2020.03.05
おやすみベートーヴェン 第81夜【天才ピアニスト時代】
「ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調」――弟子バベッテに献呈された長大かつ洗練された傑作
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
ONTOMO編集部
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
弟子バベッテに献呈された長大かつ洗練された傑作「ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調」
意外な気もするのですが、規模的には「第29番《ハンマークラヴィーア》」に次ぐ大きな曲なんです。(中略)ベートーヴェンはこの作品のことを日記や書簡で「Die Verliebte(愛する人)」と呼んでいますから、非常に愛情の込もった作品になっていると思います。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)36ページより
このソナタはベートーヴェンの弟子であるバベッテ(バルバラ)・フォン・ケグレヴィッチ伯爵令嬢(1780~1813)に献呈されており、この曲のもつ長大さや、求められるテクニックからバベッテが相当なピアノの名手だったことがわかるそうです。
「不滅の恋人」(のちにベートーヴェンの手紙に現れる名前がわからない女性)の候補ではないそうですが、ベートーヴェンが彼女の才能に惚れこみ、認めていたのは確かなようですね。
作品紹介
「ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調」Op.7
作曲年代:1795年?(ベートーヴェン25歳?)
出版:1797年10月アルタリア社
小山実稚恵、平野昭著 『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)
関連する記事
-
バボラーク 室内楽は夢の職業。ベルリンフィルを辞め独立した音楽家となれて幸せ
-
福川伸陽が語るR.シュトラウスと父、その愛憎を超えて作り出されたホルン曲の数々
-
オーボエ vs ホルン、世界一難しい楽器はどっち? 大島弥州夫と福川伸陽が対決!
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2023.06.03
ブラームス以前にかくも陰影濃く味わい深い交響曲が女性作曲家の手で生まれていたとは
2023.06.02
ボンクリ・フェス2023 ジャンルも国境も超えた“世界中の新しい響き”が集結!
2023.06.02
ローム ミュージック ファンデーション「 スカラシップ コンサート」が京都・東京...
2023.06.01
6月の運勢&ラッキーミュージック☆青石ひかりのマンスリー星座占い
2023.05.31
最終回 ヴェルディ《仮面舞踏会》〜“マスク”を被った悲劇
2023.05.31
音メシ!作曲家の食卓#5 チャイコフスキー~親友を招いた音楽会で囲んだパイ料理
2023.05.30
人はいつからでもやり直せる~40歳超で音大入学した麻生泰氏が語る人生哲学と音楽
2023.05.30
いつもポケットに「Pianists Corner」! ピアニスト大辞典のアプリ版...