大晦日の風物詩が25周年!

12月31日23時59分59秒の名珍場面——年越しは東急ジルベスターコンサートのカウントダウンで!

イベント
2019.12.28

大晦日、各TV局で多様にカウントダウン番組が繰り広げられるなか、テレビ東京は25年もの間、東急ジルベスターコンサートのライブ中継で、華やかな年越しを演出してきた。
全国のクラシック・ファンが熱くなっている最中……その舞台裏を、初回から構成に携わっている新井鷗子さんは見ていた!

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写真提供:東急文化村
メイン写真撮影:三浦興一
25年構成を担当
新井鷗子 クラシックコンサート構成作家
新井鷗子
25年構成を担当
新井鷗子 クラシックコンサート構成作家
東京都出身。東京藝術大学楽理科および作曲科卒業。クラシックコンサート、テレビの音楽番組の構成・監修を手がける。1998年NHK音楽教育番組「わがままオーケストラ」の構...

生演奏によるカウントダウンの元祖

「ボレロが終わるときに、バーンと年が明けたら面白いよね!」

指揮者の大野和士さんとオーチャードホールの企画プロデューサーが、酒の肴をつまみながら冗談まじりに話すその横で、私は寿司屋の箸袋の裏にプログラムの構成を書き留めていました。「東急ジルベスターコンサート」はそんな思いつきから始まりました。

ある1曲が終わる瞬間と新年の午前0時の瞬間をぴたりと合わせる「オーケストラの生演奏によるカウントダウン」が呼び物のこのコンサート。今でこそ日本全国のホールで大晦日にジルベスター(ジルヴェスター)コンサートが行なわれていますが、25年前は「Silvester=大晦日」という言葉もほとんど知られていませんでした。

日本初のジルベスターコンサートとして、Bunkamuraオーチャードホールで「東急ジルベスターコンサート」が始まったのは1995年。毎年テレビ東京系列全国ネットで生中継されることもあり、日本全国に「生演奏によるカウントダウン」というアイデアが広まっていきました。私は、初回からこのコンサートの構成を務めています。

カウントダウンまでのプロセス

どうやって作られているのか手順を紹介しましょう。

まずカウントダウンの曲は、

①大きな音で盛り上がって終わる曲
②緊張を持続できる15分位の曲
③今年の話題に合う曲

の3つが条件で、指揮者と相談しながら曲を決定します。

オーケストラのリハーサル時に、カウントダウン曲の演奏時間を、テレビ局の専門職タイムキーパーさん2〜3人が、何分何秒まで正確に計測します。楽想が変わるごとに細かく演奏時間を楽譜に書き込んでいき、その演奏時間を実際の時刻リアルタイムに変換して、指揮者用の楽譜に記入します。例えば、ボレロの演奏時間が15分15秒だったとしたら、曲の開始は23時44分45秒、チェロが主旋律を弾く時間は23時55分23秒、というように。

本番時、指揮台の横にリアルタイムの「何分何秒」だけが見えるストップウォッチを置き、指揮者はそれを見ながら指揮をします。しかし、オーケストラの東京フィルハーモニー交響楽団は誰一人時計を見ることなく、運命をすべて指揮者のタクトに託してついていきます。

そして、午前0時の瞬間に、演奏が終わっていようがいまいが、冷酷にキャノン砲がバーン! と舞台に放たれるのです

指揮者が山田和樹さんだった2014-2015年の年越しの瞬間。©三浦興一

過去の名珍場面

いざ本番となると、指揮者は音楽のことしか考えられません。ふと気づいて時計を見たら、予定より30秒も早かったり遅かったり等のハプニングが必ずあって、そこから指揮者は全身で巻き返しにかかります。

第1回の指揮者、大野和士さんはラヴェルの「ボレロ」でカウントダウン。曲の後半に差し掛かったところで予定より数分も遅れていることに気づき、頭の中が真っ白になったといいます。舞台袖のスタッフたちも、これは間に合わないと諦めていたとき、突然アクセルを踏んだようにみるみるテンポが速くなり、ドドドとすべりこみセーフで午前0時に間に合ったこともありました。

1999年から2000年は熊川哲也さんが踊る「ボレロ」でカウントダウン。指揮の沼尻竜典さんが午前0時にぴたりと合わせて振り終えたにもかかわらず、機械の不具合でキャノン砲が数秒遅れて発射されるという珍事も。

「時間に合わせて指揮をするなんてナンセンス! 音楽的な演奏を優先する」と豪語した井上道義さんは、2008年から2009年を悠々とまたいでの演奏。

2008-2009年のカウントダウン曲は、ガーシュウィン作曲『ラプソディ・イン・ブルー』。指揮は井上道義、ピアノは小曽根真。©三浦興一

昨年はアンドレア・バッティストーニさんが、《アイーダ》の「凱旋行進曲」の最後の1音を20秒近くも延ばしに延ばして、午前0時「頃」というイタリア時間で新年を迎えました。

バッティストーニ指揮《アイーダ》の「凱旋行進曲」

2018-2019のカウントダウン曲、ヴェルディのオペラ《アイーダ》の「凱旋行進曲」で、客席バルコニーで演奏するアイーダトランペットに向いて指揮をするアンドレア・バッティストーニ。©三浦興一

2019→2020の瞬間は?

今年のマエストロは山田和樹さん。東京フィルハーモニー交響楽団、東京混声合唱団とともに、ホルスト作曲《惑星》から「木星」でカウントダウンです。今回のために振り付けしたオリジナルの作品を、東京バレエ団が踊ります。中間部のメロディは、ラグビーワールドカップのテーマ曲として今年話題の音楽となりました。

指揮者の山田和樹。モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団の音楽監督兼理事長を務める。©Marco Borggreve

AIやVRや最先端のテクノロジーが世界を動かすこの現代にあって、人間が指や腕を動かして楽器を演奏し、一人の指揮者がタクトを振るという、ひたすらアナログな行為によって産み出される奇跡の瞬間。

25回目の東急ジルベスターコンサートに喝采あれ!

コンサート情報
東急ジルベスターコンサート2019-2020

日時: 2019年12月31日(火)22:00開演(第1部 22:00~23:00/第2部 23:30~24:45)

放送時間: 23:30~24:45 テレビ東京系列およびBSテレ東にて生中継

会場: Bunkamuraオーチャードホール(東京・渋谷)

出演:

 指揮:山田和樹、沖澤のどか

 ソプラノ:森 麻季

 メゾソプラノ:秋本悠希

 テノール:工藤和真

 バリトン:小森輝彦

 ピアノ:藤田真央

 バレエ:東京バレエ団

 合唱:東京混声合唱団

 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

曲目: ホルスト:「惑星」より“木星” 

ベートーヴェン:交響曲 第9番 第4楽章「歓喜の歌」

ラヴェル:ラ・ヴァルス ほか

チケット: S席12,000円 A席10,000円 ※完売

※当日券情報はこちら

問い合わせ: Bunkamura  Tel.03-3477-3244

詳しくはこちら

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