
山下裕賀&小堀勇介&池内響が競演!若手スターにきく べルカント三大作曲家の真髄とは

2度にわたってオペラ・ファンを熱狂させた「浜離宮ベルカントシリーズ」が来る4月、3たび実現します。出演は、いま歌い盛りのスター歌手たち~小堀勇介(テノール)、山下裕賀(メゾソプラノ)、池内 響(バリトン)と、オペラを知り尽くしたピアニスト・矢野雄太。ベルカントを幅広く網羅したプログラムや「三大作曲家」の個性について、この公演にかける想いを熱く語っていただきました。

東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院博士課程満期退学(音楽史専攻)。音楽物書き。主にバッハを中心とする古楽およびオペラについて執筆、講演活動を行う。オンライン...
そもそも「ベルカント」とは?
そもそも「ベルカント」という言葉には二つの意味がある。「音楽用語でのベルカントは『美しく歌う』ことですが、『ベルカント・オペラ』というとロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの3人の様式を指します」(小堀)。3人はほぼ同時代に活躍し、喜劇から悲劇までイタリア・オペラの幅広い可能性を開拓した。そういう意味ではオペラ史上でも充実した時代だ。

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院修士課程音楽研究科声楽(オペラ)専攻修了。2017年に渡伊。ミラノで研鑽を積み、2018年に第56回ヴェルディの声国際コンクール入選(伊)。2019年第10回サルヴァトーレ・リチートラ声楽コンクール第1位(伊)、2022年第20回東京音楽コンクール声楽部門第1位及び聴衆賞等多数受賞。2025年はびわ湖ホール《死の都》フランク、日本フィルハーモニー交響楽団《仮面舞踏会》レナート、大宮ソニックシティ新作オペラ《平家物語~平清盛~》題名役などで出演。2026年はNHKニューイヤーオペラコンサート、全国共同制作オペラ《愛の妙薬》ベルコーレ、日生劇場《ドン・ジョヴァンニ》題名役などで出演予定。第37回姫路市芸術文化奨励賞、第25回坂井時忠音楽賞、2020年兵庫県芸術奨励賞の各賞を受賞
右) 小堀 勇介(テノール)Yusuke Kobori
国立音楽大学声楽専攻ならびに同大学院声楽専修オペラ・コースを首席で修了。第88回日本音楽コンクール声楽部門第1位など入賞多数。2016年、文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてイタリアに留学。チロル祝祭歌劇場にて《アルジェのイタリア女》リンドーロで欧州デビュー。帰国後は、びわ湖ホール《連隊の娘》トニオ、日生劇場《愛の妙薬》ネモリーノ、《セビリアの理髪師》アルマヴィーヴァ伯爵などベルカント・オペラ作品に次々と出演。2025年は大宮ソニックシティ新作オペラ《平家物語~平清盛~》源義朝、藤沢市民会館《羊飼いの王様》アレッサンドロ大王などで出演。2026年は藤沢市民オペラ《ランスへの旅》リーベンスコフ伯爵、日生劇場《ドン・ジョヴァンニ》ドン・オッターヴィオなどで出演予定。日本ロッシーニ協会会員。武蔵野音楽大学講師
ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニ~三人三様の個性
では「ベルカント三大作曲家」各人の個性とは?
「レガートのもっていき方が違う。ベッリーニがいちばん重厚」(小堀)。「ロッシーニは前へ向かうエネルギーがある。ドニゼッティにはより『血潮sangue』があって、ベッリーニは聖なる感じ」(山下)。
スカラ座の研修所でオペラを叩き込まれたピアニストの矢野雄太は、「イタリア・オペラではレチタティーヴォが大事ですが、この3人は特にそこにこだわっている。ドニゼッティはシンプルな和音進行が時々思いがけないところに行くのが面白い。3人の中ではベッリーニのハーモニーとメロディラインの作り方がいちばん天才的だと思う」と語る。

