スマホのサブスク・ストリーミングを 手軽に高音質で聴く方法
Amazon MusicやApple Musicなど、最近はハイレゾ音源の配信も増えてきました。じつはサブスクの音楽も音質にこだわっているのです。そこで今回は最低限の投資で、手軽にスマホのサブスクを高音質で楽しむ方法をご紹介しましょう。
2019年、Amazon Music とApple Musicがハイレゾ音源でのストリーミングサービスを始めました。
ハイレゾ音源とはCDよりもクオリティの高いデジタル音源のことです。CDの場合、サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bitという数値があって、厳密にはどちらかの数値がCDより大きければ「ハイレゾ」と言ってよいのですが、最近の傾向としては48kHz/24bitというのがひとつの基準になっています。
ちなみにAppleが以前より配信していた「ロスレス」は、CDと同じクオリティの音源のことで、「ハイレゾロスレス」と記載されているものがハイレゾ音源になります。また、Amazon Music では「HD」がCDクオリティ、「ULTRA HD」というマークが付いたものがハイレゾ音源です。
Step1 ちょっと良いBluetoothスピーカーで楽しむ
Bluetoothスピーカーやワイヤレス・イヤホン&ヘッドホンは使われている方も多いと思います。じつはもっとも手っ取り早い音質アップは、この音の出口を変えることなんです。
本格的なオーディオシステムでも、音を決めるのは50%以上がスピーカー、と主張するマニアも多いです。つまりBluetoothスピーカーをグレードアップすれば、簡単に高音質化できる、というわけです。
ただ単に高いスピーカーに買い替えるのではなく、ここでおすすめしたいのは左右独立型のBluetoothスピーカーに交換することです。
理由はふたつあって、ひとつは左右が独立しているためステレオの立体的な定位が楽しめる、ということ。もうひとつはセッティング(どこに置くか、どんな台を使うか、など)を工夫することができる、ということです。
とくにセッティングは重要で、本格的なシステムでも、このセッティング次第でシステムの力をどれだけ引き出せるかが変わります。
さて、今回こうした独立型のスピーカーとして使ってみたのはタスカムのVL-S3BTです。
なぜこのモデルをセレクトしたのかというと、なんといっても安い! 量販店や通販で1万3000円くらいで売っています(これでも円安などのあおりで高くなりました)。
またタスカムというブランドは、一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、ティアックのプロ用ブランドなのです。ティアックはハイエンドにエソテリック、プロ用としてタスカムという3ブランドを使い分けていて、タスカムはタフで堅実な作りになってます。マニアにも愛好者が多いブランドなのです。
使い方は、単体のBluetoothスピーカーよりひと手間、ふた手間多いです。
まず「LEFT」側が親機になります。こちらにレシーバーやアンプが内蔵されているので、ACアダプターはこちらに繋ぎます。次に「LEFT」側の「OUTPUT TO RIGHT」と「RIGHT」側の「INPUT FROM LEFT」をスピーカーケーブル(※)でつなぎます。
※スピーカーケーブル:amazonやビックカメラなどで1000円代で購入できます。
あとは電源を入れて左右にスピーカーを置きます。基本的には左右のスピーカーと自分の位置が正三角形を描くように置きますが、左右それぞれのスピーカーと自分の距離がだいたい同じ(つまり二等辺三角形)であれば、それほど神経質になる必要はありません。いろいろな位置に置いて聴き比べてみてください。
また、このスピーカーについては背面に穴があいている「(リア)バスレフ」という型式になります。この穴(バスレフポート)は共鳴して低音が増強されていて、壁から離して置くのが基本ですが、あえて壁に近づけたりしても音が変わって面白いでしょう。
なお今回はオーディオボードという頑丈な板の上に置いて聴きましたが、置く場所によっても音は大きく変わります。もしスペースと予算に余裕があれば、頑丈なスピーカースタンド(Amazonなどでも売っていますし、ハードオフなどで中古のものも販売されています)を使うのがベストです。
さて、ここまででも十分良い音で楽しめるようになったと思いますが、じつは現在普及しているBluetoothの規格はハイレゾ再生に対応していません。規格としてサポートしていないためです。
実際には、聴いても「これはハイレゾ」「こちらはハイレゾじゃない」とはっきりと分かる人は相当耳が肥えています。正直私も自信はありません。しかし、せっかくAmazonもAppleもハイレゾで配信してくれているので、ぜひ聴いてみたいと思うのが人情でしょう。
Step2 iPhoneでハイレゾ再生に挑戦!
