インタビュー
2023.01.11
舞台人が語る「WE LOVE MUSICAL!!」第4回

中川晃教が演じる『チェーザレ』〜「歌の説得力や生の舞台がもつ迫力が感動を生む」

注目の舞台人が、ミュージカルの魅力を語る連載「WE LOVE MUSICAL!!」。
第4回は、日本のミュージカル界を牽引する中川晃教さんが登場! 1月7日から始まるミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』への想いや、衝撃を受けた『ミス・サイゴン』の思い出、40歳になった決意などについてうかがいました。

取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

写真:各務あゆみ

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中川さんの新作舞台『チェーザレ 破壊の創造者』は、15世紀のルネッサンス期イタリアで、ヨーロッパ統一の野心を抱いて歴史に名を残したチェーザレ・ボルジアの若き日を描いたミュージカル。原作は140万部を突破した大ヒット歴史漫画で、主人公チェーザレを中川さん、脚本を荻田浩一さん、演出を小山はるなさん、音楽を島健さんが手掛ける。創業150周年を迎える明治座初のオリジナル・ミュージカルとして、1月7日から明治座で上演される。

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完全な日本オリジナル作品を一から作り上げる

——『チェーザレ 破壊の創造者』は、惣領冬実さんが描いた歴史コミックの初のミュージカル化作品ですね。2020年の上演がコロナ禍で中止となり、3年の月日を経て、いよいよ開幕します。まずは原作を読んだご感想を。

中川 ヨーロッパの歴史を描く壮大なスケールの作品で、原作者である惣領先生の“この時代を描きたい!”というパワーにひきこまれました。多くの国が登場しますし、知らない言葉も出てくるので、勉強しながら読むことで歴史を学ぶこともできました。

僕が演じるボルジア家の後継者チェーザレは、歴史的には極悪人というか、ヒール(悪役)というイメージもある人物です。そんなチェーザレという名前は知っていても、誰も知らない彼の“青春時代”にスポットをあてたところに惣領先生の情熱とオリジナリティを感じました。

中川晃教(なかがわ・あきのり)
1982年11月5日生まれ、宮城県出身。2001年8月、「I Will Get Your Kiss」で歌手デビュー。ミュージカル『モーツァルト!』では「第10回読売演劇大賞」優秀男優賞と杉村春子賞、「第57回文化庁芸術祭賞」演劇部門・新人賞を受賞。17年2月、「第24回読売演劇大賞」で最優秀男優賞(ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』)を受賞。

——この舞台が明治座初のオリジナル・ミュージカルというところにも、中川さんの熱い思いを感じています。

中川 この作品は、創業150周年を迎える明治座さんが、初めてオリジナルのミュージカルを作るというところから始まった企画です。僕自身、これまで20年以上ミュージカルを経験させてもらいながら、日本オリジナルのミュージカルをなぜもっと上演できないんだろう? とずっと思っていました。ウエストエンドやブロードウェイから権利を買って公演すると、すでにお手本や見本があります。でも今回のチェーザレは完全に日本オリジナルなので、一から作ることになります。もちろんすごく悩むだろうし、苦しいこともありますが、この経験は何にもかえがたいものです。

また今回の舞台は、明治座のオーケストラピットを初めてあけるステージです。あのオーケストラピットから溢れる音楽のシャワーと僕の歌声がどんな化学反応を起こすのか、みなさんに目撃してほしいです。

——陰謀渦巻く15世紀のヨーロッパで、より良い世界を作るために仲間たちのリーダーとなるチェーザレ。役どころについては?

中川 先ほども話がでましたけれど、歴史的にチェーザレという人物は悪いイメージかもしれない。けれど若き日の彼は、社会が激変したルネッサンスという時代に、悩み、葛藤し、未来に希望や光を見出そうとしていたんですよね。大学の仲間たちとかけがえのない青春を味わい、リーダーとしての運命を全うしようとする彼の生き方には、演じながら多くの気づきをもらっています。

僕自身、2020年にこの舞台が開幕直前に中止になってから3年間、苦い思いも味わったし、新たな気づきもありました。そんな経験のすべてを今回のチェーザレに生かして2023年ならではの舞台を作りたいですね。今では運命の役と出会えたと思っています。

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