イクリプス×サックス奏者・仲野麻紀~フォルムも音にも宇宙を感じるスピーカー
「正確な音の再生」をコンセプトに、「ソフトに収録されているアーティストや録音エンジニアが込めた想いを、何も付け加えず、何も消さずに、伝えたい」との考えに基づいて開発されたスピーカー「イクリプス TD508MK3」。卵形エンクロージャーをはじめ、正確な音を実現するための独創的な技術が使われています。
音楽制作の現場でも信頼されているこのイクリプスを、パリ在住のサックス奏者・仲野麻紀さんが体験、音の印象を伺いました。
90年代から活動を開始し、のべ数千人をインタビュー。10年前よりアメリカの大学生に向けて雅楽からJポップに至る日本の音楽文化のレクチャー『Japanese music...
いろんな場所で演奏し、いろんな響きを体験してきた
いろんな意味で〝場所〟を意識させられるインタビューでした。まずご本人の登場シーン。楽器のケースを2つ、大きなキャリー・バックに手提げという大荷物で取材場所に現れた仲野さん。「これからツアーなんですか?」とお聞きすると「さっき(ご自宅のある)パリから羽田に着いたんです」との答えが。
『旅する音楽』という御著書のタイトルが思わず浮かび、そのへんから話は始まっていきました。
「フランスという国で活動しているからこそ、いろんな場所に行く機会があるのかもしれませんね。ただ私は現地の生活に入り込んで一般の人にも演奏を届けたい。だから会場は図書館、教会、キャフェ……といった具合なんですが。ラマダン中に演奏したこともあるんですけどね」
ラマダンとはイスラム教の断食期間。ただしそれは昼間だけで、夜になると待ってましたとばかり、大変な盛り上がりになるそうです。そんな中での演奏経験の持ち主は一方で、YouTubeで一部閲覧できる『Traveling Haiku』では自然の中でもプレイ。ご自分の楽器の音に様々な場の響きを重ね合わせているかのようです。
「たしかに。それを求めているのかもしれませんね。無闇やたらにいろんな場所に行っているのではなく。例えば森の中で吹くと周りの木に反射してコンサートホールのように音のシャワーが降ってきたり。居合わせた人に『麻紀さんの音に鳥が反応してる』って言われることもありますけど、それも本当にそうなんです」
そういう体験を室内のライヴでもご自分の作品にもフィードバックさせたい、という彼女。実際、最新作『OPEN RADIO』でもサックスに実に繊細に効果音が絡んでいく場面など、まさに風が吹き抜けていく様を描写したかのよう。
「そういう気配をも時間をかけて緻密に構築していけるのが、CDやレコードの醍醐味ですからね」
ちなみにそのCDやレコード。ふだんはどんな環境で聴かれているのでしょうか?
「パリの家にあるのはオーディオ・マニアの叔父のお下がりです(笑)。日本をツアーしていると各地でオーディオ・マニアのお宅に招かれたりもするんですけどね。もうどのお宅も『こんな強者がいるのか!!』って感じでただただ圧倒されて」
スピーカーの背後にある“宇宙感”
ミュージシャンの中でもオーディオに接する機会が多そうな仲野さん。今回試聴していただいたイクリプスのスピーカーについてはご存知だったのかどうか。
「リスペクトしているパーカッショニストの加藤訓子さんがイクリプスに囲まれてライヴをやっているのを見て、ずっと気になっていたんです」
そんな彼女に今回、実際にこのスピーカーを試聴していただきました。ご自分で持参された4枚のCDのうち2枚と1枚のレコードを聴きながら、ノートに色々と書き付けていた仲野さん。その中身についてたずねてみました。
「最初に出てきた言葉は“スピーカーの背後にある宇宙感”でした。名前自体がイクリプス(日蝕、月蝕)であるように、フォルムがこの形であるように、音も宇宙を表していると思いましたね」
左右二つのスピーカーから出た音が形づくる空間を音場=音の場所といいます。そこに宇宙を感じた、というのはアーティストならではの美しい表現。同時に、ECMレーベルとの相性が抜群にいい、ともお聞きしました。持参された2枚のCDは、クラシックもジャズも透明感というキーワードで語られることが多い同レーベルの作品だったのです。
「あのレーベルの音ってクリスタルとか言われるけど、そこにもう一言加えるなら透明感の中にある音の質感。それを正確に届けてくれるという印象があったんです。そこはジョン・テイラーでもチャールズ・ロイドでも同じで」
プレイヤーとしてはじめて音を託せられると感じた
せっかくなのでリスナーとは別のところで、プロの音楽家としてこのスピーカーに接した印象もたずねてみました。
「私はプレイをして、それをレコードにしたいっていうプロデューサーがいる。じゃあスタジオで録音しましょうかってなるとエンジニアが出てくる。でも最終的な目的は、リスナーが聴いてくれること。そこへ届ける架け橋として、このスピーカーは重要な役割を担っていると感じました」
あれ? 制作者とリスナーを繋ぐ架け橋、というのはスピーカー全般に言えることなんじゃないですか?
