河村尚子×山田和樹 エイミー・ビーチの協奏曲で共演する二人が女性作曲家を語り合う
2019年に半世紀の歴史を誇る「サントリー音楽賞」を受賞したピアニストの河村尚子さん。その受賞記念コンサートがコロナ禍を経て、ついに3月9日と13日、サントリーホールで開催されます。ソロから室内楽、協奏曲までを敬愛する音楽仲間とともに、曲目には古典から邦人作品、そして滅多に生では聴けない女性作曲家の作品までが並ぶ、本当に贅沢なコンサート。これはぜひとも行かねば!ということで、河村尚子さんと山田和樹さんに、女性作曲家のすぐれた作品について、および音楽家としての互いへのリスペクトをたっぷりと伺いました。
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
ロックダウン中に学生と始めた勉強会でビーチの作品と出会った
林田 今回の「第51回サントリー音楽賞受賞記念コンサート」のプログラムを見て、思わず興奮しました。滅多に生で聴けない女性作曲家ふたりが入っているからです。特に、以前から気になっていたアメリカの作曲家エイミー・ビーチ(1867-1944)をまさか日本で生で聴けるとは……よくぞ取り上げてくださいました。
河村 ご興味を示してくださってありがとうございます。私もはじめて弾く曲です。きっかけは、私は大学でも教えている身なのですが、3年前にロックダウンになってzoomでクラスのみんなと会って、視野を広げるためにひとり1曲自分の気に入ったオーケストラの曲を紹介していくうちに、女性作曲家の曲も取り上げてみようということになったことです。
そこで、台湾人の女の子がエイミー・ビーチの《スラブのメロディーによるバリエーション》という曲を弾き始めたんですね。ビーチの作曲家としての魅力がとても伝わってきて、私も興味を持ったのです。
スケールが大きい作品を作った数少ない女性作曲家
林田 今回演奏されるビーチの「ピアノ協奏曲 嬰ハ短調」は、その後に弾かれるブラームスの「ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調」もそうですが、楽章が4つあってすごく規模の大きな、交響曲のようなピアノ協奏曲です。それが2つ並ぶというのはピアニストにとって大変挑戦的なプログラムですね。
河村 エイミー・ビーチのようにスケールが大きい作品を作った女性作曲家って少ないんですよね。アメリカの黒人の作曲家でフローレンス・プライス(1887-1953)も協奏曲を書いていますが、ビーチほどのスケールの大きさじゃない。フランスのセシル・シャミナード(1857-1944)やナディア・ブーランジェ(1887-1979)も、オーケストラ曲を書いているんですが、みんな小ぶりなんですね。やっぱり大きなスケールの作品を紹介したいなというのもあってビーチにしました。
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