能声楽家・青木涼子がコロナ禍で世界各地に祈る「能声楽奉納」YouTubeライブ配信
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
邪気を打ち払うような、厳しくも深い情感を込めた声。襟を正したくなるような、清新な空気。能声楽家・青木涼子さんの声は、聴けば聴くほどに、味わい深く心に染み込む、「世界の宝」である。
14世紀に起源をもつ能楽(能と狂言の総称)は、日本の伝統的な演劇であり、祈りの芸能・神事でもあるが、そこから派生して、能の謡(うたい)の様式により青木涼子さんが開拓した「能声楽家」というあり方は世界に衝撃を与え、19か国50人以上もの作曲家たちが楽曲を提供してきた。
その青木さんがいま取り組んでいるのが「能声楽奉納」YouTubeライブ配信である。
世界を覆うコロナ禍において、病からの復帰を祈る行為として、これまでにイタリア、フランス、スペイン、オランダの人々に向けて、現地に住む作曲家や演奏家たちとリモートで結びながら、青木さんは日本から演奏しつつライブ配信してきたものである。
これまでの配信をすべて視聴してきて思うのは、能の発声法を新しい音楽や演劇の素材とすることが、これほどまでに豊かな可能性があるのかという驚きである。たとえば、昨年12月7日にオランダのアムステルダム・
2020年12月7日に配信された馬場法子「ハゴロモ・スイート」
出演:青木涼子(能声楽/東京・オランダ大使館)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団メンバーよりヴァイオリン:内藤淳子/シルヴィア・ホアン、ヴィオラ:小熊佐絵子、チェロ:フレッド・エーデレン(弦楽四重奏団/アムステルダムコンセルトヘボウ リサイタルホール)、馬場法子(作曲・ローマ)
いよいよ2月19日(金)には、ライブ配信のシリーズ第5回のドイツ編として、ハンガリー出身の現代最高の作曲家のひとり、ペーテル・エトヴェシュの「くちづけ」(台本:平田オリザ)を奉納演奏する。
この作品の原作は、イタリアの小説家アレッサンドロ・バリッコによる小説「絹」。舞台は幕末の日本で、富岡製糸場を思わせる物語背景となっていることもあり、今回青木さんは横浜三渓園(創設者の原三渓は富岡製糸場の経営者)から、ドイツの音楽アンサンブル、ムジークファブリークはケルンからの演奏をリモートで結ぶ。
公演の映像は、ライブ配信、アーカイブともにすべて無料で視聴可能。
第5回 新型コロナウイルス終息祈願「能声楽奉納」ドイツのために
日時:2021年2月19日(金)19:00~19:30(日本) 11:00~11:30(CET)
日時: 2021年2月19日(金)19:00~19:30(日本)11:00~11:30(CET)
場所: 横浜 三渓園 旧燈明寺本堂[重要文化財]/スタジオ・アンサンブル・ムジークファブリーク
曲目: ペーテル・エトヴェシュ「くちづけ」
出演:
青木涼子(能声楽・横浜)
Mariano Chiacchiarini指揮 アンサンブル・ムジークファブリーク(管弦楽・ケルン)
ペーテル・エトヴェシュ(作曲・ブダペスト)
テクニカル・ディレクション/ライブストリーム: LUFTZUG
助成: 神奈川県文化芸術活動再開加速化事業補助金
協力: ゲーテ・インスティトゥート東京、AMATI
視聴用URL: https://youtu.be/X2yIQnM_Z2w
視聴料: 無料
※PeatixとPayPalで支援金を受け付けている
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