レポート
2023.08.26
横浜みなとみらいホール「オルガン道場」第1回に密着!

反田恭平、パイプオルガンに挑む。「風の楽器」の未知なる世界へ

ピアニストとして世界中で多忙な日々を過ごしている反田恭平。2023年4月には横浜みなとみらいホール「プロデューサー in レジデンス」第2代プロデューサーに就任し、さまざまな公演や企画のプロデュースを行なっていくことが発表された。その中の注目企画の一つが、オルガンの演奏に挑戦するという「オルガン道場」だ。

横浜みなとみらいホールのホールオルガニストである近藤 岳のレッスンを受け、最終的に3月に開催する「25周年音楽祭」でオルガン演奏を披露することを目指すという。そのレッスンの第1回が7月25日に行なわれた。本記事では、当日のレッスンの様子をレポートしながら、オルガンとピアノの構造や演奏上の違いを紹介していこう。

取材・文
長井進之介
取材・文
長井進之介 ピアニスト/音楽ライター

国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...

撮影:ヒダキトモコ

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パイプオルガン演奏はまず体幹

レッスンは、大ホール舞台正面に設置されているパイプオルガン「ルーシー」を使用して行なわれた。まずは導入として、近藤がオルガンの構造について説明。ルーシーのような大型のオルガンは、一般的に2から4段(最大のものではアメリカのニュージャージー州にある楽器で、なんと7段!)の手鍵盤(マニュアル)と足鍵盤(ペダル)を備えている

ピアノと違って、音を豊かに響かせたり音色を変化させるためのペダルではなく、両足で鍵盤を演奏するための鍵盤状のペダルだ。近藤によれば、その操作は「足使い、上体の支えが難しく体幹が問われる」という。だからこそ座り方も大切と、弾く前の段階から丁寧な指導が行なわれた。

手で弾きながら足でも演奏するパイプオルガンは、体幹が問われる楽器

管楽器を吹くように弾く「風の楽器」

パイプオルガンはその名の通り、風をパイプに送り、空気を振動させて音を出す楽器だ。同じ鍵盤楽器といっても、ピアノとは音色の出し方がまったく異なり、発音のしかたは管楽器といえる。 風箱(かざばこ)という箱の上に、フルート系のドの音を出すためのパイプ、トランペット系のドの音を出すパイプ……というように、金属や木製などさまざまな種類のパイプが音色の数×鍵盤の数だけ立っている。

なお、オルガンは鍵盤をただ触るだけでは音は鳴らない。音色を選ぶ「ストップ」を引くことで、それに対応したスライダー(穴の開いた板)が動き、希望の音色のパイプ群に風を通す準備ができる。鍵盤を押すと風路へ空気が入り、選んだ音色のパイプを通って音が鳴るのである。ちなみに、「ルーシー」のパイプは4,632本あり、ストップの数は62。ひじょうに充実した音色の数を誇っている。

ストップを引くとその音色が出るしくみ。鍵盤を取り囲むように、62種類の音色のストップがズラリと並んでいる

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