似ているほうがいい? 鳥の声を模倣した音楽たち
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
店先で「食品サンプル」を見かけると、それも結構な経年変化を遂げているサンプル(笑)を見かけると、なんだか可愛くていじらしいというか、ほのぼのした気持ちになって、ついシャッターを切ってしまいます。
色が褪せちゃっていて、イチゴとかほとんど美味しくなさそうに見えたりするんですけど、そこがまた味わい深い。麺類のスープが、思いっきり固まって見えたりするのとかも、ぜんぜん美味しそうじゃない(笑)。そこになんだか、グッときます。期待しないで注文したら、実物のほうがよっぽど美味しそうで、そして美味しい。幸せじゃないですか。
逆に、あまりによくでき過ぎの、最新鋭のテクノロジーが活かされてますみたいな、鮮度バリバリに見える食品サンプルって、「美味しそう!」と思って注文しても実物のほうがショボかったりして、けっこうガッカリしますよね。
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音楽の世界で「似せたいな〜」といえば、伝統的に鳥の声を模倣するというのはよく行なわれてきたこと。ベートーヴェンの交響曲第6番《田園》やメシアンの《鳥のカタログ》にいたるまで、あちこちで“鳥度”の高さが競われているような、そんな鳥ジャンル(←今勝手に作りました)であります。
ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》、メシアン:《鳥のカタログ》
今日はそうした一曲として、《鳥の模倣によるソナタ》という作品をリンクします。バロック時代の英国の作曲家ウィリアム・ウィリアムズ(1675〜1701)の作品です。
ウィリアム・ウィリアムズ:《鳥の模倣によるソナタ》
タイトルからして、かなりの“鳥度”を期待してしまいます。第1楽章の冒頭から、リコーダーがさっそく鳥のような旋律を奏でます!
……が、その後の2〜4楽章は、正直さほどでもありません(笑)。3、4楽章にいたっては、ほとんど描写的な音型は出てきませんが、鳥のいる景色のイメージは喚起してくれるかもしれない、可愛らしい作品です。
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