今年も「ミューザの日」で笑顔が花開く~小学生プロデューサーのコンサート
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
小学生が企画から広報、運営まで担当
ジュニア・プロデューサーの企画コンサートが今年も7月1日「ミューザの日」に、ミューザ川崎4階の市民交流室で開催された。この日は川崎市の市制記念日であり、ミューザ川崎シンフォニーホールの開館記念日でもある。
小学生が自分たちで企画から広報、運営まで行なうこのコンサート。昨年は、「夏休み一行日記」の朗読と演奏が交互に進む内容で、その発想の斬新さに度肝を抜かれた。
今年のタイトルには「みんなの宝石 音の石」とある。音の石ってどういうこと??
「みんなの中から『音の石』という案が出たときに、宝石が出てくるストーリーにしよう、ということになりました」と企画班のまさくん。そもそも「音の石」という発想がユニークだし、想像がふくらむ素敵な言葉。この言葉を出発点にストーリーを考え、合う曲や宝石を考えていったという。
ゲームの世界のようなコンサート
コンサートは《となりのトトロ》で和やかに幕を開けた。東京交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏団で、それぞれの楽器の紹介もあり、ここまでは通常の子ども向けコンサートの雰囲気。
だがここからが、ジュニア・プロデューサーの本領発揮。突如会場が暗くなったかと思うと、渦巻の映像と、ヒュルヒュルという弦楽器の不気味な音が響く。そして弦楽四重奏団がヘルメットとリュック姿で再登場! ここは《レイダース・マーチ》(映画『インディー・ジョーンズ』)の冒険の世界。
宝石を集めると元の世界に戻れる、という筋立てで、弦楽四重奏団が1曲演奏するたびに、《宝島》でダイヤモンド、《運命》でサファイア、《パープル・ヘイズ》でアメジスト、《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》でエメラルド……と、宝石を次々ゲットしていく。
そしてラスボスの魔王が登場。戦いの末、魔王が負けて、ムーンストーンをゲット。でもこの宝石にはもっとパワーが必要、みんな助けて! 《きらきら星変奏曲》で子どもたちがつけた振り付けに会場も参加して応援すると……元の世界へ戻れた!
公演後の振り返りの会では、ジュニア・プロデューサーたちにとって、「お客さんが笑ってくれた」「喜んでくれた」ことがいちばん嬉しかった様子。「どんなリアクションをするとお客さんは笑ってくれるだろう」「仲間たちのまったく違う意見をどう集約していけばいいだろう」「この音楽を聴いて、お客さんはどんな場面を想像するだろう」。たくさんの「?」に五感をフル稼働させたであろう子どもたち。最後に「共感力」という輝ける宝石を、手にしたのではないだろうか。
関連する記事
-
巨匠的スケール感のヴァイオリニスト・ロザコヴィッチとプレトニョフが44歳違いの共...
-
フランチェスコ・トリスターノの ささやくように静かなバッハ
-
パッパーノ&サンタ・チェチーリア管が誘う 高揚感と色彩感に満ちた《シェエラザード...
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly