プレイリスト
2022.02.02
2月の特集「カーニバル」

謝肉祭の音楽5選~シューマンやサン=サーンスの名曲でカーニバルに出かけよう!

謝肉祭を題材にした音楽作品から、ベルリオーズ、シューマン、サン=サーンス、ドヴォルザーク、ヴィラ=ロボスによる5曲を紹介! 作曲家が描いたにぎやかなお祭りの様子を楽しみましょう。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ《カーニバルの一場面》(1754~55年、ルーブル美術館蔵)

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そもそも謝肉祭ってなに?

ヴェネツィア、リオ、浅草といえば、華やかなカーニバルが思い浮かびますよね。日本語で謝肉祭と訳されるこのお祭り、そもそもなんのお祭りなのでしょうか。肉に謝る? 肉に感謝する?

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謝肉祭は、イースターの40日後という決まりです。キリスト教でイエス・キリストが十字架につけられ、天に召した3日後に復活したことを祝う復活祭がイースター。「春分の日」の満月後初めての日曜日と定められているので、イースターも謝肉祭も毎年日にちが異なります(イースターについて詳しくは「おはようバッハ—教会暦で聴く今日の1曲—第47回《復活祭オラトリオ》BWV249——復活祭(イースター)」参照)。

イースターの前には、四旬節と呼ばれる心身を清める断食期間があります。謝肉祭とは、この断食期間に入る前に、思う存分飲み食いしておきましょう! というお祭りなのです。

ONTOMOの特集では、いくつかの国のカーニバル文化を紹介していきますが、まずは、カーニバルを題材にした音楽作品を紹介します!

謝肉祭プレイリスト

1. ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》
2. シューマン:《謝肉祭》
3. サン=サーンス:《動物の謝肉祭》
4. ドヴォルザーク:序曲3部作《自然と生命と愛》より序曲《謝肉祭》
5. ヴィラ=ロボス:《ブラジルの子どもの謝肉祭》

ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》

歌劇《ベンヴェヌート・チェッリーニ》の謝肉祭のメロディを中心に再編された序曲です。ベルリオーズは、ルネサンス期のイタリア人彫刻家ベンヴェヌート・チェッリーニの生涯に感銘を受けて、オペラ化に取り組みましたが、当時の聴衆の好みとは合わず、酷評されてしまいます。そこで、初演時に好評だった旋律を用いて、序曲にまとめたのです。《ベンヴェヌート・チェッリーニ》の舞台は、16世紀ローマ。謝肉祭期間中の3日間を背景に繰り広げられます。

《ベンヴェヌート・チェッリーニ》より謝肉祭のシーン

シューマン:《謝肉祭》

20曲から成るシューマンのピアノ曲集で、各曲のタイトルに「ピエロ」や「道化役者(アルルカン)」など謝肉祭を思わせるタイトルが登場します。曲集全体の副題は「ピアノのための4つの音符による可憐な情景」で、4つの音符とはA(ラ)・ES(ミ♭)・C(ド)・H(シ)、並べて読むと当時のシューマンの婚約者エルネスティーネ・フォン・フリッケンの故郷アシュ(Asch、チェコ西部の町)になります。

シューマン本人は、リストがこの曲集を初見で演奏したときに「そもそも、かくも支離滅裂な謝肉祭の様子が多くの聴衆を感動させられるかどうか」と自信なさげな発言をしたそう。さて、シューマンの不安は的中しているのか? 聴いてみてください!

サン=サーンス:《動物の謝肉祭》

チェロ独奏による「白鳥」をはじめ、ライオンや亀などさまざまな動物のキャラクターを鮮やかに表現した楽しいこの作品。サン=サーンスの友人でチェリストのシャルル・ルブークが企画した演奏会のために作曲されましたが、その初演の日は謝肉祭の最終日「マルディ・グラ(肥沃な火曜日)」でした。カーニバルのパレードの様子と動物たちが次々と登場するこの作品の雰囲気が重なっていますね。

カミーユ・ピサロ《大通りでのマルディ・グラ》(1897年、ヴィンタートーゥール美術館蔵)

ドヴォルザーク:序曲3部作《自然と生命と愛》より序曲《謝肉祭》

ドヴォルザークがアメリカに渡る前年の1891~92年に作曲された序曲3部作《自然と人生と愛》の2曲目にあたる序曲《謝肉祭》。プラハ大学から名誉博士号を授与され、この作品はその返礼として献呈されました。《自然と人生と愛》の構成は以下の通り。

第1部 序曲《自然のなかで》(自然)
第2部 序曲《謝肉祭》(人生)
第3部 序曲《オセロ》(愛)

人生を表す《謝肉祭》は、お祭りのにぎやかな雰囲気と人々の活気に満ちた様子を感じさせる作品です。

ヴィラ=ロボス:《ブラジルの子どもの謝肉祭》

ブラジルのリオデジャネイロ出身の作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス(1887~1959)が作曲した4手のためのピアノ組曲です。「小さなピピエロの子馬」「小さな悪魔のむち」「ピエレットの気まぐれ」「小さなドミノの鐘」「小さなくず屋の冒険」「仮面をつけたミニョンのいたずら」「着飾ったおませのハーモニカ」「子どものグループの喜び」の8曲で構成されています。

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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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