短期連載「もっと知りたい! だから楽しい! 電子ピアノの旅 2018」file.02

自然なピアノの振る舞い、空間による残響の違い……ローランドLX708に春畑セロリさんが熱くなる!

レポート
2018.11.20

楽器選びに悩む人に向けて、驚くほど楽器として飛躍している電子ピアノのメーカー各社を人気作曲家・春畑セロリさんが巡り、いまイチオシの電子ピアノを弾きまくって実況する連載。

第2回はローランドの東京オフィスを訪ねました。「弾くのが楽しくなるピアノ!」と想像力が広がっている様子のセロリさん。さて、どんな楽器なのでしょうか?

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取材・文:飯田有抄
撮影:満田 聡
提供:ローランド株式会社
旅する音楽家
春畑セロリ 作曲家
春畑セロリ
旅する音楽家
春畑セロリ 作曲家
東京藝術大学卒。鎌倉生まれ、横浜育ち。舞台、映像、イベント、出版のための音楽制作、作編曲、演奏、執筆、音楽プロデュースなどで活動中。さすらいのお気楽者。主な著作に、ピ...

ローランドの東京オフィスに用意されていたのは、同社の家庭用デジタルピアノの中でも最高峰のLX700シリーズから、フラグシップのLX708(11月23日発売予定)です。

やはり気になるのは、「音」、「タッチ」、「操作性」の3つ。毎日音楽を奏でるのに一番大切なポイントなので、さまざまな曲を弾いて、「どんな曲が似合うのか」「どんなふうに弾きたくなるのか」、試していきます。

セロリさんが弾いたのは、LX708の「黒塗鏡面艶出し塗装仕上げ」
LX708には「白塗鏡面艶出し塗装仕上げ」もあります。

知りたいポイント その1&2:音&タッチ

アコースティックピアノの“ 振る舞い” を感じる

ローランドが新しく発表したデジタルピアノLX700 シリーズは、音、鍵盤、デザイン、機能のすべてが真新しくなりました。

「デジタルピアノだから、やっぱり◯◯はできないんでしょう?」と言われがちだったこと、たとえば、倍音の生成や、鍵盤とペダルから指や足を離すときの「リリース」の表情付けが「できない」などというのは、もはや昔の話。倍音も離鍵もハーフペダルも、奏者の微細なコントロールに応えてくれるのは、今やローランドの常識。

さらに、ローランドが開発を重ねてきた「モデリング」という音源の技術は、アコースティックピアノから発せられるあらゆる音、つまりハンマーが弦を打ち、打たれた弦の振動がフレームや響板に広がって空間に放たれるというプロセスそのものや、ピアノからわずかに発せられている非楽音をも活かし、いわば「ピアノの振る舞い」を忠実に再現してくれます。

LX708は、シリーズの中でも最高峰モデル。まったくキャラクターの異なる2つのピアノ「ヨーロピアン」(優雅で滑らか)と「アメリカン」(明るく煌びやか)の音色が搭載されています。

セロリさんはまず「ヨーロピアン」で、幅広い音域を駆使する《チーター》(音楽之友社刊『ゼツメツキグシュノオト』より)を弾いてみました。

セロリ 「とにかく楽器として優れていますね!  鍵盤に手が吸い付くようによく馴染みます。中音域から高音域への移行は、アコースティックの楽器でも、ものによっては不自然なバランスになりがちですが、この楽器はとても自然。低音域も、従来のデジタルピアノのモコモコした印象ではなく、濁りなくクリア。最近では多くの人がデジタルピアノで演奏するので、私は編曲の際に低音域の密集和音を避けることがあったのですが、この楽器ならそんな心配はいりませんね」