「これまではそう思ったことがなかったんです。イクリプスを聴いて初めてプレイヤーとして託せられる感じがした。私は歌もうたいますが、今回持参した自分のレコードもふくめ、スタジオでは歌ったものを何回も聴いて確認する。そのときの感覚に似た、無垢でイノセントな音なんです。だから信頼できるんですね」
インタビュー後、イクリプスのスピーカーを抱えて「あ、軽い!」と口にした彼女。その喜びには理由があったようで、これを自分のライヴ用のスピーカーに使いたい、という気持ちがあるとのことでした。
ちなみにイクリプスに月蝕という意味があるのと同様、仲野さんがおやりになっているインターネット・ラジオ番組『openradio』は、新月-上弦-満月-下弦という月齢に沿った放送をされているとのこと。「震災以降、これまでに増してラジオの存在を重視しています。世界のどこからか、openradioを配信しつづけられればな、という想いです」というこの番組、ぜひ聴いてみてください。
¥66,000/1本
正確な音を実現する独創的な技術が使われているイクリプス。微細な音までがクリアに聴こえるとともに、録音された空間の再現力に優れ、瞬発的な音の立ち上がりを正確に再現することで、スピード感に満ちた音を楽しむことができる。
●8㎝口径フルレンジスピーカーシステム ●再生周波数帯域:52㎐~27k㎐(-10㏈)●能率:82㏈ /W・m ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:W180×H289×D268㎜ ●質量:約3.5㎏
問い合わせ先:デンソーテン ☎0120-02-7755
製品の詳細はこちら
9月18日(日)名古屋 ちくさ座 with 趙博
9月21日(水)和歌山 和歌浦 芸術区
9月23日(金・祝)海南 そうげん堂 / 旧田島うるし工場
10月1日(土)/2日(日) 新潟 沼垂発酵フェスティバル
10月7日(金) 東京 新宿ピットイン Mockūnas-Mikalkėnas-Berre Trio
ゲスト出演:大友良英/仲野麻紀
10月9日(日) 伊香保 ワールドジャズミュージアム21 with 渋谷毅( p)
10月16日(日)東京 赤城神社 with 杵屋弓彦( 三味線)
10月22日(土)勝山 ひしお会館
10月23日(日) 呉 cafe bleu
10月26日(水)京都 法然院
11月6日(日)ヴァンジ彫刻庭園美術館 アフタヌーンコンサート
11月3日(木) 河口湖 K-Jazz Festival
11月9日(水) 愛媛 宇和島 珈琲TAO
11月10日(木)高知 Harvest
11月11日(金)広島・生口島 ソイル
11月12日(土)福山 Space Design Gallery sankaku
11月13日(日) 神戸 凱旋館 with 玉川奈々福(浪曲)安聖民(パンソリ)
11月14日(月) 東京 渋谷クアトロ with 渋谷毅(p)
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