読みもの
2020.06.18
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」File.13

オープン・エアで風を切る爽快感には、モーツァルトのあのフーガ!

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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フォトエッセイ、本日は下から見上げたビルの、どうということのない写真ですが、撮影したときの私の心境は開放感でいっぱいでした。

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というのも、先日、生まれて初めてオープン・カーの後部座席というものに乗りまして、味わったことのないオープン・エアの爽快感を堪能しながら撮影した写真なのです。

東京の府中あたりで撮影したものなのですが、時刻は日が落ちる頃、それでも梅雨入り前の空はまだ少し明るくて、風がとても気持ちよく、なんとも言えない開放感にニヤニヤが止まらず、思わずカメラのシャッターを切っていました。

このとき、私の脳内で響き渡っていたのは、モーツァルト最後の交響曲。第41番、通称「ジュピター」の第4楽章

モーツァルトが残した最後の3つの交響曲(第39〜41番)は、1788年、モーツァルト32歳の夏に一気に書かれました。当時作曲家は、誰かのために、あるいは何か具体的な演奏機会のために作曲することが普通でした。しかし、モーツァルトはこれら3つの交響曲を、特に誰かのため、何かのために作曲したわけではなかったようで、今日でも作曲動機の真相はわかっていません。

一気呵成に書き上げられた3つの交響曲は、いずれも輝かしい傑作ですが、とりわけ最後を飾る「ジュピター」は、堂々たる風格でありながら、明朗な清々しさにも溢れています。「ジュピター音型」と呼ばれるモチーフ(ド-レ-ファ-ミ)がフーガとなって織り成される第4楽章は、まさにオープン・カーで風を切って前へ進む気持ちよさ!

とはいえ、現実的には脳内再生するしかありません。オープンのカーステレオでは、ほとんど音がかき消されてしまいますね……(苦笑)。

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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