インタビュー
2022.09.14
編集部員Mの目がハート♡vol.2

プラハ・チェロ・リパブリックでチェロの魅力を味わい尽くす~メンバーが語るその信念

見て聴いて、心華やぐ出会い。ONTOMO編集部員Mが出会った至福の瞬間をお届けします。
第2回は、プラハ・チェロ・リパブリックに注目! 4人のチェリストによるクラシックやミュージカルナンバーの四重奏、音もビジュアルもとにかくかっこいいんです。一体みなさんどうしてそんなにかっこいいのでしょうか。秘密に迫りたいと思います。

三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...

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プラハ・チェロ・リパブリックは、プラハ・チェロ・カルテットのメンバー3名と新たに1名のチェロ奏者によって結成されたばかりのチェロ四重奏団。

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プラハ・チェロ・カルテット時代から、動画を観てその音と映像に心を奪われ、映画音楽やミュージカルナンバーをチェロだけでここまで素敵に演奏できるとは! と、チェロアンサンブルの無限の可能性を感じていました。

そんなプラハ・チェロ・カルテットが、新たにリパブリックとして活動を始めたということで、メールインタビュー!今月に来日公演も控え、新体制について気になるところ。メンバーのキャラクターや大切にしていることなど、ペトル・シュパチェクさんが教えてくれました。

4人の仲間でチェロの魅力も4倍に

——プラハ・チェロ・カルテットからリパブリックとして新たなスタートを切りました。抱負や、どのような活動をしていきたいか、教えてください。

シュパチェク プラハ・チェロ・リパブリックを立ち上げたのは、互角なチェロ奏者であり、パートナーであり、そして一番大切なことですが、良き友人でもある4人で音楽がしたかったからです。“リパブリック”という名前を通して、「お互いに支配しあうのではなく、一緒に音楽をやりたいと思える4人の仲間が集まっている」ことを表現したかったのです。

新しくマチェイ・シュテパーネクという素晴らしいチェリストを迎え、チェロでできうることのすべてを実現できるようになりました。マチェイはいいアイデアを出してくれるし、なにより、すごくいい人なんだよ。

僕たちの抱負は、お客さんに喜びや笑いを届けること。舞台でユーモアを披露するのが好きだし、コンサートのあとに笑顔で帰っていくお客さんを見るのが大好きです。

直近の活動としては、『フリーダム』という新譜をちょうど日本ツアーの前にリリース予定で、次のアルバムのことも考え始めています。

プラハ・チェロ・リパブリック
動画『オペラ座の怪人』がYouTube再生回数3,000万回突破の爆発的なヒットと、意欲的なCDや動画を立て続けにリリースし世界の注目を集めた「プラハ・チェロ・カルテット」の人気を牽引した中心メンバー3名に、輝かしい活動歴を持つトップクラスのチェリストが新たに加わり、2022年に誕生した新生チェロ四重奏団。メンバーそれぞれが数々のコンクールの受賞歴を持つ名手揃い。

——メンバーの人となりを教えてください。

シュパチェク まず、イワンは「芸術監督」と呼びたくなるような人です。チェロ・リパブリックにはディレクターという役職は設けていないけど、イワンは指揮者のような存在。彼がリハーサルやステージで合図を出してくれると、とてもいい感じです。

ヤン・ゼーメンはとっても面白い人で、いつでもどこでもジョークを言います。ジョークの生き字引のような人だよ。

イワン・ヴォカーチ
プラハ舞台芸術アカデミーで学ぶ。ブラームス国際コンクール(オーストリア)、ドッツァウアー国際コンクール(ドイツ)など7つの国際コンクールのファイナリストに選ばれた後、2011年プラハ音楽院ドヴォルザーク協奏曲コンクールで優勝、音楽院創立200年記念演奏会でソリストを務め、チェコ国営放送でオンエアされた。2014年チェコ・フィルハーモニー管弦楽団入団。ジャズやタンゴ演奏にも情熱を傾け、エスクアロ五重奏団のピアノ奏者としても活躍している。
ヤン・ゼーメン
プラハ舞台芸術アカデミーを卒業した後、ルツェルン音楽大学で学ぶ。権威あるチェコの音楽院コンクール優勝、オーストリアのリーツェン国際コンクール入賞などの受賞歴を誇る。ソリストとして国内各地のオーケストラや室内アンサンブルと共演。アカデミー在学中からパルドゥビツェ音楽院にて教鞭を執るなど、同世代で最も著名な指導者として知られている。ピアノ・トリオ、バロック・アンサンブルなどのメンバーとしても活躍している。

シュパチェク マチェイ・シュテパーネクは、どんなシチュエーションでも、人生のどんな時期でも、幸せを見つけられる人です。いつでも彼の幸せそうな顔が見られるよ。

僕は先を見る目があるタイプで、カルテットのアイデアマンといったところかな。

マチェイ・シュテパーネク
プラハ舞台芸術アカデミー、ドレスデン国立音楽大学などで学ぶ。2008年チェコの全国音楽院コンクール優勝をはじめ、ドレスデンのドッツァウアー国際コンクール、プラハのマルティヌー国際コンクールなど多くのコンクールで入賞を果たす。ソリストとして各地のオーケストラとの共演も多い。ウィハン弦楽四重奏団のメンバーとして来日するなど室内楽奏者としても活躍、現在も多くの室内楽アンサンブルで活発に活動している。
ペトル・シュパチェク
プラハで学んだ後アメリカに留学、ボストンの権威あるニューイングランド音楽院を卒業した。コンチェルティーノ・プラハ放送国際コンクール入賞。ソリストとしてプラハ交響楽団、プラハ放送交響楽団、プラハ・フィルハーモニア管弦楽団などのチェコ国内の主要オーケストラと共演。ヨーロッパ、北米、アジアの各地へ演奏旅行。

——チェロという楽器の一番の魅力はなんですか? また、同じ楽器4人でのアンサンブルならではの良いところはどのようなところでしょうか?

