イベント
2019.02.11
日本フィル&サントリーホールがタッグを組んで企画

30代以上の女性にリフレッシュする時間を! 平日午後のコンサート「とっておき アフタヌーン」

平日の午後、みなさんは何をしていますか? 子育て世代は週末だって忙しい。コンサートなんて「子どもと一緒に行けるものなら」と思いがちです。でも、たまには自分のためにエレガントな時間を過ごしたい……それを可能にしてくれるコンサートがあるとしたら?
ターゲットを「30代以上の女性」にして企画された、日本フィル&サントリーホール共催のコンサートシリーズ「とっておき アフタヌーン」。音楽だけじゃない、サービスもオプションも充実。まずは、2月26日(火)からトライしてみましょう!

取材・文
飯尾洋一
取材・文
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

インタビュー写真:ヒダキトモコ

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お出かけしづらい30代以上の女性へ

コンサートといえば平日の夜か、休日に足を運ぶもの。かつてはそんなふうに思っていたが、近年、ぐんぐんと増えてきているのが平日午後のコンサート。趣向を凝らしたさまざまな公演が開催され、客席も活況を呈している。

日本フィルとサントリーホールが共催する「とっておき アフタヌーン」もそんな平日午後のコンサート・シリーズのひとつ。ワンシーズンに3公演、14時開演(来季からは13時30分開演)で開催されている。

平日午後の公演というと、多くの方がリタイア層を狙った企画だと考えるかもしれない。しかし、この「とっておき アフタヌーン」がメイン・ターゲットとしているのは30代以上の女性。子育て世代も念頭に、託児サービスも行なっている。

シリーズの狙いについて、日本フィルハーモニー交響楽団の山岸淳子さんとサントリーホールの中鉢智博さんにお話をうかがった。

日本フィルハーモニー交響楽団マネジメント・スタッフの山岸淳子さん(左)とサントリーホール企画制作部の中鉢智博さん。お二人とも思いは同じ。伝えたいメッセージを各回に込め、聴き手と演奏者が接点をもって共感してもらえるコンサートづくりを目指す。

山岸 これまでコンサートホールにあまり来ていただいていないお客さまにも聴いていただこうということで、2015年からスタートしたのが「とっておき アフタヌーン」シリーズです。もちろん、どなたが来ていただいても歓迎なのですが、お客様像としては、最初から30代以上の女性をイメージしていました。

中鉢 サントリーホールを年間を通してよくご利用いただいているのが日本フィルさんなんです。そこで、お互いのノウハウを共有しながら、いっしょに新しいお客さまを開拓しましょうと始めたのがこのシリーズです。若い世代、特に女性に関心をもっていただけるようなプログラムや出演者を考えています。

音楽家の素顔が見えるトーク

2月26日(火)に開催される「とっておき アフタヌーン」Vol.9では、「ロマンをめぐる物語——”愛”」と銘打って、映画「ロメオとジュリエット」より「テーマ」、エルガーの「愛のあいさつ」、チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」など、愛にちなんだプログラムが組まれた。ほかにメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲や、ラフマニノフの交響曲第2番の第3楽章といった、ロマンあふれる名曲も。

指揮は角田鋼亮、独奏ヴァイオリンは成田達輝、バリトンおよびナビゲーターは加耒(かく)徹。出演者には日本を代表する気鋭の若手たちが並ぶ。

山岸 このシリーズでは必ずトークが入ります。2月の公演では加耒徹さんが1曲歌って、ナビゲーターも務めます。トークといっても、堅苦しい解説をするわけではありません。

中鉢 話題としては、たとえば選曲の理由ですとか、練習でのエピソードなどですね。トークはお客さまがアーティストと接点を見つけてもらうためのものだと思っています。

バリトン歌手の加耒徹
バリトン歌手の加耒徹が、2018年度の「とっておき アフタヌーン」でナビゲーターを務める。
指揮は角田鋼亮
指揮は角田鋼亮。©大杉隼平
ヴァイオリン成田達輝
ヴァイオリン・ソロは成田達輝。©Marco Borggreve
日本フィルハーモニー交響楽団 in サントリーホール
日本フィルハーモニー交響楽団 in サントリーホール。©堀田力丸

来シーズンは、5月8日(水)、10月8日(火)、2020年3月18日(水)の3公演が開催される。

共通するテーマは「マエストロと新星が紡ぐストーリー」。
こちらは藤岡幸夫、沼尻竜典、広上淳一といった実績豊富な指揮者陣に、それぞれ服部百音(ヴァイオリン)、鳥羽咲音(チェロ)、藤田真央(ピアノ)といった、ぐっと若い世代のソリストたちが共演するという趣向になっている。

また、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」や「春の祭典」など、オーケストラの華やかなサウンドを堪能できる選曲も目をひく。これは「30代以上の女性向けに」と伝えて、指揮者に意見を求めたという。

オプションで多様な楽しみを!

