レポート
2022.09.01
今年はオンラインで小原孝と樹原孝之介が共演

大人気教本『ピアノランド』の樹原涼子が仲間たちと贈るピアノランドフェスティバル

今年で68回目を迎える夏恒例のピアノランドフェスティバル。けやきホールからオンライン配信された公演の模様をレポートします。

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

撮影-ヒダキトモコ

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夏恒例の「ピアノランドフェスティバル」がオンライン開催!

『ピアノランド』は音楽とピアノの楽しさを子どもたちに伝えようと、樹原涼子さんが作曲したシリーズで、1991年に出版されて以来ずっと大人気のピアノ教本です。樹原さんはこれまでに、歌や連弾を取り入れた画期的な『ピアノランド』シリーズのほか、コードやスケール、即興を学べるテキストのほか、大人たちがゆっくりとピアノを奏でるひと時のために作られた美しい小品集なども次々と世に送り出してきました。

そんな樹原さんが、小原孝さんをはじめ、素敵なピアニストや歌手たちと毎年夏に開催しているのが「ピアノランドフェスティバル」です。『ピアノランド』でお馴染みの曲から最新作まで、樹原さん本人の歌やピアノ、仲間たちとの共演、アイディア満載の楽しいプログラムで、各地のホールで催されてきました。

コロナ禍の2020年からはオンライン配信での開催を余儀なくされましたが、今年もオンラインの形で、なんと23年目、68回目のフェスティバルが開かれました! 会場は昨年に続き、渋谷区のけやきホールです。2020年、21年はクローズドの配信収録がなされましたが、今回は人数限定で観覧者の参加もありました。共演は小原孝さんと樹原孝之介さんです。

目玉は新作『ピアノランドプラス 四季のうた』

コンサート第1部のテーマは「四季」。まずは『ピアノランド』の連弾曲の中から《さらさら おがわ》《ビッグサマー》《秋のエチュード》《ふゆのペンキやさん》など、季節を彩る楽しい作品が、樹原さんと小原さんの連弾と歌で次々と披露されました。曲と曲の間は、四季の情景が目の前に広がるような、樹原さんの言葉でつなげられていきます。

そして今回のフェスティバルの大注目プログラムへ。この10月、なんと新シリーズ『ピアノランドプラス』が誕生するのです! その第1弾「四季のうた」から、作曲されたばかりの新作連弾10作品、そしてソロ曲4作品が初演されました。

「技術的には『ピアノランド』の2巻から3巻を学ぶ子どもたちに合う曲集ですが、より音楽的に奥行きのある楽しみを広げてもらいたいと願って、私のこれまでの経験を投入して作曲しました」(樹原さん)

引き続き樹原さんと小原さんの連弾・歌で、クラップ(手拍子)の入る楽しい《森のレストラン》や《夏のひまわりさん》、大人っぽいメロディーと歌詞の《静かな秋》、おしゃれなハーモニーとワルツのリズムでうきうきとする《ママと手袋》など新作全10曲が初演されました。

ソロ曲は、鏡の中の世界を描いた物語仕立てです。樹原さんの朗読、そして小原さんの演奏で披露。膝やお尻をたたく場面もあるモードで書かれた《真夜中のお出かけ》や、全音音階の浮遊感と柔らかな曲奏が特徴的な《魔法の館》など4曲がお披露目されました。

『ピアノランドプラス~四季のうた~ポジション移動を始めたら』10月中旬発売予定
菊倍判・48頁・本体1800円(予価)
商品コード451780

「ピアノランドプラス」シリーズ第一弾は、『ピアノランド』2巻3巻に併用できるレヴェルの曲を収録。四季折々のこども目線の標題楽曲のほか、ソロ、6手連弾などさまざまな形で楽しめる曲を収録。
既刊『ピアノランド』シリーズ同様、伴奏オケ音源(MP3)も発売予定。本文オールカラー。

小原孝さんの生ラジオ?!「Liokoの部屋」でたっぷりトークも

コンサートの第2部は、小原孝さんによる「弾き語りフォーユー」コーナーで開始。NHK-FMでお馴染みの番組スタイルで、あのテーマ曲とオープニングの語りが繰り広げられました。

小原孝さんの新譜で52枚目(!)のアルバム『小原孝のピアノ・カフェテラス〜やすらぎの時間をご一緒に』から、舞台のために作曲された《モリー先生との火曜日》より ”愛のテーマ”、子どもたちのために作曲した《平和のチャイム》、YouTubeチャンネルでも人気の煌びやかな作品《スタニヤン・ストリート》などが演奏されました。

つづく「6手連弾の楽しみ」では、“ピアノランド育ち”の樹原孝之介さんも加わり、『ピアノランドプラス』からさらに新曲2作品、切なさの漂う旋法的なモチーフが掛け合う《聴いているよ》、ピースフルなワルツで、3人での演奏が楽しそうな《雲に乗って》を披露。

最後のコーナーは「Liokoの部屋」と題して、まずは3人でのトーク。小原さんと孝之介さんの師弟関係の思い出話や、今の時代に音楽することの大切さなどが語られました。そこから、樹原さんがピアノを愛する大人たちのために書いた《時の砂》《やさしいまなざし》《君は君のままで》といった素敵な作品が、3人それぞれのソロで次々と演奏されました。

アンコールには、樹原さんと小原さんの連弾で《ラプソディ 第2番》、そして孝之介さんのピアノと3人の歌で、何度聴いても胸が熱くなる《願い〜ピアノランドフェスティバルの日に〜》(小原さんが歌詞を新たに書いたバージョン)により締めくくられました。

今年も充実した内容となった「ピアノランドフェスティバル」WEB配信コンサートは、9月末日までオンライン試聴(有料)ができます。レポートでは触れきれなかった名曲たち、そして最新作の出版に先駆けて、ぜひお楽しみください!

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飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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