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2020.07.16
おやすみベートーヴェン 第214夜【作曲家デビュー・傑作の森】

弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 第3,4楽章——ラズモフスキー伯爵に敬意を表してロシア民謡を使用

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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ラズモフスキー伯爵に敬意を表してロシア民謡を使用 弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 第3,4楽章

(弦楽四重奏曲第7番は)楽章配置において2つの中間楽章を逆転させ、第2楽章にスケルツォ(表記はアレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド)、第3楽章にアダージョ(表記はアダージョ・モルト・エ・メスト)としたのも新しい考え方であるし、第3楽章から終楽章への連結方法(ここでは第1ヴァイオリンの連続トリルで接続される)にも晩年の「第九」交響曲の楽章配列の先取りを予感させる。両端楽章をアレグロとしている点に、主題呈示とその主題音形に同じDNAが流れていることへの注意喚起のようなものを感じる。チェロによる呈示であること、ヘ長調属音からの音階上行で主音に至る旋律モチーフの共通性に、全楽章を有機的に統一しようという意図がはっきりと窺える。また、全4楽章ともソナタ形式で書いていることも大きな特徴である。

終楽章はテーマ・ルッス(ロシア主題)の表記があり、この作品を献呈する在ウィーン・ロシア全権大使アンドレイ・キリロヴィチ・ラズモフスキー伯爵への敬意の表現として1790年に出版されていたイワン・ブラーチェ篇の『ロシア民謡集百選』の第9曲《ああ、私の運命よ》が使われている(恐らくこの楽譜集はラズモフスキー伯爵所有のものであっただろう)。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)227ページより

全楽章に統一性をもたせている点や、バス声部を担当してきたチェロに主題を呈示させる点、そして終楽章に用いられているロシアのテーマによってラズモフスキー伯爵に敬意を表している点など、聴きどころの多い作品です。

作品紹介

弦楽四重奏曲第7番ヘ長調Op.59-1

作曲年代:1806年4~7月(ベートーヴェン36歳)

出版:1808年1月美術工芸社(ウィーン)

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

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