「弦楽四重奏第14番 嬰ハ短調」第5〜7楽章——カールの将来についてベートーヴェンと話し合った結果は…...
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
カールの将来についてベートーヴェンと話し合った結果は…...「弦楽四重奏第14番 嬰ハ短調」第5〜7楽章
昨日ご紹介したように、ベートーヴェンの甥カールは拳銃による自殺未遂事件を起こしてしまいました。キリスト教において自殺行為は神への冒涜とみなされていたため、彼は入院中に厳重な教戒を受けることになりましたが、そのあいだに将来についてベートーヴェンと話し合うことになったのです。
その結果この際、カールの希望を受け入れることが最善策であるということになった。ベートーヴェンとしては、軍人になるにしても、まずは上官への道が開ける士官学校へ入学させたいと主張したのだが、カールのこれまでの学業成績では無理だということがわかった。そこでベートーヴェンはシュテファンの推挙と口添えでボヘミアのイーグラウ(現チェコのイフラヴァ)に駐屯する音楽愛好家でもあった陸軍元帥ヨーゼフ・フォン・シュトゥッターハイム男爵率いる連隊に入隊させることにし、8月に完成させた「嬰ハ短調」四重奏曲作品131をシュトゥッターハイム男爵に献呈することにしたのである。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)199ページより
話し合いの結果、カールは希望通り、軍隊へ入隊することに決まりました。そして退院後、ベートーヴェンとともにヨハンの屋敷があるグナイクセンドルフに2ヶ月ほど滞在することになります。
「弦楽四重奏第14番 嬰ハ短調」Op.131
作曲年代:1825年12月〜26年8月
初演:1828年6月2日
出版:1827年6月ショット社(マインツ)
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