インタビュー
2023.02.06
河村尚子の未来へのチャレンジにぜひとも行かねば!2023年3月9、13日サントリー音楽賞受賞記念コンサート

河村尚子×山田和樹 エイミー・ビーチの協奏曲で共演する二人が女性作曲家を語り合う

2019年に半世紀の歴史を誇る「サントリー音楽賞」を受賞したピアニストの河村尚子さん。その受賞記念コンサートがコロナ禍を経て、ついに3月9日と13日、サントリーホールで開催されます。ソロから室内楽、協奏曲までを敬愛する音楽仲間とともに、曲目には古典から邦人作品、そして滅多に生では聴けない女性作曲家の作品までが並ぶ、本当に贅沢なコンサート。これはぜひとも行かねば!ということで、河村尚子さんと山田和樹さんに、女性作曲家のすぐれた作品について、および音楽家としての互いへのリスペクトをたっぷりと伺いました。

ききて・まとめ
林田直樹
ききて・まとめ
林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

河村尚子© Marco Borggreve
山田和樹©Zuzanna Specjal

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ロックダウン中に学生と始めた勉強会でビーチの作品と出会った

林田 今回の「第51回サントリー音楽賞受賞記念コンサート」のプログラムを見て、思わず興奮しました。滅多に生で聴けない女性作曲家ふたりが入っているからです。特に、以前から気になっていたアメリカの作曲家エイミー・ビーチ(1867-1944)をまさか日本で生で聴けるとは……よくぞ取り上げてくださいました。

河村 ご興味を示してくださってありがとうございます。私もはじめて弾く曲です。きっかけは、私は大学でも教えている身なのですが、3年前にロックダウンになってzoomでクラスのみんなと会って、視野を広げるためにひとり1曲自分の気に入ったオーケストラの曲を紹介していくうちに、女性作曲家の曲も取り上げてみようということになったことです。

そこで、台湾人の女の子がエイミー・ビーチの《スラブのメロディーによるバリエーション》という曲を弾き始めたんですね。ビーチの作曲家としての魅力がとても伝わってきて、私も興味を持ったのです。

エイミー・ビーチ(1867-1944): ピアニスト、作曲家として生涯にわたる活躍を続け、アメリカ女性として初の交響曲をはじめ、大規模な作品も高く評価された。16歳でピアニストとしてデビューを果たし、18歳で結婚後、作曲に力を入れるようになる。1896年に初演された交響曲ホ短調《ゲーリック》Op.32は、アメリカの交響曲としてはじめてヨーロッパの主要オーケストラのレパートリーに加わった。その後「ピアノ協奏曲」Op.45や「ヴァイオリン・ソナタ」Op.34など傑作が続き、夫の死後、「ピアノ協奏曲」Op.45をベルリン・フィルと共演するなど、演奏家、作曲家としての名声をますます高めていった。1944年、心臓疾患のために77歳で死去。

スケールが大きい作品を作った数少ない女性作曲家

林田 今回演奏されるビーチの「ピアノ協奏曲 嬰ハ短調」は、その後に弾かれるブラームスの「ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調」もそうですが、楽章が4つあってすごく規模の大きな、交響曲のようなピアノ協奏曲です。それが2つ並ぶというのはピアニストにとって大変挑戦的なプログラムですね。

河村 エイミー・ビーチのようにスケールが大きい作品を作った女性作曲家って少ないんですよね。アメリカの黒人の作曲家でフローレンス・プライス(1887-1953)も協奏曲を書いていますが、ビーチほどのスケールの大きさじゃない。フランスのセシル・シャミナード(1857-1944)やナディア・ブーランジェ(1887-1979)も、オーケストラ曲を書いているんですが、みんな小ぶりなんですね。やっぱり大きなスケールの作品を紹介したいなというのもあってビーチにしました。

フローレンス・プライス(1887-1953):アメリカ初の黒人女性の作曲家。ニューイングランド音楽院で作曲を学び、ワナメイカー財団賞で1等賞を受賞した「交響曲第1番」はシカゴ交響楽団で初演された。多様なジャンルを作曲し、黒人霊歌の編曲も手がけた。
セシル・シャミナード(1857-1944):12歳でビゼーに楽才を認められ、ベル・エポックのパリでピアニスト・作曲家として人気の頂点を極めた。女性作曲家として初めてレジオン・ドヌール勲章を授与され、フランスのみならず米英でも高い評価を得た。
ナディア・ブーランジェ(1887-1979):パリ音楽院でフォーレに作曲を師事。ローマ大賞第2位を獲得後、歌曲、ピアノ曲、オルガン曲、オペラなどを発表。エコール・ノルマル校長やパリ音楽院教授を務め、カーター、コープランド、バーンスタインなど優れた音楽家を多数輩出した。

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