レポート
2021.01.31
デスクトップの音を快適に♪

キットならできる!? 無垢材の小型スピーカー工作に挑戦!〜生形モデル“Meilo”

「見た目が最高に素敵で、ほぼ一目惚れした」と、ONTOMO Shopで昨年発売したスピーカー・キット“Meilo”を絶賛し、工作に意欲を見せてくれたナビゲーターの飯田有抄さん。オーディオ誌「stereo」の常連筆者でありオーディオ・アクティビストの生形三郎さんが設計し、その音質もお墨付き。
せっかくなので、その工作の現場を紹介することに。自分で手を動かして作ってみると、スピーカーの方式や構造、音質の調整方法などの奥深さに魅了されるでしょう!

工作した人
飯田有抄
工作した人
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

設計した人
生形三郎
設計した人
生形三郎 オーディオ・アクティビスト

オーディオ・アクティビスト(音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家)。東京都世田谷区出身。昭和音大作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音...

撮影:編集部

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初の無垢材スピーカー工作に挑戦!

オーディオ環境を少〜しずつアップグレードさせていくと、聴き慣れたお気に入りの音源をフレッシュな気持ちで楽しめたり、ちょっとした達成感が得られたりします。

先日、私はデスクトップ・オーディオのスピーカーを更新いたしました。たんなる買い替えではなく、天然無垢材エンクロージャー工作に挑戦です。とはいえ設計はムリなので、板材や部品がセットになっているキットで作ります。

そのキットは、北米産レッドチェリーと日本産オークを使用したUBUKATA MODEL—LBR-3 “Meilo”。2020年夏に発売されたMOOKの付録「マークオーディオ製6㎝フルレンジ・スピーカーユニット(OM-MF4)」に対応していて、とにかく見た目が最高に素敵で、ほぼ一目惚れしたんです。

デスクトップに最適なコンパクトサイズでありながら、無垢材の高級感がすごい。音質も、生形三郎さん設計によるものということで、安心感があります。絶対に失敗したくない価格帯ではありますが、頑張ってチャレンジすることにしました!

音の要、スピーカーユニット(OM-MF4)の設計者マーク・フェンロンさんが特徴を紹介!

2年前の工作は、ガタガタ……

実は、スピーカー工作は2度目で、2年前にも別のキットで作っています。

「けっこう簡単にできそう〜♪」と張り切ったものの、仕上がりは結構ガタガタ(苦笑)。手の薄皮ズル剥けになりながら頑張ったのですが、非力でネジが途中から入り込まなくなったり、なめってしまったり……。

それでも実際鳴らしてみると、中高音が特にクリアでブリリアントな響きにびっくり。何しろ自分で作ったという愛着もあって、けっこう気に入って2年ほど使用してきました。

2年前の苦労の記録。「stereo」編MOOKの付録キットと、マークオーディオ製8cmのフルレンジ・スピーカーユニットを用いて作ったスピーカー。
2年間聴きまくったデスクトップのオーディオ環境。アクティブ・サブウーファーはフォステクスのPM-SUBmini2。

低音域はフォステクスのサブウーファーを2台使用でばっちり補っているのですが、それでもこのユニットの特性でしょうか、高音の硬質な感じが、やはりどうしても気にはなっていました。そこに無垢材の新モデル登場。もう更新するしかありません(笑)。

ぜったい失敗したくない! 設計者・生形さんに教えを乞う

“ONTOMOナビゲーター”の立場を利用して(?)、生形三郎さんに制作のポイントを教えてもらえることになりました。せっかくなので、ONTOMO編集部にビデオも回していただき、読者のみなさまとシェア! 工作に挑戦してみたい方、以下の写真と動画をぜひ参考になさってください。

スピーカー・キット“Meilo”の作り方ダイジェスト!

木材には板番号やガイドがあるので、それに沿ってボンドで接着していく。
マークオーディオ製のターミナルを、あとで緩んでこないようにしっかり締めて固定。内部配線用ケーブルも、音にいいものを採用。
天然サーモウールの吸音材は、左右のスピーカーに同じ量が入るように調整。音が変わるところなので入れすぎ注意。
ボンドは速乾性のものを使用。飯田さんは響きをすっきりさせすぎない方針で、吸音材を薄めに3面に貼ることに。
接着時に圧をかけて、はみ出たボンドは濡れ雑巾で拭き取る。
接着部分はハタガネで固定しながら進めていく。最後にスピーカーユニットをつけて完成。
フロントとリアのバッフルはレッドチェリー、周りの面はオークの無垢材を使って、見た目にも音にもいいスピーカーに。

詳しい組み立てガイドはこちら

スピーカー・キット“Meilo”(迷路)の解説と試聴した感想

6cmスピーカーユニット OM-MF4の音を生形さんが解説!

工作するときに注意するポイント

ついに完成! コンパクトなのに豊潤な響き

編集部では一つしか作れなかったので、もう一つを自宅で完成させました。

今回は生形さんに教えてもらったポイントをしっかり守って制作。丼勘定・大雑把な自分の性格を封印し、F型クランプでしっかり抑え各部を接着。仕上げは、むちゃくちゃ丁寧に150番の紙やすりをかけて、表面のわずかな凹凸をなくします。そしてオイルを塗って完成! オイルは「ユーオイル HARD」というのを塗りました。木材の乾燥を防ぎ、こっくりとした色合いが出て、木目が美しく際立ちます。 既製品に負けないくらいに美しく、高級感あふれる仕上がりとなりました。大満足!

やすりがけや塗装をして仕上がりを美しく!

ボンドが乾くまで、F型クランプでかっちり固めていきます。
貼り合わせた箇所の凹凸がなくなって滑らかになるように、気の済むまで紙やすりをかけましょう。
ユーオイルを塗り塗り。しっとりしてきます。
オイルを入れるのと入れないのとでは、この違い! 木目の美しさが際立ちます。
完成です! いぇーい。ゆっくり丁寧にやると、まるっと1日はかかります。

もちろん音質もよく、このサイズとは思えないくらいによく鳴ります。2年前のキットのスピーカーよりも、やはり無垢材の性質でしょうか、豊潤で、柔らかく、小さいのにうっとりするような響きです。フォステクスのサブウーファーも引き続き使用しながら、ちょっと贅沢なデスクトップオーディオとなりました。

以下の動画は、いわゆる「空気録音」というもので2種類の手作りスピーカーを比較してみたものです。音質の「差」は感じ取っていただけるでしょうか。ご興味のある方はご覧ください♪

工作した人
飯田有抄
工作した人
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

設計した人
生形三郎
設計した人
生形三郎 オーディオ・アクティビスト

オーディオ・アクティビスト(音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家)。東京都世田谷区出身。昭和音大作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音...

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