読みもの
2023.04.12
「クラシック専門ライターの音楽界トレンド・ウォッチ」国内オーケストラの新シーズン開幕!

大規模シンフォニーの世界にはまる おすすめ7曲

新生活がスタートし、希望いっぱいの人も多いこの季節、自分磨きのためクラシック音楽を聴きにいこうと感じている方もいるでしょう。ちょうど国内の様々なオーケストラも新シーズンを開始したばかり、しかも今年のプログラムを眺めてみると、人気のラフマニノフのほかにも大曲が用意されていて、まさにオーケストラの豊穣なサウンドを存分に味わうのにふさわしい1年なのです。クラシック音楽へのファースト・ステップ向け、かつコア・ファンの両方を満足させる、規模が大きく心湧き立つ大音響の作品を選りすぐってご紹介します。

城間 勉
城間 勉

1958年東京生まれ。子どものころからピアノを習ってはいたが、本当にクラシック音楽に目覚めたのは中学生時代にモーツァルトの魅力に触れてから。バレンボイム&イギリス室内...

マーラー《一千人の交響曲》のフィラデルフィア管弦楽団によるアメリカ初演の様子(1916)

この記事をシェアする
Twiter
Facebook
続きを読む

《アルプス交響曲》でパノラマ的快感を味わう

オーケストラの壮大な規模といえば、まずこの交響曲。作曲者リヒャルト・シュトラウスの少年時代の登山の思い出をもとに、後年に約1時間にも及ぶ大作として書きあげました。頂上から見る夜明けや美しい自然、そして下山途中に遭遇する荒々しい雷雨の模様などが心象風景とともに描かれていて、ストーリー性を持っているため、スタイルとしては「交響詩」と呼んでもおかしくない作品です。

約150人の奏者が要求され(パイプオルガンも活躍)、後半「雷雨」の場面では風の音を出す「ウィンドマシーン」まで動員されます。余談ですが、壮麗な「太陽の動機」は有名なイタリア歌曲《カロ・ミオ・ベン(いとしい女性[ひと]よ)》の前半にそっくりです。面白い偶然ですね。

さて、本作はすでに佐渡裕の指揮で新日本フィルハーモニー交響楽団により4月に演奏されたばかりで、満員のお客さんたちは大満足だったようです。今年はこの《アルプス交響曲》の当たり年で、続いて以下の公演を聴くことができます。

《アルプス交響曲》を指揮する飯森範親
《アルプス交響曲》が聴けるコンサート

・NHK交響楽団(指揮:パーヴォ・ヤルヴィ):4/15、4/16(NHKホール)

・東京都交響楽団(指揮:アラン・ギルバート):7/19、7/20(東京文化会館)

・日本センチュリー交響楽団(指揮:飯森範親/パシフィックフィルハーモニア東京との合同演奏):6/10(大阪 ザ・シンフォニーホール)

・パシフィックフィルハーモニア東京(指揮:飯森範親/日本センチュリー交響楽団との合同演奏):6/11( サントリホール)

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