読みもの
2024.04.12
ONTOMO MOOK「ヨハネス・ブラームス 生涯、作品とその真髄」より

ブラームスを知るための25のキーワード〜その12:財産

毎週金曜更新! 25のキーワードからブラームスについて深く知る連載。
ONTOMO MOOK『ヨハネス・ブラームス 生涯、作品とその真髄』から、平野昭、樋口隆一両氏による「ブラームスミニ事典」をお届けします。どんなキーワードが出てくるのか、お楽しみに。

平野昭
平野昭 音楽学者

1949年、横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻終了。元慶應義塾大学文学部教授、静岡文化芸術大学名誉教授、沖縄県立芸術大学客員教授、桐朋学園大学特任教授。古典派...

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守銭奴でも浪費家でもなかったブラームス

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他人の残した財産を詮索してみたところで、一銭の得にもならない。貨幣価値も全く異なるし、現在の額にしたら、いくらになるかと考えても時間と労力の浪費だけ。ただ、実際には法的効力を発効しえなかったものの、2度にわたって遺言書が書かれ、そこには遺産分配法も記されていたとだけ述べておこう。ブラームスは貧しい家庭に育ち、一人でウィーンに出たわりには多くの幸運に恵まれ、知らず知らずに財産が蓄積されていったと思われる。 彼の財産管理人は友人の出版業者ジムロックであったわけだから、主たる収入源は作品の出版、つまり売れた印刷書の代金だったのだろう。あれだけの外国旅行をしているわけだから、相当のお金を持っていたに相違ないだろう。しかし、彼は全く守銭奴とは関係なかったし、むしろその正反対の金銭感党、と言っても浪費家というのではなく、その日の生活が満ち足りればそれで良いといった考え方を持っていたようだ。いや、もっと高尚な精神からお金を大切に使っていたのである。

第1章 演奏家が語るブラームス作品の魅力
第2章 ブラームスの生涯
第3章 ブラームスの演奏法&ディスク

今回紹介した「ブラームスミニ事典」筆者・平野昭と樋口隆一による「1853年の交友にみるブラームスの人間性」、「ブラームスの交友録」、「ブラームスを育んだ作曲家たち」、「ブラームスの書簡集」をはじめ、多岐にわたる内容を収録!
平野昭
平野昭 音楽学者

1949年、横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻終了。元慶應義塾大学文学部教授、静岡文化芸術大学名誉教授、沖縄県立芸術大学客員教授、桐朋学園大学特任教授。古典派...

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