「とっておき アフタヌーン」の特徴としては、オプションサービスの充実も挙げられるだろう。

3人以上で10%引きになるグループ割引、託児サービス(イベント託児・マザーズ:事前申し込み制・有料。締切は公演の1週間前)、そしてコンサート前後の「おもてなし」として、ホテルオークラ東京とANAインターコンチネンタルホテル東京で、ランチやティータイムを特別優待価格で利用することができる。

また、人気が高いのが、コンサート直前にあるオーケストラのリハーサル体験だ(Vol.9の申し込みは終了)。その後、サントリーホールのホワイエでオブジェや美術品などのガイドもある。

 

ピュイ・ダムール(愛の泉)
ホテルオークラ東京からのとっておきのおもてなし! フランスの伝統菓子「ピュイ・ダムール(愛の泉)」を公演当日の2月26日(火)に限り、ダイニングカフェ カメリアにて先着30個限定で用意。通常600円のところ500円(税込)でお持ち帰りできる。

山岸 一般のお客さまは普段目にすることができないリハーサルを見学できるということで、毎回定員以上のご応募をいただいています。

中鉢 演奏会だけではない、プラスアルファの体験をしていただきたいと思っています。

14時(来季は13時30分)開演という設定も絶妙だ。終演後、帰宅ラッシュに巻き込まれることなく帰ることができ、夕飯の支度にも差し障りがないというのがこの時間帯。慌ただしい日常から解放されて、午後のひとときを自分のための時間として使う。ときにはそんなリフレッシュも必要だろう。

日本フィルの山岸さんは「ほかの舞台芸術と比べて、どうしてクラシックは遠く感じてしまうのだろう?」と疑問を感じ、女性スタッフの意見を取り入れながら、コンサートの楽しみ方を増やす工夫を提案するよう心掛けているそう。
「子育て世代の女性に来ていただきたいので、終演時間は16時までを目指しています。13時半からでしたらトークが盛り上がっても大丈夫。余韻に浸ってから帰宅していただけます」とサントリーホールの中鉢さん。
日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン
Vol.9 ロマンをめぐる物語 ―“愛”

日時 2019年2月26日(火)14:00開演

曲目:
ニーノ・ロータ:映画《ロメオとジュリエット》よりテーマ
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
モーツァルト:オペラ《フィガロの結婚》序曲
エルガー:愛のあいさつ
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27より 第3楽章
チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》

出演: 角田鋼亮(指揮)、成田達輝(ヴァイオリン)、加耒徹(バリトン&ナビゲーター)、日本フィルハーモニー交響楽団

料金 S席6,000円/A席4,000円/B席3,000円

公式ページはこちら

 

Vol.10

日時: 201958日(水)13:30開演

曲目: チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35、ストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)※解説付 ほか

出演: 藤岡幸夫(指揮)、服部百音(ヴァイオリン)、日本フィルハーモニー交響楽団

公式ページはこちら

Vol.11

日時: 2019年108日(火)13:30開演

曲目: チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》 ほか

出演: 沼尻竜典(指揮)、鳥羽咲音(チェロ)、日本フィルハーモニー交響楽団

公式ページはこちら

Vol.12

日時: 2020年3月18日(水)13:30開演

曲目: ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11 ほか

出演: 広上淳一(指揮)、藤田真央(チェロ)、日本フィルハーモニー交響楽団

公式ページはこちら

 

 

料金:

【1回券】S席6,000円/A席4,000円/B席3,000円

【3回セット券】S席15,000円/A席9,000円(全席指定、税込)※5/1まで日本フィル・サービスセンターでの取り扱い

 

問い合わせ先:

サントリーホール 0570-55-0017 
日本フィル・サービスセンター 03-5378-5911

 

会場: サントリーホール 大ホール

取材・文
飯尾洋一
取材・文
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

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