ではこのVL-S3BTを使ってハイレゾ再生に挑戦してみましょう。
iPhoneでハイレゾ再生をするには、Apple純正「Lightning – USB 3カメラアダプタ」とiPhone対応のUSB DACというものが必要です。
じつはiPhoneはLightning端子になってから、本体からアナログ音声は出力されていません。そのためデジタル信号をアナログ音声信号に変換するデバイスが必要なのです。
今回USB DACにはS.M.S.L Sanskrit 10th MKIIを使いました。amazonでは3万2000円くらいで販売されていますが、新型モデル「S.M.S.L Sanskrit 10th MKIII」は2万円くらいで販売されています。
iPhoneにLightning – USB 3カメラアダプタを付け、USB ACアダプターにつないだケーブルをiPhoneにLightningケーブルで給電(充電)します。そのうえでカメラアダプタのUSB端子にはUSB-AとマイクロUSBのケーブルで、このUSB DACに接続します。
またPCでこのUSB DACを使う際には電源はいらないのですが、iPhoneで使うときには別途マイクロUSBで給電しなくてはいけません。
さらにUSB DACとVL-S3BTはRCAピンケーブルでつなぎます。
接続図
全部つなぐとこんな感じです。
DACの表示を見ていただくと分かるのですが、「96」と表示されています。これはサンプリング周波数を示していてハイレゾ再生されていることがわかります。
スマホの画面上でも曲の品質を見ると、このとおりしっかりハイレゾです。
では実際の音は、といいますと、確かに音は鮮明になっている気はします。ただこんなにケーブルだらけになっちゃうと、iPhoneの魅力半減というか……。
このくらいの音質アップならBluetoothの方がいいかな(笑)。
番外編 オーディオ界で定番の音質アップ=電源の強化にチャレンジ
さて、VL-S3BTは電源としてACアダプターを使用しています。じつはオーディオの世界で定番の音質アップは電源の強化なのです。
そもそも近年のACアダプターはスイッチング方式といってとてもノイズの多い方式です。もちろんオーディオ製品用なのでノイズの少ないものが付属されているのですが、もっと安定感があるACアダプターの方が良いのは確かなのです。
そのためオーディオ機器用のACアダプターというものもけっこうな数が販売されています。今回はこうした特別なACアダプターを用意しました。
Conclusionというメーカーのもので、PS-15VRというモデルで、実売価格は5万円弱くらいという高級ACアダプターです。
NECのA-10シリーズという今でも人気のある高級アンプと同じ仕組みの電源(リザーブ電源)装置で、どんな曲を流しても安定した電源を供給するという特徴があります。
これをVL-S3BTの電源として使うと、音が滑らかになって厚みも増します! これが電源強化の効果ではあるのですが、電源自体はとても大きくて重い、そして高い!
こだわり抜いて使うのは止めませんが、その前にスピーカーをグレードアップしたいですね。
実はさらなる高音質再生も可能
iPhoneでサブスク・ストリーミングを高音質で楽しむ方法には、もっといろいろな方法があります。アンプとスピーカーを分けて、ちゃんとしたBluetoothのレシーバーを導入すれば、さらなる高音質再生は可能です。
ただし、どんどん煩雑になって、お金もたくさんかかります。オーディオのハイエンドは本当にキリがないのです。
まずは手軽に、ちゃんとセッティングできるBluetoothスピーカーとiPhoneで楽しむ、というのがオーディオの入り口としては良いと思います。
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