鍵盤は木材と樹脂のハイブリッド構造で、経年変化が少なく丈夫、タッチの安定性もアップしました。

「低音域も濁りがなくクリアなので、編曲の際に密集和音も気兼ねなく使えますね」

空間に応じた残響を味わって

演奏している場所がどこなのか、それをリアルに「モデリング」しているのも新シリーズの特徴です。「コンサートホール」「スタジオ」「ラウンジ」「木壁のホール」「石壁のホール」「大聖堂」という空間(アンビエンス)を選ぶことができ、それぞれの残響を11段階から設定できます。

セロリ 「2種類のピアノ、6つのアンビエンス、そして残響の深さ。その組み合わせによって、同じ曲をいろいろに弾き分けてみたくなりますね」

そう言って《エリーゼのために》をさまざまなテンポ、間合い、強弱変化で弾き続けるセロリさん。

セロリ 「つい弾き続けちゃいますね(笑)。昔のように『オルガンの音色だからバッハを弾こう』というような発想だけでなく、ピアノの響きのヴァリエーションが豊富なので、自分が出した音からインスパイアされて、次の音につなげる音楽表現を楽しみたくなります。デジタル技術の精緻な工夫を重ねられた楽器だからこそ、高度な遊びが楽しめそう」

ヘッドフォンの音色も驚きの立体感!

知りたいポイント その3:操作性

扱いやすいグッドなデザイン!

2018 年度グッドデザイン賞を受賞したLX708は、操作のしやすさを重視して、あえてボタンやダイヤルを隠すことなく中央部に配置。シンプルなので、感覚的に扱えます。

なお、「Piano Every Day」というタブレットやスマホ用の専用アプリも実にシンプル。Bluetooth で連携させて、1日の練習時間を記録したり、楽譜をダウンロードしたり、録音した音源の再生を端末で聴くことができます。

ボタンやダイヤルが鍵盤前の中央に配置され、操作がしやすい。
「Piano Every Day」は練習に活躍しそう。
ピアノを弾く人に嬉しい楽譜おさえも付いている。

「Piano Every Day」はこんなふうに使えます。

 

セロリさんのオススメ活用法

繊細な響きのヴァリエーションで、音楽の情景を想像する

ミ‐シ‐ミ‐シ……たった2音の繰り返し。《ゆきのあさ》(音楽之友社刊『すきなおと、ひこう』より)のフレーズを、空間(アンビエンス)と残響の設定を変えて弾いてみました。

「大聖堂」で残響8、「ラウンジ」で残響10では、まるで表情が変わります。雪は雪でも、湿った雪なのか、降り始めたばかりのサラサラの雪なのか。それともオランダのカテドラルに降る雪なのか、スイスの雪山に降る雪なのか。この2音だけでも、設定や弾き方でいろんな想像が膨らみます。

自分の指が創り出すファンタスティックな世界に没頭して、素敵な音遊びを楽しむのはいかがですか?

中・上級者が作品を極め、解釈の幅を広げるツールとして

もちろん音数の多いパッセージや、重厚な和音が多用される作品の練習にも、全音域のバランスがよく整えられたローランドの楽器は活躍してくれます。

和音の作り方ひとつをとっても、ベートーヴェンの《悲愴ソナタ》冒頭の非常に重い和音、ショパンのバラードやエチュードの広域に及ぶ和音、ラフマニノフの連続する甘美な和音、プロコフィエフの鋭角的な和音などは、楽器の音色・音場・残響の設定を変えれば、当然、演奏者も声部間のバランスのコントロールやぺダリングを変えていかなければなりません。

その体験は、音に向かう意識を高め、作品に対する解釈の幅を広げてくれると思います。

ピアニスト金子三勇士さんの演奏。

 

楽器の情報
LX700シリーズ 最高峰モデル

ローランド LX708-PES

寸法: 幅139.5×奥行49.1×高さ118cm(天板閉時)

重量: 110.5kg

価格: オープン価格(市場想定価格:466,000円/税別)

発売日: 2018年11月23日(金祝)

※LX706/LX705も同時発売予定

問い合わせ: ローランド株式会社 お客様相談センター Tel. 050-3101-2555

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