アコーディオン自慢その3:レジスターの使い方で音色が変わり、1000音を超える音源を操る
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、ヴァイオリンの千住真理子さんよりバトンを受け取ったcobaさんによるアコーディオン自慢です。
1959年4月29日生まれ。3歳から音感教育で音楽に接し、18歳でイタリアに留学。アコーディオンの頂点を目指す学生が世界各地から集結する名門校、ヴェネツィアのルチアー...
アコーディオンは21世紀の“魔法の箱“
アコーディオンには音色切り替えのレジスターがついています。このレジスターでオルガンのストッパーのように同時発音できるリードの枚数、つまり音色を切り替えられます。
まずは、リードを単音で鳴らしたときの何とも言えない粘り気のある音色。実にセクシーで、のけぞるくらい魅力的です。
アコーディオンのリードを削っている様子
そして、それを2枚鳴らしたときに生まれる独特の哀愁。パリの街角で遠くからこの音が流れてきたら、涙ポロポロ間違いなし。
さらに、微妙なトレモロを生むために、少しずつチューニングをずらしたリードを3枚同時に鳴らすと、ミュゼットトーンという超絶魅力的な音色に。僕のアルバムの中でもいろいろお聴きいただけるミュゼットの音色は、作曲家の山本直純さんが「すべての楽器の中でもっとも好きな音だ!」とコメントしたほど特別なサウンドです。
最後に、4枚のリードを同時に鳴らすマスタートーンは、実にダイナミック。華麗で荘厳な音色。パイプオルガンのストッパーを全開にしたようなゴージャス感! バッハ、ラインケン、チマローザ、はたまたメシアンなどのオルガン曲を演奏するときにも使用します。
アコーディオンとは、蛇腹で呼吸しながら1000音を超える多音源を自由にコントロールして謳いあげるという、恐ろしく緻密でポテンシャルの高い楽器です。まだまだ未知の可能性を秘めた、21世紀の“魔法の箱”になり得るかもしれません。
アコーディオンの魅力を味わう作品
coba:Campana
アルバム『The Accordion』は全曲アコーディオンソロで録音。アストル・ピアソラに捧げた曲です。蛇腹と鍵盤の連動で生まれるノリとアタック感、レジスターの音色切り替えで生み出されるダイナミズムに注目。
ギターの鈴木大介さんです。武満トリビュートコンサートで幾度も共演。最近ではギターの荘村清志さんから委嘱されてギターコンチェルト「TOKYO」を作曲したときも、ギターのさまざまな凄テクなど教えてもらっています。未来の楽器ギター。魅力教えて!
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly