読みもの
2023.12.08
ONTOMO MOOK「ヨハネス・ブラームス 生涯、作品とその真髄」より

ブラームスを知るための25のキーワード〜その7:パトロン

毎週金曜更新! 25のキーワードからブラームスについて深く知る連載。
ONTOMO MOOK『ヨハネス・ブラームス 生涯、作品とその真髄』から、平野昭、樋口隆一両氏による「ブラームスミニ事典」をお届けします。どんなキーワードが出てくるのか、お楽しみに。

平野昭
平野昭 音楽学者

1949年、横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻終了。元慶應義塾大学文学部教授、静岡文化芸術大学名誉教授、沖縄県立芸術大学客員教授、桐朋学園大学特任教授。古典派...

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余分な金銭は困った人々に与えることを好む性格

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「パトロン」という言葉の意味は、大変複雑で微妙なわけだが、音楽家のパトロンとして私達がすぐに思い浮かべるのは、チャイコフスキーの場合のフォン・メック夫人ではないだろうか。芸術家がその創作に没頭できるように、経済的援助を年金などの形で与えたほか、機に応じて救済の手を差しのべている。しかし、それ以前にその芸術を理解し、愛護するというのがパトロンの文字通りの意味なのである。

ところで、与えられた項目を見たとき、「えっ、ブラームスのパトロン? 誰だったかナー」。あわてて伝記その他の資料をひっくりかえしてみたわけだが、残念ながら見つからない。大変多くのブラームス理解者や親しい友人はいたのだが、年金を与えたり、経済援助を申し出たりした者は誰一人としていなかった。というより、ブラームスが、たとえ親しい友人であろうと、他人から何のいわれもなく金銭を貰うということ自体を嫌う性格であったようである。むしろ、彼は余分な金銭は困った人々に与えることの方を好む性格であったと思われるのだ。

第1章 演奏家が語るブラームス作品の魅力
第2章 ブラームスの生涯
第3章 ブラームスの演奏法&ディスク

今回紹介した「ブラームスミニ事典」筆者・平野昭と樋口隆一による「1853年の交友にみるブラームスの人間性」、「ブラームスの交友録」、「ブラームスを育んだ作曲家たち」、「ブラームスの書簡集」をはじめ、多岐にわたる内容を収録!
平野昭
平野昭 音楽学者

1949年、横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻終了。元慶應義塾大学文学部教授、静岡文化芸術大学名誉教授、沖縄県立芸術大学客員教授、桐朋学園大学特任教授。古典派...

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