
紙幣になった作曲家たち〜ショパン、ヴェルディ、リスト……いちばん“高額”なのは誰?

音楽史に名を残したあの作曲家たちが、お金に! 国家の誇りとして選ばれた肖像、描かれた劇場や風景、そして気になる日本円換算。数ある作曲家のお金の中から、紙幣にしぼっていくつか紹介します!
※日本円換算はあくまで目安です。時代や物価を考慮した実際の価値とは異なります。

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ショパン(ポーランド/5000ズウォティ)
祖国を離れて生きたショパンは、ポーランドにとって“精神的な祖国”そのものでした。1982年に発行された5000ズウォティに選ばれました。ポロネーズやマズルカを書き続けた作曲家の肖像は、通貨の上で静かに国家の歴史と誇りを語りかけてきます。
5000PLN ≒ 約20万円!? と思いきや、1995年のデノミネーションで10,000旧ズウォティ → 1新ズウォティとなったため、5000旧ズウォティ=0.5新ズウォティ→約18〜20円くらい
※デノミネーションとは、インフレなどに対応するため通貨の単位を切り下げること


ヴェルディ(イタリア/1000リラ)
上院議員を務めた経験もあり、イタリア統一運動と深く結びついたヴェルディは、1969年に発行された1000リラ紙幣に登場しています。裏面にはスカラ座が描かれています。同時期のリラ紙幣には、カラヴァッジョやコロンブスのほか、同じく作曲家のベッリーニも。
1リラ ≒ 約0.08円→ 約80〜85円

ベルリオーズ(フランス/10フラン)
1972年に発行されたベルリオーズが描かれた10フラン紙幣。指揮棒を手にした肖像の背後には、アンヴァリッド礼拝堂での演奏風景が広がり、裏面には若き日に滞在したローマのメディチ荘とギターを持つ姿が描かれています。『回想録』にある狩猟銃の代わりにギターを持って野外に出かけ、ウェルギリウス『アエネーイス』の場面を思い浮かべながら即興的に歌ったという思い出を想起させるデザインです。
1フラン ≒ 約25円→ 約250円


バルトーク(ハンガリー/1000フォリント)
民俗音楽の収集と近代的作曲技法を結びつけたバルトークは、20世紀ハンガリー文化を体現する存在でした。亡命という苦難の人生を送りながら、1983年に発行された祖国の紙幣にその姿が刻まれたことは、国家と芸術家の複雑で深い関係を感じさせます。
1フォリント ≒ 約0.4円→ 約400円

シベリウス(フィンランド/100マルッカ)
フィンランドの自然と神話を音楽にしたシベリウスは、国家のアイデンティティそのものでした。裏面には静かな湖面を渡るコブハクチョウの群れが描かれています。この情景は、交響詩《トゥオネラの白鳥》の世界を想起させるもの。トゥオネラとは、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」に出てくる死者の国です。
1フィンランド・マルッカ ≒ 約27円→ 約2,700円

©Steve27K (CC BY-NC-SA)

スメタナ(チェコ/1000コルナ)
連作交響詩《わが祖国》によって民族の歴史と風景を描いたスメタナは、チェコという国の音そのものです。紙幣の横顔は、音楽が国家の記憶装置であることを雄弁に物語っています。1985年に発行され、裏面には《わが祖国》第1曲のタイトルにもなっている「ヴィシェフラド(高い城)」が描かれています。
1コルナ ≒ 約6.5〜7円→ 約6,500〜7,000円


グリーグ(ノルウェー/500クローネ)
民族的な旋律と北欧の風景を結びつけたグリーグは、ノルウェー文化の象徴的存在です。1991年に発行されました。肖像の透かしを備えた500クローネ紙幣は、伝統工芸の装飾文様を裏面に配し、国民的作曲家への敬意を静かに表しています。
1クローネ≒ 約14〜15円→ 約7000〜7500円

クララ・シューマン(ドイツ/100マルク)


女性音楽家として紙幣に登場する稀有な存在です。ピアニスト、教育者、そして作曲家として19世紀の音楽文化を支えたクララの肖像が、ライプツィヒの歴史的建造物とともに刻まれています。裏面にはグランドピアノと、クララが晩年に教鞭を執ったフランクフルトのホッホ音楽院が描かれています。
1マルク ≒ 約80〜84円→ 約8,000円前後
モーツァルト(オーストリア/5000シリング)
ユーロ導入前のオーストリア最高額紙幣に登場したのがモーツァルトです。音楽史上の偉人であると同時に、オーストリアの“文化ブランド”の象徴にもなったようです。1988年にウィーンで発行され、裏面にはウィーン国立歌劇場が描かれています。
1シリング ≒ 約13円→ 約6万5,000円

日本円換算の目安で見れば、いちばん“高額”なのはモーツァルトの5000シリング紙幣でした。けれど紙幣をよく眺めてみると、そこには劇場や風景、手稿譜など、作曲家の世界を思わせるモチーフが散りばめられています。お金という身近なものの上に、音楽の歴史がそっと刻まれているのも面白いところですね。
関連する記事
-
レポート小菅優が語るシューベルト最後のソナタ「多くのクエスチョンが私たちを考えさせる」
-
レポート開館65周年を迎える東京文化会館、約3年間の休館へ
-
読みもの映画『ブルームーン』が描くロレンツ・ハート〜ロジャース&ハートの名曲と孤独な天才...
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest













