インタビュー
2018.07.12
青島広志&宮尾俊太郎がバレエ音楽の世界をナビゲート!

オーケストラとバレエがどちらも楽しめる『青島広志のバレエ音楽ってステキ!』

『青島広志のバレエ音楽ってステキ!』が、今年も開催される。バレエが初見でも楽しめる、この公演のヒミツは、「見る」「聴く」「参加する」こと。指揮とお話を担当する青島広志先生と、助手役でバレエダンサーの宮尾俊太郎さんに、バレエ音楽の魅力を教えて頂きました!

お話を伺った人
青島広志
お話を伺った人
青島広志 作曲家・ピアニスト・指揮者・イラストレーター

1955年、東京生まれ。東京藝術大学および大学院修士課程を修了。作曲家としては、オペラ「火の鳥」、「黒蜥蜴」、管弦楽曲「その後のピーターと狼」、合唱曲「マザーグースの...

お話を伺った人
宮尾俊太郎
お話を伺った人
宮尾俊太郎 バレエダンサー

北海道生まれ。14歳よりバレエを始める。2001年フランス・カンヌ・ロゼラハイタワーに留学。在学中にカンヌ・ジュ・ヌ・バレエのツアーに参加。2004年Kバレエカンパニ...

インタビュアー
佐久間裕子
インタビュアー
佐久間裕子 ライター

神奈川県在住。映画雑誌の編集を経てフリーに。アイドル誌、エンタメ誌、女性誌などのインタビューを中心に活動。

撮影:増田 慶

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――バレエにとって音楽が果たす役割はどんなものなんでしょうか?

青島 例えば交響曲は作曲家が勝手に書くものだけど、バレエの音楽というのは、実際の踊りのために書くものです。だからバレエの音楽は同じことを何度もやらなければなりません。私もバレエ音楽を一般の音楽会でも指揮をしますが、何でこんなに同じことを何度もやってるんだろうと思うことがあります。それはバレエにはシンメトリー性あるからで、右に何歩行ったら、左に何歩行くということが必要。そしてダンサーのAさんがこれだけ踊ったら、Bさんもこれだけ踊る。やることが同じだから、音楽が繰り返されることになるのです。私は踊り抜きでバレエ音楽が演奏されるのはおかしいと思うくらい、バレエの音楽はバレエを盛り上げるためにあると思っています。

――ダンサーの方はバレエの中での音楽の役割はどんなものだと思われますか?

宮尾 情景を進行させるなど、音楽の中でもいろんな役割がありますが、リハーサルでよく言われるのは、メロディは感情だと。僕がいるKバレエカンパニーの芸術監督、熊川(哲也)さんは何も考えなくても、そこにセリフのように音符が書いてあるから、その心情になって踊ればいい、それを表現すればいいんだよという言い方をしますね。

――音楽はやはりオーケストラの生演奏が付いていたほうが、ダンサーの方は引き出されるものが多いんでしょうか。

青島 それはそうですよね?

宮尾 はい。リハーサルピアノ1台だけの演奏よりも、大人数で演奏するオーケストラがいわゆるBGMとして流れるわけですから。BGMという言い方をしていいのかわかりませんが……。

青島 構いませんよ。ただしカラオケでやると毎回同じ早さになるけど、オーケストラとは豪華さが全然違う。オーケストラには80人なら80人の、それこそすごい経歴をもっている演奏家たちが集まっているわけです。それを指揮者がひとつにまとめて、音楽を踊り手さんに提供している。だからうれしがってもらわないとなんだか悔しいなぁと思います(笑)。

宮尾 すごくぜいたくなことですよね。

――バレエは総合芸術なので、敷居が高いと思ってしまうこともあると思います。ミーハーな見方があれば教えてください。

宮尾 好きなダンサーや演奏者を見つける。それが入り口としては入りやすいと思います。曲でもいいと思いますけどね。

青島 私は踊り手さんを入り口にしたほうがいいと思う。実演してくれるわけだから。素敵な踊り手さんをまず見つける。そのためには写真がとっても重要です。写真を見て、この顏の人がとても素敵だ、このスタイルの人はとても素敵だ……そう思う人を見つける。そしたら観に行こうってなりますよね。そして行ったら、まずはその人だけ観る。そうしているうちにその相手役の人も観るようになります。そしてさらに観ていくと、どんなに小さな役の人でも、舞台に出ている人は自分ができないことをやっているとことがわかり、感激するようになります。例えば、自分はあんなにぐるぐる回れない、高く飛べない。そういうことなんですよね。

――Kバレエカンパニーの公式サイトの写真を観るというところから初めてもいいでしょうか

宮尾 全然アリだと思います(笑)。入り口は人それぞれですけど、僕がバレエを始めたきっかけも、熊川哲也さんが出演されていたCMを観て「なんてカッコいいんだろう!って」衝撃を受けたからなんですよ。彼が日本に帰って来てKバレエを立ち上げる前に出演したテレビ番組がすごく話題になって、人気が出たことによって、Kバレエの公演を観に来たお客様もいるんですよね。それから10年以上経ち、いまだ観に来てくださって、コアな芸術ファンになっている方もいます。だから入り口は何でもいい。

――Kバレエで注目しておくべきダンサーの方を教えてください。

宮尾 そうなると僕って言いたくなりますが(笑)、僕はBallet Gents(バレエジェンツ)というグループでも活動しているのでBallet Gentsを挙げたいと思います。Kバレエの中でも重要な役を踊っている勢いのある若手で、ユニットとして組んで踊っているくらいなので、僕のほかに個性がかぶっていない4人のダンサーがいるので、注目してもらえたらと思います。

 

Ballet Gents主宰として活躍する宮尾さん。8月1日にはBallet Gentsディナーショーが開催される。

――初めてバレエを観るにあたり、予習しておくべきことはありますか?

