アンサンブルもソロもいける! 知られざるテューバの魅力
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
こんばんは! ONTOMO編集部のざっきーです。
一昨日21日、YMO Trioリサイタルツアーの川越公演に行ってきました。YMO Trioはテューバ2本、ピアノ1台のトリオで、日本フィルハーモニー交響楽団テューバ奏者で、「BRUTUS」誌において「若くてイケてるテューバ奏者」として紹介された柳生和大さんと、台湾国家交響楽団テューバ奏者を経て、フリーの演奏者として日本、アジアを中心に活動している宮西純さん、ドイツ・マルクノイキルヘン国際器楽コンクールにて伴奏者特別優秀賞受賞(2004年、2008年)などの経歴を持つピアニストの大川香織さんで構成されています。
なかなか聴けない編成で、しかもメインの楽器が普段ベースラインを担当するテューバなので「どんな音がするのだろう…!」とワクワクしながら聴いてみると、なんとあの大きな楽器で、まるでトロンボーンやユーフォニアム、ホルンのごとく高音域のメロディを奏でいるではありませんか!
この編成のための『Three Trios for two tubas and piano』という曲も演奏会で披露されました。世界的テューバ奏者として有名なオイスティン・バーズヴィックさんの奥様である、アンナ・バーズヴィックさんの作曲です。
世界的テューバ奏者オイスティン・バーズヴィックのトップトラック
テューバらしい力強い音色から、優しいソフトな音色まで表情豊かな演奏が聴けて、「テューバは本当に伴奏楽器なの!? 」とまで思ってしまいました。『もっと音楽が好きになる 上達の基本 テューバ』(音楽之友社)には、テューバの持つ独奏楽器としての可能性について以下のように書かれています。
テューバの音域は、ホルンに近く、金管楽器の中でもっとも広い音域をもっています。テューバの高音についてはあまり知られていませんが、ダブル・ハイB♭も出せます。ユーフォニアムと同じ音域を吹いていても、よりインパクトがあり、体に響く音が出せます。テューバの音は直線的に進むだけでなく、包み込むような、豊かな音も出せます。ホール中をテューバの響きでいっぱいにもできます。(中略)テューバは新しい楽器なので、楽器としての自由度と秘めた表現力では、ほかの楽器と比べて群を抜いています。ほかの楽器の人が思っている以上に広い音域と表現力をもち、素早い動きもできるので驚かれます。「テューバとはこういう楽器なんだ」という固定した定義のようなものがまだなく、たくさんの可能性を秘めています。
そして、極めつけはテューバのハモリ。オーケストラでは、テューバは1本のものが多いですし、吹奏楽でもユニゾンで和音の根音を担当することが多く、テューバ同士でハーモニーを奏でることは、あまりありません。ですが、このアンサンブルでは、テューバのハモリにどっぷり浸ることができます。地面からエネルギーを吸収し、2本の大きなベルから開放される和音で、何とも形容しえない幸福感に包まれました。
YMO Trioの今後の活動にも期待が高まります!
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