読みもの
2021.05.10
My楽器偏愛リレー! vol.13 吉野直子

ハープ自慢その1:優雅だけではない、多彩な響きと表現力

アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、吉野直子さんによるハープ自慢です。

吉野直子
吉野直子 ハープ奏者

ロンドンに生まれ、6歳よりロサンゼルスにて、スーザン・マクドナルド女史のもとでハープを学び始めた。1981年に第1回ローマ国際ハープ・コンクール第2位入賞。1985年...

旧約聖書『サムエル記』より「サウルの前でハープを弾くダビデ」(1873年出版の聖書より)

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古くから数々の絵画や物語に登場し、時代とともに発展を続けてきたハープ。これから3回にわたり、私が思うハープならではの魅力をお伝えしたいと思います。

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力強い音やドラマティックな表現までできる「小さなオーケストラ」

古くは古代エジプトの壁画、聖書の物語、ギリシャ神話などに登場するハープ。現在の構造になったのは、19世紀の初めのことで、それまで2段階だった7本のペダル(足元にあり、上下に動かすことによって、半音上げたり下げたりすることができる)が3段階になり、同時に演奏できる調性が増え、楽器としての可能性が拡がりました。その後、弦の数も47本に増えて、ピアノとほぼ同じ音域になりました。

トマス・サリー《ハープと女》(1818年、ナショナル・ギャラリー蔵)

ハープはピアノと同様に、旋律と伴奏を同時に演奏することが可能な、1人で完結できる楽器です。両手の小指を除いた8本の指で弦をはじき、演奏します。

楽器の外見から、一般的には優雅な姿で「ポロロン」と弾くイメージが強いようですが、実際には弦の張りも強く、指の力が強くないと良い音が出ません。豊かな響きと相まって、力強い音やドラマティックな表現が、思いのほか可能なのです。

ハープ1台で「小さなオーケストラ」。いつもそのことを心がけながら、演奏しています。

ハープの魅力を味わう作品

ルニエ:《伝説》
フランスの名ハーピスト・作曲家であったアンリエット・ルニエ(1870~1956)の代表作の1つである《伝説》。19世紀フランスの高踏派詩人を代表するルコント・ド・リールの詩「妖精」に基づいており、幻想的でドラマティックな世界をハープ1台で表現しています。

吉野直子
吉野直子 ハープ奏者

ロンドンに生まれ、6歳よりロサンゼルスにて、スーザン・マクドナルド女史のもとでハープを学び始めた。1981年に第1回ローマ国際ハープ・コンクール第2位入賞。1985年...

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