インタビュー
2024.10.04
新アルバム「日本のうた」〜隠岐速人、高橋洋介、後藤春馬にインタビュー!

3人のオペラ男子、カントキューブの魅力が詰まった昭和歌謡の世界

隠岐速人(テノール)、高橋洋介(バリトン)、後藤春馬(バス・バリトン)。3人のオペラ男子によるユニット、カントキューブが新アルバムをリリース。曲目は意外にもオール・昭和歌謡! 魅力的な声を聴かせてくれる3人に、本アルバムの魅力や座右の銘を教えてもらいました!

取材・文
井内美香
取材・文
井内美香 音楽ライター/オペラ・キュレーター

学習院大学哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士前期課程修了。ミラノ国立大学で音楽学を学ぶ。ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来...

カントキューブ
左から高橋洋介(バリトン)、後藤春馬(バス・バリトン)、隠岐速人(テノール)

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

昭和の名曲がズラリ! オペラ・ユニットが歌う意義

——新アルバムの発売おめでとうございます。懐かしの昭和歌謡を集めた一枚です。今、昭和歌謡が「きている」時代らしいですが、皆さん今回の曲目で、特に思い入れのある曲はありますか

後藤 曲目の候補が上がった時にプロデューサーから「みんなどれ歌いたい?」という投げかけがありました僕が昔から好きなのは断然『だったんです。ところがそう書いたのに、プロデューサーからは、“『君といつまでも』のセリフ部分はぜひ後藤にやってもらいたい”という返事しかこなくて。『昴』はどうした!?って思いました(笑)。

高橋 当初『昴』3声のアンサンブル予定でした34声などの場合、普通テノールが旋律になることが多いのですが、今回はわれわれがよく知っている廣瀬充さんが編曲をしてくれこともあり、低音が旋律になってテノールが上でハモる曲があってもいいんじゃないか、ということになり結局、後藤は無事に『昴』になりました(笑)。僕はカントキューブを始めるまではクラシックしか歌ってこなかったのですが、愛燦燦はサロン・コンサートで歌った経験があったので、ずっと愛燦燦って言っていました(笑)

続きを読む

ピアノは編曲も担当した廣瀬充さんと、隠岐さんとの共演が多い木村裕平さんが半々くらいで弾かれています。このアルバムを聴いて3人のハーモニーが特に美しいように感じました。カントキューブの魅力はこの音色でしょうか?

高橋 男声ハーモニーは倍音が出やすいという特徴があると思うんです。花火の打ち上げの時「ドーンッ」というあの波動が身体に伝わってくるのと一緒で、我々のハーモニーも録音だけでなく、生の声をコンサートホールで聴いていただくと倍音がますます響くと思うので、その感覚も味わってほしいです。

後藤 カントキューブで気をつけていることは、僕らが歌う意味です。原曲に寄せてマイクを通した声で歌うのではなく、どうしたら僕らの歌の魅力を伝えられるかを重視しています。

——隠岐さんはいかがですか?

隠岐 そうですね…。

後藤 隠岐さんは感覚の天才なんですよ。

隠岐 いやいやでもやはり旋律を歌うことが多いので、どうしてもイメージというものがあります。僕はどちかというとそこに重きを置くようにしていますが、そうすると発声の問題が出てくるんです。それが2がちゃんと鳴ることによって、少し声が細くなる時があっても成り立たせてくれる。彼らの声に支えられてその上で自由に、時にはオペラっぽく、時には松田聖子のイメージで、というようわせてもらうことが出来るのです

カントキューブ
左から隠岐速人(テノール)、後藤春馬(バス・バリトン)、高橋洋介(バリトン)

——皆さん座右の銘などはありますか?

高橋 留学時代には100個くらいあったんですが今はそれが集約されすぎて、すぐには出ない自分の幸せに忠実になることでしょうか、もちろんそれは他人を傷つけないことが前提で。

後藤 僕、ひねくれている性格なので…。昔から、当たり前のことに疑問を持つようにするというのが座右の銘ですかね

隠岐 健康第一、です。

——最後に読者のみなさんへのメッセージをお願いします。

後藤 今回のアルバムは皆さんが聴いたことのある曲ばかりです。このアルバムはサブスクで気軽に聴くこともできますので、まずは一曲だけでもさらっと聴いていただけたらと思います。

隠岐 このアルバムを聴いていただいて、そして僕らの歌を生の舞台聴いていただけたら本当に嬉しいです。

高橋 名曲揃いですし、僕たちの全てが詰まっていると言っても過言ではないと思うので、まず一旦聴いていただけたら嬉しいです。もしかしたらいい意味で、皆さんが思っているのとは違うかも知れません。よろしくお願いします。

日本のうた/カントキューブ
CD情報
日本のうた/カントキューブ

【収録内容】

1. 星めぐりの歌(宮沢賢治作詞・作曲)

2. ゴンドラの歌(吉井勇作詞/中山晋平作曲)

3. 蘇州夜曲(西條八十作詞/服部良一作曲)

4. めぐり逢い(荒木一郎作詞/武満徹作曲)

5. 翼をください(山上路夫作詞/村井邦彦作曲)

6. あの鐘を鳴らすのはあなた(阿久悠作詞/森田公一作曲)

7. 君といつまでも(岩谷時子作詞/弾厚作作曲)

8. 愛燦燦(小椋佳作詞・作曲)

9. 昴(谷村新司作詞・作曲)

10. 瑠璃色の地球(松本隆作詞/平井夏美作曲)

11. 上を向いて歩こう(永六輔作詞/中村八大作曲)

取材・文
井内美香
取材・文
井内美香 音楽ライター/オペラ・キュレーター

学習院大学哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士前期課程修了。ミラノ国立大学で音楽学を学ぶ。ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