読みもの
2021.08.05
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.72

束の間、「眼鏡なしで」サティを聴く

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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いやはや暑い日が続きますね。「あぢ〜」とか言いながら、外でカメラをかまえるのも楽しいんですが、基本はやっぱりクーラーの効いた涼しい部屋で、思いっきりインドアライフを送ることに、なんら罪悪感を覚えませんね、特に昨今。

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で、部屋の中の、なんでもない場面を撮ってみたりもするんですが、真夏の昼下がりのちょっと静かな雰囲気の一枚です。

眼鏡を題材としたクラシックの作品であるのかなぁ……と探してみたら、あるんですねぇ。

ベートーヴェンの二重奏曲「2つのオブリガート眼鏡付き」というのが、まず気になります。なんだそりゃ、というタイトルです。こちらは以前、平野昭さんが連載「おやすみベートーヴェン」の第85夜で、タイトルの謎を取り上げていらっしゃいましたので、リンクしておきます。

ヘンテコなタイトルといえば、やっぱり彼に頼るしかない。そう、フランスの作曲家エリック・サティ(1866〜1925)です。サティさん、ちゃんと「眼鏡」にまつわる曲、作っていました。

パリの作曲家で異端児的存在であったエリック・サティ(1866〜1925)。写真は30代のときの眼鏡。
こちらは50代の頃の眼鏡。

1914年作曲の、ヴァイオリンとピアノによる「右や左に見えるもの〜眼鏡なしで」。サティは眼鏡を使っていますよね。外したとき、何が見えたんでしょうか。

全3曲からなり、それぞれのタイトルもインパクトあります。

  • 第1曲「偽善的なコラール」
  • 第2曲「暗中模索のフーガ」
  • 第3曲「筋肉質なファンタジー」

筋肉質って……(笑)。

サティ「右や左に見えるもの〜眼鏡なしで」

サティとしては珍しい、ピアノとヴァイオリンのための作品です。ちょっと皮肉っぽい感じはサティらしいですね。全部演奏しても5分くらいで終わっちゃう。束の間の眼鏡なし世界。たまにはいろいろ引き算して、世の中見回してみても悪くないかも、という気持ちにさせてくれます。

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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