クラリネット自慢その2:1人で4役をこなす広い音域と豊かな個性
アーティストさんが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は吉田誠さんによるクラリネット自慢です。
クラリネット・ソリスト。5歳からピアノを、15歳からクラリネットを学び、また 22歳 から指揮を小澤征爾、湯浅勇治の各氏のもとで学ぶ。東京藝術大学入学後、渡仏。フラン...
全管楽器中もっとも広い約4オクターブの音域を持つ楽器。それを駆使するモーツァルト
クラシック史上最高傑作の一つに数えられるモーツァルトの「クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622」。
曲の美しさは言うまでもないですが、まるで彼のオペラ作品のように、さまざまな個性的なキャラクターが登場します。そのような曲想では、クラリネットの持つ音域の広さが、その魅力を引き出していると言えます。
実は、クラリネットは各音域に名前がついています。
下から「シャリュモー」、「ブリッジ」、「クラリオン」、「アルティッシモ」です。
それぞれの音域に個性と特徴があり、少なくとも1人で4役はこなすことができるのです。モーツァルトも、この音域の特徴をすべての楽章に生かして作曲しています。
1人の奏者が1本の楽器で何役もこなす協奏曲、そう思って改めてこの曲を聴いていただくと、新しい発見と楽しみ方があるかもしれません。
クラリネットの魅力を味わう作品
モーツァルト:クラリネット協奏曲
今世界でもっとも人気の古楽クラリネット奏者であるロレンツォ・コッポラ氏による演奏です。オーケストラもともに、この作品が作曲された当時の楽器やスタイルで演奏しています。
当時のクラリネットは、黄土色をした柘植(ツゲ)でできた楽器でした。これは現代のクラリネットよりも、はっきりとした強弱や音色の違いを作り出すことができます。
そして、通常のクラリネットよりもさらに低音を奏すことができるバセット・クラリネットで演奏されています。一番低い音で奏でられる箇所は、まるで《魔笛》のザラストロが歌っているかのようです。上記の各音域の特徴が非常にわかりやすく聴こえてきます。
日時: 2020年 12月15日(火)
1st.show 17:00開場、 18:00開演
2nd.show 19:45開場、 20:45開演
会場: コットンクラブ
出演: 吉田誠(クラリネット)、小菅優(ピアノ)
プログラム:
1st.show ブラームス/5つのリート、クラリネット・ソナタ第1番、シューマン/リーダークライス より《月夜》、幻想小曲集 Op.73
2nd.show ブラームス/クラリネット・ソナタ 第2番、シューマン/幻想小曲集 Op.73、サン=サーンス/歌曲集より《鐘》、クラリネット・ソナタ 変ホ長調Op.167
料金: テーブル席¥8,800、ボックスシート・センター ¥13,200、ボックスシート・サイド¥11,000、ボックスシート・ペア¥11,000※料金は1名あたりの金額
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