 シュパチェク 僕はチェロが世界一美しい楽器だと信じています。音域が広いうえに、チェロは楽器のなかで音域や音色が人の声にもっとも近いから、とても自然に耳に入ってくると思うんです。格別に美しいこの楽器が4倍になるって想像してみてください! 唯一無二の美しい響きが生まれます。

一方で、チェロ四重奏の難しさも感じています。いいアレンジのためには、通常ヴァイオリンやヴィオラで演奏する高い音を弾く人も必要なので。

チェロはクラシックとポップスの架け橋になれる

——今回のツアープログラムで、それぞれ一番のお気に入り曲は?

シュパチェク 『オペラ座の怪人』の「All I Ask Of You」と「前奏曲」です!

——MVにいつもストーリー性があり、場所にもこだわっていると思いますが、曲のイメージなどを話し合って決めているのでしょうか?

シュパチェク プラハ・チェロ・カルテットのときには、フィルム・ディレクターと相談して決めていました。ディレクターから撮影場所の提案があって、それから数週間かけて、やりたいことを実現するためのベストな方法を考えます。衣装やメイク、照明、カメラ、設営などを含めると、20名くらいのチームで取り組んでいます。

——プラハ・チェロ・カルテットのときから、クラシック以外の作品に多く取り組まれ、ジャンルを横断してプラハ・チェロ・カルテットらしいかっこよさがありました。クラシック曲とミュージカルナンバー、それぞれ演奏するときに心がけていることは?

シュパチェク 一音一音に心と魂を注ぎ込んでいます。聴いている人たちの心の深いところまで届くような音楽を奏でたいので、その瞬間、演奏している音楽に、全集中力を捧げなければなりません。これはクラシックでもポップスでも同じです。私たちがチェロでポップスを演奏しても、「クラシック音楽だ」と言う人もいます。クラシックではないのに、です。チェロの“声”というのは、クラシックとポップスをつなぐ橋になれるものだと思っています。

シュパチェク ポップスとクラシックを比べると、ポップスのほうがクラシックより、その曲がもつストーリーを見つけるのが簡単だよね。といっても、僕たちはみんなクラシックの勉強をしてきたチェリストだから、いかなるジャンルの曲も、クラシックで培った豊かな技術や流儀抜きでは演奏できないと思うけどね。

——最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

シュパチェク また大好きな日本に行けるのをとても楽しみにしています。絶対に楽しめると思うので、ぜひコンサートに足を運んでください!

演奏会情報
プラハ・チェロ・リパブリック2022年9月来日公演

【山形公演】
日時: 2022年9月17日(土)15:00
会場: 山形テルサホール
問合わせ: 山形テルサ023-646-6677

【北海道公演】
日時: 2022年9月20日(火)18:30
会場: 函館市芸術ホール(ハーモニー五稜郭)
問合せ: キョードー札幌011-221-0144

日時: 2022年9月21日(水)18:30
会場: 室ガス文化センター(室蘭市文化センター)大ホール
問合せ: 同ホール0143-22-3156

日時: 2022年9月22日(木)昼公演13:30、夜公演18:30
会場: カナモトホール(札幌市民ホール)
問合せ: キョードー札幌011-221-0144

日時: 2022年9月23日(金祝)19:00
会場: 音更町文化センター
問合せ: 同ホール0155-31-5215

【東京公演】
日時: 2022年9月26日(月)18:30
会場: 日経ホール
問合せ: 日経公演事務局03-5227-4227

出演: プラハ・チェロ・リパブリック

プログラム: 

プロコフィエフ/《3つのオレンジへの恋》行進曲、ドビュッシー/月の光、バッハ/G線上のアリア、ハチャトゥリアン/剣の舞、ドヴォルザーク/ユモレスク、モンティ/チャールダーシュ、ピアソラ/ブエノスアイレスの春、天使の復活、リベルタンゴ、地上の天国(ピアノ:イワン・ヴォカーチ)

 

 『ジーザス・クライスト・スーパースター』より「彼らの心は天国に」、『キャッツ』より「メモリー」 、『マイ・フェア・レディ』より「踊り明かそう」、『レ・ミゼラブル』より「夢やぶれて」、シンキング・アウト・ラウド(エド・シーラン)、ペニー・レイン(ビートルズ)、ボヘミアン・ラプソディ(クイーン)、『ONCEダブリンの街角で』より「フォーリング・スローリー」、ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー(ボビー・マクファーリン)、『オペラ座の怪人』より「オール・アイ・アスク・オブ・ユー」、「序曲 」

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三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...

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