スキャンダラスな天才、トーニャ・ハーディングの現役時代を聴く
映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』が絶賛公開中です。今回取り上げられた、ある意味伝説のフィギュアスケーター トーニャ・ハーディングを音楽で振り返るプレイリストです。
東京生まれの宇都宮育ち。高校卒業後、渡仏。リュエイル=マルメゾン音楽院にてフルートを学ぶ。帰国後はクラシックだけでは無くジャズなど即興も含めた演奏活動や講師活動を行な...
フィギュアスケート界、いやスポーツ界全体に衝撃をあたえた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」から24年、第90回アカデミー賞では主演女優賞、編集賞などでノミネートを受け、アリソン・ジャネイが助演女優賞を受賞した映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で再び注目を浴びているフィギュアスケーターのトーニャ・ハーディング。
彼女のおかした罪は許されることではありませんが、その闇の歴史に隠されているフィギュアスケーターとしての実力は抜群だったことも事実です。
このプレイリストでは主な戦績とともに、プログラムで使われた曲を聴きながら、彼女の現役時代を振り返ります。
1. ステファン・ソンドハイム:センド・イン・ザ・クラウンズ ~ 「リトル・ナイト・ミュージック」
トーニャ・ハーディング、名誉の瞬間から参りましょう。
1991年の全米選手権においてトーニャは女性選手としては2番目にトリプルアクセルを成功させ(最初に成功したのは伊藤みどり)初優勝、同じ年のスケートアメリカではショート・プログラム、ロング・プログラムの両方でトリプルアクセルに成功、これは世界初のことです。このとき使われていたのがこの曲です。
ジョン・ウィリアムス:映画「ジュラシック・パーク」~
2. オープニング・クレジット ~ 3. エンド・タイトル
問題のプログラムに参ります。1994年の全米選手権とリレハンメルオリンピックのロング・プログラムで使われたのは当時大ヒットしていたスティーブン・スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」のサウンドトラックから。
この全米選手権で「ナンシー・ケリガン襲撃事件」が起こります。ナンシー・ケリガンは欠場し、トーニャ・ハーディングは1位、オリンピックの切符を手にします。
元夫の逮捕により疑いの目がかけられたものの、出場したオリンピックでは靴紐のトラブルにみまわれ、トリプルアクセルを失敗。それでも8位に入賞しています。スケート・リンクの手すりに足を乗せて、涙ながらに審査員に訴えるトーニャを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
4. マイケル・ケイメン:映画「ロビン・フッド」サウンドトラック
こちらは91年のスケート・アメリカ、女性選手としては史上初の2つの6.0点の評価を受けて優勝したときの1曲。実はトーニャ・ハーディング、音楽のチョイスの面でも非常に革新的で、公式な記録が残っている試合ではクラシック音楽をほとんど使っていません。当時の試合では、まだまだクラシック音楽で滑る選手が大半の中、流行のヒット曲や映画音楽を積極的に使用しているのです。ケヴィン・レイノルズ監督、ケヴィン・コスナー主演のこの映画はそんなに評判にはならなかったようですが……。
5. ZZ Top:Sleeping Bag
70-80年代に人気を博し、2004年にはロックの殿堂入りも果たしたロックバンド、ZZトップの85年のヒット曲をトーニャは89年のロング・プログラムに選んでいます。スケートアメリカで初の優勝を果たし、前途洋々のトーニャ。彼女がどんな若者だったのかは、ぜひ公開中の映画をご覧ください。
6 – 7. J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調
1曲もクラシック音楽がないのではこのサイトのコンセプトに……と悩んでいたところ、思い出しました! トーニャのプログラムの中でも特に印象的な1991-1992のショート・プログラムで使われていたLa Tourの「People Are Still Having Sex」の中で、原曲にはないバッハの「チロリー」が入れ込まれておりました。
日本では悲劇的な場面でよく使われるこのメロディ、なんだかこの後のトーニャの運命を予見しているような、いないような…….。
よしひろまさみちさんの映画の紹介記事もどうぞ!
関連する記事
-
進化を続けるプリンスアイスワールド 構成・菅野こうめいが語る意外な難しさとは?
-
浅田真央×辻井伸行×三浦文彰、夢の共演!3人が氷上で紡いだリスト《愛の夢》
-
フィギュアスケートの「バイエル」!? 誰もが滑れる町田樹振付のエチュード作品公開
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly