生からは、氏の熟考された緻密な演奏テクニックが学べる、とたいへんな好評を得た。
【チェロ】
エンリコ・ブロンツィは、複数のフェスティヴァルの芸術監督として音楽振興に携わりながら、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院教授も務める。教育のみならず演奏活動も積極的に行なっている氏が、草津お馴染みのアーティストたちとどのような音楽を奏でるのか楽しみだ。
【フルート】
カール=ハインツ・シュッツは、ウィーン・フィルの首席フルート奏者。草津では、レッスンだけでなく氏の演奏からも学べるということで人気が高い。毎回日本各地から数多くの受講生が集まる。
【オーボエ】
トーマス・インデアミューレは草津の名物講師で、これまで多くの弟子を日本のプロ・オーケストラに送り出してきた。彼独自のメソッドを用いたレッスンには定評があり、リピーターの受講生が多いのも特徴だ。
【オルガン・チェンバロ・通奏低音】
クラウディオ・ブリツィは音楽祭の期間中、コンサートやリハーサル、レッスン以外の時間の大半を練習や楽器のメンテナンスに費やす、まさに鍵盤楽器の申し子のような存在。受講生からは、楽器に関する豊富な知識に基づいたレッスンが受けられると定評がある。
仲間との出会いや、受講生が演奏を披露するチャンスも
国内外から集まった第一線で活躍する演奏家や、演奏家を志す仲間と同じ場所に滞在し、さまざまな出会いがあるという点でも草津は特別だ。
受講生からは毎年、「世代を問わず仲良くなれて、毎日音楽の話や将来の話ができて、すごく楽しかった」「自分のレッスンを聴いた聴講生や受講生から温かい言葉をかけていただくうちに、毎日会話を交わすことになり、嬉しかった」といった喜びの声が寄せられる。
草津内のホテル・ロビーで開かれるコンサートや、最終日のスチューデント・コンサートなど、選ばれた受講生には自身の演奏をお客様に披露する機会も設けられている。
「とても有意義だった。お客さんのことを考えるように言われていたので、実践できる機会をもらえてよかった」「思っていた以上にたくさんの方が聴いてくださり、弾いていて楽しかった。いい経験になった」といった受講生の声からは、レッスンで得た学びを実践できた手ごたえが伝わってくる。
このように、世界トップクラスの演奏家から渾身のレッスンを受け、その演奏から学び、志を同じくする仲間と出会い、研修成果も披露できる、とすべてが用意されている。今年の夏は、ぜひこの歴史あるアカデミーで実り豊かな夏を過ごしたい。
アカデミーにはマスタークラスを聴講する制度も揃っている。
・長期聴講:希望する連続した7日間または全期間のマスタークラス、公開レッスン、コンサートに入場できる
・1日聴講:希望する日のマスタークラスを見学できる
・公開レッスン:8月22日~27日の間で行なわれる公開レッスン、講演会の聴講ができる
詳しくは「2024聴講クラス・公開レッスン」をご確認ください。
第44回のテーマ:モーツァルト―愛され続ける天才
募集期間:2024年6月3日(月)12:00~6月12日(水)16:00締切
開講期間:2024年8月17日(土)~8月30日(金)
マスタークラス講師:
アンゲリカ・キルヒシュラーガー(声楽)
アントニー・シピリ(ピアノ)
クリストファー・ヒンターフーバー(ピアノ)
ブルーノ・カニーノ(ピアノ)
カリーン・アダム(ヴァイオリン)
シュロモ・ミンツ(ヴァイオリン)
エンリコ・ブロンツィ(チェロ)
カール=ハインツ・シュッツ(フルート)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)
クラウディオ・ブリツィ(オルガン/チェンバロ/通奏低音)
開催場所:群馬県吾妻郡草津町天狗山レストハウス、草津音楽の森国際コンサートホール、他
開講クラス:声楽/ピアノ/ヴァイオリン/チェロ/フルート/オーボエ/オルガン・チェンバロ・通奏低音
受講料金:110,000円(レッスン受講料の他、コンサート料金を含む)
申し込み方法:草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル公式ホームページより、オンライン申し込み
問合せ
草津夏期国際音楽アカデミー事務局
TEL:03-5790-5561(平日10:00~18:00)
E-mail:info@kusa2.jp
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