35周年のキーメッセージは「夢を奏でる場所」〜サントリーホールは新たな時代へ
2020.12.16
弦楽五重奏曲断章ハ長調——最終回! 穏やかな雰囲気に包まれた未完の絶筆作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
交響曲第2番の導入部で断片的に現れる音形が、第4楽章の主要主題の構成に音形およびリズム形として利用され、断片的であったものがひとつの音形として収斂(しゅうれん)、統合されてゆくところには、全楽章を有機的に関連づけようとする強い意図が窺える。もはや緩徐導入部はハイドンのような主部に対する形式構成上の前置きなどではなく、交響曲全体の性格決定と有機的統一にとって主題提示部に優るとも劣らない主要部となっている。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)214ページより
第1楽章のはじめと第4楽章の主題に関連性があるとは、全4楽章をまとまりある作品として仕上げようとするベートーヴェンのこだわりが感じられます。師匠ハイドンを超えたと讃えられる全体の統一性を意識して聴いてみましょう。
交響曲第2番ニ長調Op.36
作曲年代:1802年(ベートーヴェン32歳)
出版:1804年3月美術工芸社(ウィーン)