東京藝術大学卒業、同大学院修士課程を首席修了。同大学院博士後期課程単位取得。第92回日本音楽コンクール声楽部門第1位および聴衆賞、第9回静岡国際オペラコンクール三浦環特別賞を受賞。これまでに《セビリアの理髪師》ロジーナ、《ラ・チェネレントラ》アンジェリーナなどで出演。2025年は新国立劇場による創作委嘱作品 細川俊夫《ナターシャ》(世界初演)アラト、日生劇場《サンドリヨン》シャルマン王子でそれぞれ出演。2026年はNHKニューイヤーオペラコンサート、群馬交響楽団《カルメン》タイトルロール、京都市交響楽団《コジ・ファン・トゥッテ》ドラベッラ、東京都交響楽団定期演奏会ではマーラー「千人の交響曲」、ブリテン「春の交響曲」でそれぞれソリストとして出演予定。日本声楽アカデミー会員。令和6年京都市文化芸術きらめき賞受賞
右)矢野 雄太(ピアノ)Yuta Yano
東京藝術大学ピアノ科卒業後、同大学大学院修士課程修了。その後渡伊、ミラノ市立クラウディオ・アッバード音楽院指揮科を経て、ミラノ・スカラ座研修所を修了。第13回アントニオ・ナポリターノ国際ピアノコンクール第1位をはじめ、国内外のコンクールにおいて、優勝、入賞多数。ヨーロッパ、アジア、日本各地でリサイタル、室内楽、コンチェルトソリストとして演奏を行ない、著名な楽器奏者、歌手とも多くの演奏会、音楽祭にて共演する。指揮者としては《カヴァレリア・ルスティカーナ》等を指揮、また、ミラノ・スカラ座《ジャンニ・スキッキ》、《リゴレット》、上海・上音オペラハウス《魔笛》などでアシスタントを務める。東京文化会館主催〈現代人形劇×クラシック音楽〉では音楽監督を務め、活動の幅を広げている。東京藝術大学非常勤講師。2026年春、ファーストアルバムCD発売予定
出演者全員が「限界を超えたがっている」プログラム
前回はロッシーニの《セビリアの理髪師》と《ラ・チェネレントラ》のハイライトだったが、今回は「三大作曲家」の名曲が並ぶ。前半は喜劇、後半は悲劇という構成だ。3人それぞれの持ち味も加味した結果、ベルカントを幅広く網羅した内容になった。出演者全員が「限界を超えたがっている」プログラムでもあるそうだ。
「スタートラインはロッシーニ《アルジェのイタリア女》。バリトンとメゾの二重唱〈運命のいたずらに対しては〉を、池内さんと山下さんの音質と生き生きしたキャラで聴いてほしい」。3回すべてに出演し、全体の構成も考える小堀は、アイデアの核をそう明かす。
前回のロッシーニ・プログラムより今回の方が自分に向いた内容だと語る池内は、「前半が喜劇、後半が悲劇でわかりやすいし、内容の幅の広さをこの4人でどこまで表現できるかが挑戦です。ワクワクしています」。
悲劇も喜劇も好きという山下は、「今回は1曲1曲キャラクターも色も違うので、どんな引き出しを開けられるか。今自分の歌うべきレパートリーがベルカントだということは明らかなので」。
矢野はピアニストの立場から「皆さんすごく強い音楽を持っていて、いろいろな場面をそれぞれの強い音楽とともに見られるのが楽しみです」と、顔をほころばせた。
*
なお、好評を受けて今回は、神戸でも同メンバーによるコンサートを開催。神戸公演では、東京での第2、3弾から選りすぐりの名曲を集め、オール・ロッシーニの喜劇作品で構成されたプログラムを披露する。
歌い盛りの3人とオペラを知り尽くしたピアニストが繰り広げる、ベルカントの真骨頂。「ベルカント・オペラ」に親しんでいてもいなくとも、きっと魅了されることだろう。
日時:2026年4月11日(土) 15:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
出演:山下裕賀(メゾソプラノ)、小堀勇介(テノール)、 池内 響(バリトン)、 矢野雄太(ピアノ)
曲目
G.ロッシーニ:
歌劇《ブルスキーノ氏》より「お金はきっと払います」(小堀・池内)
歌劇《アルジェのイタリア女》より
「ひどい運命よ!」(山下)
「美しい人に恋焦がれ」(小堀)
「運命のいたずらに対しては」(山下・池内)
「重たいものを頭に載せられて」(池内)
歌劇《ランスへの旅》より「私にどんな咎があるのですか?」(山下・小堀)
***
G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より「愛とは!(力強い名だ)」(山下・小堀)
G.ドニゼッティ:歌劇《ラ・ファヴォリータ》より
「来たれ、レオノーラ」(池内)
「この地において」(山下・池内)
V.ベッリーニ:歌劇《清教徒》より
「愛するあなたへ」(小堀)
「待て、奪おうとしても無駄だ」(山下・小堀・池内)
G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より「私は一体…あの人は逃げたのね!」 (山下)
※都合により内容は変更となる場合がございます。
チケット:一般 6,000円、U30(30歳以下) 2,000円
問合せ:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990(日・祝除く10:00~18:00)
詳細はこちら
■神戸公演
山下裕賀&小堀勇介&池内響with矢野雄太 in 神戸
日時:2026年4月19日(日) 15:00開演
会場:神戸朝日ホール
出演:山下裕賀(メゾソプラノ)、小堀勇介(テノール)、 池内 響(バリトン)、 矢野雄太(ピアノ)
曲目
G.ロッシーニ:
歌劇《ブルスキーノ氏》より「お金はきっと払います」(小堀・池内)
歌劇《アルジェのイタリア女》より
「酷い運命よ!」(山下)
「美しい人に恋焦がれ」(小堀)
「運命の悪戯には」(山下・池内)
「すごい重さを頭に載せられ」(池内)
歌劇《ランスへの旅》より「私にどんな咎があるのですか?」(山下・小堀)
***
歌劇《セビリアの理髪師》より「私は街の何でも屋」(池内)
歌劇《ラ・チェネレントラ》より「何か分からぬ甘美なものが」(山下・小堀)
歌劇《セビリヤの理髪師》より
「あの金貨の効能は」(小堀・池内)
「それじゃ私なのね」(山下・池内)
歌劇《ラ・チェネレントラ》より
「彼女を再び見つけだすと誓う」(小堀)
「哀しみのうちに生まれ」(山下・小堀・池内)
チケット:一般:¥5,000 U30:¥2,000
問合せ:フェスティバルホール チケットセンター 06-6231-2221
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