【Q&A】ヴァイオリニスト・平野友葵さん~さらなる躍進に期待!歌心あふれる才能の素顔
月刊誌『音楽の友』で、若手演奏家を紹介している連載「フレッシュ・アーティスト・ファイル」。当記事は雑誌のインタビューとはひと味ちがう切り口で、演奏家たちの素顔を紹介していきます。第3回は、7月に紀尾井ホールでデビュー・リサイタルを行なったヴァイオリニスト・平野友葵さんにご登場いただきました。
1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
2004年生まれ、北海道・札幌市出身。日本音楽コンクール、イザイ国際音楽コンクールなど国内外のコンクールで入賞。現在は、ウィーン市立音楽芸術大学に留学中。ミュージカル好きな一面も必読です!
音楽の都・ウィーンで学ぶ
Q1 名前の由来(友葵/ゆき)を教えて。
“葵”という字は、まっすぐに育つ、という意味があり、「友達が多く、まっすぐに育ってほしい」という想いが込められているときいています。ヨーロッパでは「ゆ(Yu)」は発音しやすいようで、海外生活のなかで名前を間違えられたことはありません!
Q2 出身地(北海道・札幌市)はどんなところ?
食べ物はもちろん、空気がおいしいです。あと、とにかく広いですね。
Q3 留学しているウィーン市立音楽芸術大学はどんなところ?
観光地にも近いウィーンの中心部にあり、歴史的な建築が素敵なところです。レッスン室やちょっとしたホールなど、どこも残響が長く続き、響きの豊かなところがさすがだなと思います。いろいろな国から学生が来ているのですが、出身地ごとに異なる演奏のアイディアが興味深いです。刺激的な毎日を過ごしています。
Q4 自身をどんな性格だと思う?
マイペースだと思います。どんなときでも自分のペースを崩さず、進んでいると思います。普段はへにょんとしているのか、よく友達から「演奏しているときと話しているとき、全然雰囲気ちがうよね」と言われます(笑)。
Q5 好きな食べ物は?
夕張メロンが大好物です(北海道の特産品!)。パスタも好きです。
Q6 好きな作曲家は?
最近はドヴォルジャークですね。でも みんなちがってみんないい という感じで、誰か一人を決めるのはなかなか難しいですね。
Q7 いつか演奏してみたい曲は?
シューマン「ヴァイオリン協奏曲」です。
Q8 憧れのアーティスト、演奏を教えて。
クリスチャン・フェラス(vn、1933~1982)とダヴィッド・オイストラフ(vn、1908~1974)です。フェラスではショーソン《詩曲》の演奏が大好き、オイストラフは好きすぎて一曲がしぼれない……! ちなみに現在師事しているパヴェル・ヴェルニコフ先生はオイストラフの弟子で、先生の音楽を間近に聴くことのできるレッスンが毎回楽しみで楽しみで仕方ないのです。
マイブームはピアノ
Q9 練習にルーティンはある?
基礎練習(ボウイングなど)を行ない、手をほぐしてから始めます。7月のデビュー・リサイタル・プログラムの練習では、ショーソン《詩曲》から弾いていました。とくに好きな作品から演奏して、テンションを上げるタイプなのかもしれません。
Q10 楽譜に書き込みはする?
先生からアドバイスをもらったときや、インスピレーションがパッと出てきたときに鉛筆で書き込みをします。あまり色は使わないですね。フレーズの流れや曲の構成がわかりやすいように印をつけ、パッと楽譜をみたときに次のことを考えられるようにしています。
Q11 自身の世界観を変えた言葉はある?
「音楽に集中し、あなた自身が心から演奏を楽しんで、聴いてくださるお客さんに語りかけるように弾きなさい」です。本番前にヴェルニコフ先生がよくおっしゃる言葉なのですが、これが私の演奏のモットーとなっています。
Q12 マイブームは?
ピアノで、ヴァイオリンなどのソナタや協奏曲の伴奏を弾くことです。移り変わる和声感などを味わいながら弾いています。頭のなかで考えるよりも、楽譜をみて、読んで、実際に弾いたほうが身体に入ってくるので一石二鳥、三鳥ぐらいかなと。ピアノ作品ではラフマニノフが好きで、副科ピアノの試験で《エレジー》を選んで弾いたことがあります
Q13 最近読んだ本は?
デビュー・リサイタルでショーソン《詩曲》を取り上げていたので、(楽曲のインスピレーションとなった小説)トゥルゲーネフ『勝ち誇れる恋の歌』を読みました。濃い世界観で、興味深かったです。
Q14 好きなアート作品は?
パウル・クレーの豊かで繊細な色づかいに魅了されます。可愛らしい色を使いながらも独特の雰囲気を醸しだしている点が素敵だなと思います。
ミュージカルが大好き!
Q15 気分転換はどのようにしてる?
ミュージカル・ナンバーを歌います!ミュージカルが大好きです!!いちばん好きな作品である《オペラ座の怪人》と《ウィキッド》は全曲歌詞を覚えていて、いつでも歌えます。とくに好きな楽曲は、《オペラ座の怪人》の〈The Point Of No Return〉です。
Q16 最近感動した舞台体験は?
ウィーンのライモンド劇場で観た、ミュージカル《オペラ座の怪人》です。英語の字幕付きで、ドイツ語上演でした。
Q17 ミュージカル《オペラ座の怪人》との出合いは?
小学校4年生のときです。札幌で劇団四季の公演に連れて行ってもらったのですが、小4にしてファントム(《オペラ座の怪人》の表題役)の声に恋してしまいました。それから10年間ずっと聴き続けています。
Q18 会ってみたい作曲家は?
J.S.バッハ先生。直々に演奏をご教授いただきたい!
Q19 これまでヴァイオリンを続けてこられた理由は?
音楽は言葉ではなく—— たとえばヴィエニャフスキ《言葉のないロマンスと華麗なるロンド》という作品がありますけれども、このタイトルにある“言葉のないロマンス“はまさに音楽のことだなと—— 音だけで相手とコミュニケーションができることは、なんと神秘的で魅力的なんだろうと思っています。そして、いつもお世話になっている先生がたや両親の支えがあってこそ、私はいまこうしてヴァイオリンを続けられています。
Q20 20年後、どうなっていたい?
年齢とともに成熟した演奏をしていたい。深くて説得力のある演奏をしたいのです。人生って長いようであっという間なのかなと。一つひとつのことを大切に、悔いのないよう丁寧に経験を積んでいけたらと思います。
『音楽の友』9月号(8月17日発売)の連載「フレッシュ・アーティスト・ファイル」では、平野友葵さんのインタヴュー記事を掲載。ぜひ併せてご覧ください!
来年4月、ウィーン代表としてドバイで行なわれる「クラシック・ヴァイオリン国際コンクール」グランドファイナルに出場予定。
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