レポート
2025.11.06

街ゆく人々がたちまち熱心な聴衆に! 神楽坂の街に響きわたるハッピーなサックス・アンサンブル

中沢十志幸
中沢十志幸 音楽之友社 出版局

東京生まれの千葉県育ち。大学の文学部を卒業後、音楽之友社に入社、1991年から、若干の空白を挟み、『レコード芸術』編集部に所属、2007年より同誌編集長。13歳からク...

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今年、2025年も11月3日の文化の日に、神楽坂(東京都新宿区)の音楽之友社別館テラスをステージとして、サクソフォン奏者・小串俊寿さん(東京音楽大学教授)の門下生たちによって結成された「神楽坂ハッピー・サックス・アンサンブル」の無料野外コンサートが開催された。毎年10月半ばから11月3日にかけて、開催されている「神楽坂まち飛びフェスタ」恒例の人気演目である。

「神楽坂まち飛びフェスタ」は、「伝統」と「モダン」が交わる街、神楽坂らしさを凝縮した、手作りの“まちの文化祭”で、アート・エキシビションや伝統芸能、コンサートやストリートパフォーマンスなどが、メインストリートの神楽坂通りを中心に繰り広げられている。

演奏に合わせて歌い出す子どもたち

例年と同じく13時開演と14時30分開演の2ステージが行なわれ、曲目を若干入れ替えながら、《ブロックM》、《ジブリ・メドレー》、《サザエさんメドレー》、《モーツァルト・トリビュート》、《宝島》、《オーメンズ・オブ・ラブ》、《ミッキーマウス・マーチ》、《スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス》など、クラシックから吹奏楽の定番、映画音楽やアニソンまで、おなじみのメロディが青空のもと、次々と演奏された。

年に一度、11月3日のコンサートだけのために結成される「神楽坂ハッピー・サックス・アンサンブル」。前列左から、村田礼奈・佐藤直人(ソプラノ)、武田恵美・山下実希・安田桂絵奈(アルト)、横山巧(バリトン)。後列左から、菊地麻利絵(ソプラニーノ)、山口雄理(ソプラノ)、野澤美香・種村修太(アルト)、小串俊寿(指揮)、立堀美穂・中村ちひろ・近田めぐみ(テナー)、岡海南枝・山田寛生(バリトン)〔敬称略〕

5種のサクソフォン(ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)による総勢15名のアンサンブルが輝かしい響きを紡ぎ始めると、街ゆく人々がたちまち熱心な聴衆と化し、音楽之友社前は通行もままならないほどの人だかり。喜んで聴いていた子どもたちが、演奏に合わせて歌い出すという微笑ましい光景も見られた。演奏が進むにつれてコンサートは大きな盛り上がりを見せ、小串さんとアンサンブルに盛大な拍手が贈られた。鳴りやまない拍手に応えて、アンコールも複数曲演奏され、各ステージとも予定時間をオーバーするほどの盛況だった。

もっとも大切にしている音楽活動

「子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、音楽によってハッピーにしたい」をモットーとしている小串さん。「今日、演奏を聴いてくれた子どもたちが、これをきっかけに音楽を好きになってくれたら、音楽の道に進んでくれたら、これ以上の喜びはありません。こうした音楽活動は、私がもっとも大切にしていることなのです」と語ってくれた。

指揮をする小串俊寿さん

年に一度、門下生たちが集まって結成されるこのアンサンブルは、彼らの同窓会も兼ねているとのことで、全員が毎年、この日を楽しみにしているという。さまざまな分野で活躍している名手ぞろいなので、この日にスケジュールを合わせるのは並大抵のことではなかったと思われるが、それでも小串さんを慕い、その活動に賛同しているメンバーたちは、終演後には早くも来年11月3日の再会を固く誓っていた。

中沢十志幸
中沢十志幸 音楽之友社 出版局

東京生まれの千葉県育ち。大学の文学部を卒業後、音楽之友社に入社、1991年から、若干の空白を挟み、『レコード芸術』編集部に所属、2007年より同誌編集長。13歳からク...

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