プレイリスト
2020.06.20
おやすみベートーヴェン 第188夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「交響曲第3番 変ホ長調《英雄》第3楽章」——着手から約2年、試演会を経て完成した作品

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

着手から約2年、試演会を経て完成した作品「交響曲第3番 変ホ長調《英雄》第3楽章」

さて、この交響曲の公開初演は1805年の4月のことであるが、1804年の夏前に早々と浄書スコアが作成されていたのは単に出版を急いでいたためではなかったと思われる。この時期にベートーヴェンはボヘミアの大貴族でウィーンに数箇所の邸宅をもつロプコヴィツ侯爵との親交を深めていた。侯爵はウィーンの邸宅のひとつを大改造して、1804年春ころには常設のオーケストラがコンサートを開けるようなホールまでもつようになっていた。この新装なったロプコヴィツ宮殿のコンサート・ホールで、5月末から6月上旬に「ベートーヴェンの交響曲と協奏曲」のための2回の試演会が行われた。この機会にベートーヴェンは細部にわたって改訂の手を加えたものと思われる。浄書スコアの表紙に「804(ママ)、8」と記されているのは「1804年8月」に最終的な見直しを終えた日と考えられ、その直後にブライトコップ社宛ての作品売り込みの手紙を書いたのだろう。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)74-75ページより

作曲された年代は1803年とされていますが、その後何度か書き直され、1805年に公開初演されたようです。

第3楽章の演奏時間は約6分と短めです。軽やかなテンポで音楽が進行していきます。第2楽章とのコントラストも必聴です。

作品紹介
「交響曲第3番 変ホ長調《英雄》」Op.55

作曲年代:1803年(ベートーヴェン32〜33歳頃)

初演:1805年4月7日

出版:1806年10月美術工芸社(ウィーン)

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