宮尾 僕自身は読むのが好きなので、パンフレットを読んでから見たいんです(笑)。

青島 そうですね。なるべく早く劇場に行ってプログラムを買って欲しい。そこにはけっこうおもしろいことが書いてあるんです。私もKバレエさんのパンフレットに書かせていただいたんですが、相当調べて書いているので、まずパンフレットを読めば物語はわかります。ただすごく華やかな衣裳を着ていればこの人が中心の人なんだ、または群舞の人は同じ衣裳を来ているんだってことがわかってくる。バレエは言葉がない分わかりやすいんです。だから予習はしてこなくてもいいから、その会場に着いたらパンフレットを読む。それくらいでいいんじゃないかって気がします。

――パンフレットに書いてある情報を入れておけば、より楽しめるということですね。

青島 Kバレエさんの場合はちゃんとしたプログラムを出しているからいいけれど、プログラムを作っていないバレエ団もあります。その場合はやはり音楽之友社から出ている本……って、わざと言っているんだけど(笑)、あらかじめ本などを買って、あらすじをお読みになったほうがいいでしょうね。

宮尾 僕も歌舞伎を見に行ったときに、あらすじが頭に入っていたほうが観ていて楽しめたんです。オペラもそうだったので、あらすじ程度は知っていた方がいいと思いますね。そしてKバレエのパンフレットは調べ尽くしたような内容が書いてありますので、ぜひ読んでいただきたいと思います(笑)。

青島 そして他の方法はね、隣の人に話しかけるんです。例えば「すみません、私は初めて見るんですけど、よく観に来ていらっしゃるんですか?」と話しかけて、あらすじを教えてもらう。ホールというのは社交場なんだからもっと喋っていい。日本はそういう会話が少なすぎると思いますよ。

――鑑賞中のマナーはありますか?

宮尾 最低限のマナーを守ればいいと思います。誰も拍手していないときに拍手したら、それは迷惑になりますけど……(笑)。

青島 そう、隣同士なんとなく一体感をもって拍手すればいいの。何も緊張することは全然ないんですよ。踊り手さんも拍手が来ることを期待しています。歌や踊りはものすごくエネルギーが消耗することだから。その消耗したエネルギーを再びどこからもらってくるかっていったら、みんなの拍手からいただくんです。拍手は必ずしてくださいね。

宮尾 ダンサーにも拍手でお客さんのモチベーションの変化は伝わります。お客さんが舞台に集中して、のめり込んでいて、熱量が上がってるというのもわかりますし、逆に冷めているなというのも感じます。行儀良くしなきゃと思って観ている空気だったらそういう空気になる。ダンサーとしては、お客さんが舞台の世界に没頭して、すごいなっと思っている、その素直な反応が返って来るときがいちばんうれしいですね。

――では最後に6年目になるコンサートへの意気込みをお願いします。

宮尾 なんと6年目です! それは青島先生がためになるお話をおもしろく話してくださって、そこに音楽とバレエと、入ってる様々な要素のバランスがいいからここまで続けられたんだと思います。今年はさらなる息の合ったふたりで進めていきたいですね。

青島 今年はなかのZERO大ホールという会場になりました。オーチャードホールでは、指揮をしているところから客席までものすごい距離があって、何回も走って往復しないといけなかったんです。でも今回はお客様との距離も近いので、がんばらなくてもいいのかなって思っています。そしてオーチャードホールは広いので、早く喋るとわかりにくいって言われましたけど、今回は大丈夫かなって……。

宮尾 まだ!? もっと早く喋るんですか?(笑)。

青島 はい(笑)。それは冗談ですが、お客様との距離が近いから伝わりやすくなって、やりやすくなるだろうって思っています。そして一人でもたくさんのお客さんに来て欲しいですね。

10月には三島由紀夫原作の「サド侯爵夫人」をオペラで、作曲・演出・指揮を担当する。
『青島広志のバレエ音楽ってステキ!』
イベント情報
『青島広志のバレエ音楽ってステキ!』

観て、聴いて、参加できる、夏の楽しいバレエ&コンサートが今年も開催!

「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の見どころを上演。

熊川哲也芸術監督が生んだ大作「クレオパトラ」の名シーンを音楽で!

舞台で本物のオーケストラを指揮(参加者募集中)まで体験!

 

監修:熊川哲也

指揮とお話:青島広志

助手:宮尾俊太郎

2018年8月22日(水)、8月23日(木)

なかのZERO 大ホール

S席6600円 A席5000円

 

【チケット取り扱い】


■チケットスペース 03-3234-9999
 http://ints.co.jp/

■なかの ZERO チケットセンター 03-3382-9990 (10:00 ~ 19:00)
  http://nicesacademia.jp/

■Bunkamura チケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)

オンラインチケット MY Bunkamura

【お問合せ】


チケットスペース 03-3234-9999

なかの ZERO 03-5340-5042・5043

Bunkamura 03-3477-3244( 代 )

 

 

 

お話を伺った人
青島広志
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青島広志 作曲家・ピアニスト・指揮者・イラストレーター

1955年、東京生まれ。東京藝術大学および大学院修士課程を修了。作曲家としては、オペラ「火の鳥」、「黒蜥蜴」、管弦楽曲「その後のピーターと狼」、合唱曲「マザーグースの...

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宮尾俊太郎
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宮尾俊太郎 バレエダンサー

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