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2021.02.18
林田直樹のミニ音楽雑記帳 No.38

能声楽家・青木涼子がコロナ禍で世界各地に祈る「能声楽奉納」YouTubeライブ配信

林田直樹
林田直樹 ONTOMOエディトリアル・アドバイザー/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

メイン写真:2019年9月8日、ペーテル・エトヴェシュ「くちづけ」の公演。ベルリン・フィルハーモニーホールにて。青木涼子、アンサンブル・ムジークファブリーク、ペーテル・エトヴェシュが出演。
Photo : Adam Janisch

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邪気を打ち払うような、厳しくも深い情感を込めた声。襟を正したくなるような、清新な空気。能声楽家・青木涼子さんの声は、聴けば聴くほどに、味わい深く心に染み込む、「世界の宝」である。

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能声楽家の青木涼子さん。Photo : Hiroaki Seo

14世紀に起源をもつ能楽(能と狂言の総称)は、日本の伝統的な演劇であり、祈りの芸能・神事でもあるが、そこから派生して、能の(うたい)の様式により青木涼子さんが開拓した「能声楽家」というあり方は世界に衝撃を与え、19か国50人以上もの作曲家たちが楽曲を提供してきた。

その青木さんがいま取り組んでいるのが「能声楽奉納」YouTubeライブ配信である。

世界を覆うコロナ禍において、病からの復帰を祈る行為として、これまでにイタリア、フランス、スペイン、オランダの人々に向けて、現地に住む作曲家や演奏家たちとリモートで結びながら、青木さんは日本から演奏しつつライブ配信してきたものである。

これまでの配信をすべて視聴してきて思うのは、能の発声法を新しい音楽や演劇の素材とすることが、これほどまでに豊かな可能性があるのかという驚きである。たとえば、昨年12月7日にオランダのアムステルダム・コンセルトヘボウと結んで配信された馬場法子作曲の「ハゴロモ・スイート」は、天女と漁師をめぐる物語の中で、海に向かって釣り竿をヒュッと投げる音を弦楽器の弓で空を切って表現したり、カモメの鳴き声を模したり、音楽と演劇の一致した面白さがあった

2020年12月7日に配信された馬場法子「ハゴロモ・スイート」
出演:青木涼子(能声楽/東京・オランダ大使館)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団メンバーよりヴァイオリン:内藤淳子/シルヴィア・ホアン
、ヴィオラ:小熊佐絵子、チェロ:フレッド・エーデレン(弦楽四重奏団/アムステルダムコンセルトヘボウ リサイタルホール)、馬場法子(作曲・ローマ) 

いよいよ2月19日(金)には、ライブ配信のシリーズ第5回のドイツ編として、ハンガリー出身の現代最高の作曲家のひとり、ペーテル・エトヴェシュ「くちづけ」(台本:平田オリザ)を奉納演奏する。

ペーテル・エトヴェシュ(作曲家)
作曲家/指揮者。1944年、当時ハンガリー領だったトランシルヴァニア地方のセーケィウドヴァルヘイ生まれ。カールスルーエ音楽大学教授、ケルン音楽大学教授を歴任したほか、若い作曲家と指揮者のためのマスタークラスを行うなど、教育者としても熱心な活動を続けている。指揮者としても、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ミラノ・スカラ座、ロイヤル・オペラ・ハウスなど、世界の主要オーケストラ・歌劇場に定期的に客演している。©Marco Borggreve

この作品の原作は、イタリアの小説家アレッサンドロ・バリッコによる小説「絹」。舞台は幕末の日本で、富岡製糸場を思わせる物語背景となっていることもあり、今回青木さんは横浜三渓園(創設者の原三渓は富岡製糸場の経営者)から、ドイツの音楽アンサンブル、ムジークファブリークはケルンからの演奏をリモートで結ぶ。

アンサンブル・ムジークファブリーク(管弦楽)
特に芸術的な革新に焦点を当てて活動し、現代音楽を牽引するアンサンブルの一つ。1990年に創立、ドイツ・ケルンが本拠地。年に80回のコンサートをドイツと海外で行い、ケルンで行なう「Musikfabrik in WDR」という定期公演、定期的なラジオの録音、CD出版も行なっている。
Photo : Katharina Dubno, Lightdesign : Joscha Brück

公演の映像は、ライブ配信、アーカイブともにすべて無料で視聴可能。

第5回 新型コロナウイルス終息祈願「能声楽奉納」ドイツのために
日時:2021年2月19日(金)19:00~19:30(日本) 11:00~11:30(CET)

配信情報
第5回 新型コロナウィルス終息祈願「能声楽奉納」ドイツのために

日時: 2021年2月19日(金)19:00~19:30(日本)11:00~11:30(CET) 

場所: 横浜 三渓園 旧燈明寺本堂[重要文化財]/スタジオ・アンサンブル・ムジークファブリーク

曲目: ペーテル・エトヴェシュ「くちづけ」

出演: 

青木涼子(能声楽・横浜)

Mariano Chiacchiarini指揮 アンサンブル・ムジークファブリーク(管弦楽・ケルン)

ペーテル・エトヴェシュ(作曲・ブダペスト)

テクニカル・ディレクション/ライブストリーム: LUFTZUG

助成: 神奈川県文化芸術活動再開加速化事業補助金

協力: ゲーテ・インスティトゥート東京、AMATI

視聴用URL: https://youtu.be/X2yIQnM_Z2w

視聴料: 無料

※PeatixとPayPalで支援金を受け付けている

Peatix https://honohforgermany.peatix.com/

PayPal  https://www.paypal.me/nohvoicemusic

林田直樹
林田直樹 ONTOMOエディトリアル・アドバイザー/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

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