アップライトピアノで弾きたくなるシューマンの小品
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
なんだか「線の多い景色」だなぁと思って、すかさずパチっと撮影しました。
汐留駅の近く。在来線や東海道新幹線、その向こうにはゆりかもめの線路も走っている辺りです。高架、電線、直線的な高いビルの窓、曲線的な街路樹の木の葉……。
あまり色のない景色だけに、線の存在感が目立ちます。無機質なようで、どこか人工的な美を感じた瞬間でした。
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「線の多い音楽」といえば、西洋音楽のポリフォニーがすぐに思い浮かびます。
中世・ルネサンス時代には、人の声だけで幾重にも旋律を重ねて、柔らかくも厚みある音楽が作り出されていました。16世紀の終わりには、そうした複雑な多声音楽がひとつのピークを迎えます。
こちらは、40声部(!)で作られている作品。
アレッサンドロ・ストリッジョ(1540〜1592)という、イタリアの作曲家によるモテット「Ecce beatam lucem」(ラテン語ですが、「幸福の光がここに」というような意味でしょうか)です。
複数の線が形成する音楽。美しき圧を感じます!